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シンガポール vs ドバイ〜海外進出するならどっち!?世界のビジネスハブ競争~

「海外進出」というと、日本では東アジア、北米、インドなどをイメージする方が多いかもしれませんが、今日では政情が安定しており、ビジネスインフラが整備され、優遇税制があるシンガポールとドバイに注目が集まっています。積極的な外資誘致を行い、ハイレベルな知的人材を投入して先端技術を生み出し続けながら、観光立国としても名高いこの2国は海外進出成功の大きなチャンスに溢れています。

今後も著しい経済成長が見込まれている両国を比較し、どちらが海外進出先としてふさわしいか見極める材料にしてください。

シンガポールとドバイの特徴

シンガポール

ドバイ

人口面積人口密度民族外国人比率
シンガポール   約564万人約720k㎡約7,833人/k㎡中華系、マレー系、インド系約27%
ドバイ約348万人約4,114k㎡約846人/k㎡アラブ系、南アジア系、
エジプト系、フィリピン系
約92%

シンガポールはマレー半島の南にあり、東南アジアのほぼ中心に位置する国です。最大の島であるシンガポール島および60以上の大小さまざまな島々で構成されています。

国土の広さは東京23区とほぼ同じで、人口は約564万人であり、人口密度が世界第2位の高さとなっています。

多民族国家としても有名で、中華系、マレー系、インド系が多く占めており、それ以外の外国人も各地でコミュニティーを形成して共生しています。2024年現在で外国人の人口はすでに約4割に達します。

ご存じの通り、シンガポールはグローバル都市かつ世界のビジネスハブとして世界ランキングの常連になっています。世界中の大企業や富裕層、高度人材を集めて知的集約型を中心とした高度な産業を育み、主に製造業、サービス業、金融業、通信業で高付加価値を生み出していることから、今日も世界中から海外進出を目指す法人や個人がシンガポールに進出しています。

ドバイは、アラブ首長国連邦(UAE)のドバイ首長国の中心都市です。中東のほぼ中央、ペルシャ湾に位置し、面積4,114kmほどの国土に約348万人前後の人々が住んでいます人口の約8割が外国籍で、特にインドやバングラデシュなどの南西アジア人が多数を占めます。観光客の取り込みや出稼ぎ労働者、外資の誘致政策により、人口は年々増え続けており、2040年には780万人に達する可能性があるとの予測も出ています。

近年、都市開発が急速に進んでおり、従来の石油依存型から脱却し、不動産や製造、外資誘致での高度人材活用などを通じて華々しいグローバルな金融ハブと認知されています。ドバイ政府は今後も大型プロジェクトを導入するなどして長期的な経済成長を目指す見通しです。

ビジネスの目的は法人個人問わず、さまざまですが、海外進出先としてどちらが最適な国となるのか、詳しく見ていきましょう。

徹底比較

シンガポールとドバイの経済や貿易、外資誘致政策、税金、観光名所などを徹底比較しました。海外進出の際に気になる情報を取り上げ、どちらが適しているか比較検討していきましょう。

経済発展

近年、経済発展の場、及びグローバルビジネスの重要拠点としてシンガポールとドバイの2国が筆頭に挙げられています。海外進出の際にシンガポールか?ドバイか?どちらがビジネス展開の場として最適か迷っている方も多いことでしょう。

元々数年前まではシンガポールと香港の2国がビジネスハブとして不動の地位にいましたが、香港は新型コロナウイルス(COVID-19)や抗議デモなどの影響で国内情勢が揺らぎ始めたため、代わりにドバイが新たな金融・経済の中心地として注目を集めています。

シンガポールは言わずもがな、日本を含む多くの海外企業や駐在員にとって経済活動を行いやすいと認識されている国の一つです。インフラ開発や法制度が充実しているほか、医療や教育の水準も高く、治安も良好であり、名目GDPは高水準を維持。シンガポールの経済発展やテクノロジー革新が世界で知られて以来、グローバルビジネス展開の最適な場として、常に世界トップクラスの座に君臨しています。

一方、ドバイも2000年代に入ってから外国からの投資を奨励し、ビジネス環境を整備するなどして自国の経済成長を促してきました。国を挙げた積極的な経済政策や都市開発によって急速に経済発展を遂げてきており、世界的にも新たなビジネス拠点としての認知度が急上昇しています。元々、アラブ首長国連邦の構成7首長国の一つであるドバイはペルシア湾岸に位置し、中東の近隣諸国や南西アジア、アフリカ、ヨーロッパとの交通の要所としての地理的な優位性を持っており、中継貿易で栄えてきた歴史があります。こうした歴史によって航空網が発達していることに加え、石油産業の地としても名を馳せていたことから、新たな経済政策によって外交関係や外資流入も活発になりやすいことは想像に難くないでしょう。

2国で共通している海外企業にとってのアドバンテージとして、税制の優遇、進出のしやすさ、地理的な優位性、教育施設の充実、治安の良さ、政情の安定などが挙げられます。地の利を活かした外資企業の誘致政策は功を奏し、いまやこの両国は国際的なビジネスの中心地として選ばれるようになりました。

企業のみならず、海外駐在員にとってもシンガポールとドバイは人気のある国です。金融・経済・ビジネスニュースの専門放送局であるCNBCが発表した、「2022年海外駐在員が選ぶ都市TOP10」では、シンガポールが10位、ドバイが2位となっており、両国ともTOP10圏内に位置しています。

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貿易

シンガポール・ドバイどちらも過去に交易で栄えてきた歴史があります。

シンガポールは、オーストラリア、中国、インド、日本、イギリスなどと二国間および地域間の自由貿易協定(FTA)を結んでおり、海路空路ともに安定した貿易が行われています。

食料供給を輸入に頼り、高付加価値での工業製品や技術を武器にしているシンガポールでは、必然的に輸出入が盛んに行われます。2023年の輸出入データを見てみると、総輸出入額はS$1兆2057億(約135兆6704億円※)、輸出S$6,384億、輸入S$5,673億にも達しており、なかでも機械類と輸送機器、化学物質および化学製品が首位を占めています。

ドバイでは世界中から人や物が集まり、自由な経済活動ができる近代的な国造りをするという試みから、各地で新たな貿易拠点が増加していきました。空路ではドバイ国際空港、海路ではラシード港やジュベル・アリ港が設置され、中東地域で最大の貿易ハブとなりました。

UAEのおもな輸出産業は石油・天然ガス、機械類、貴金属とされており、輸出は石油が大半を占めますが、2023年上半期における非石油外国貿易額はAED約1兆1,300億(約46兆,5440億円※)に達しています。すでに輸出の16%ほどが非石油輸出となっており、石油に頼らない経済大国の地位を築きつつあります。

このように、生産と消費、経済発展によって今後も輸出入ともに増加が見込まれています。シンガポールはアジア圏内での先進技術国という信頼がある一方、ドバイにはもともと石油産業で栄えてきたという強みがあります。

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ビジネスハブとして

2024年現在、シンガポールは財務・人材・物流の重要拠点であり、この3要素を中心に数多くの企業にとっての国際ビジネスハブとなっています。

財務面
政治経済や治安が安定しているシンガポールに主要拠点や支部を置くことで、自社の利益を留保したり、資産を有意義に活用することができるようになります。税制上の優遇措置があることも財務・会計担当者にとって大きな利点でしょう。

人材面
シンガポールは自国民への教育や高度人材育成のための投資を惜しみません。大学などの教育機関では名だたる一流企業と提携して教育課程を定めることが多く、ビジネス、科学医療、芸術、テクノロジー関連の先端技術を研究しています。

労働者に対してもスキルアップのための施策を国レベルで施行しているため、多様なニーズや技術的進歩に応えるための基盤が強固です。これと外資誘致の相乗効果で知的集約型産業のレベルが高まり、さらなる給与アップやビジネス展開を目指す世界中の優秀な人材がおのずとシンガポールに集結します。

物流面
シンガポールは公共交通機関の拡充や配送サービスの利便化、自動運転の導入を推進することにより、陸路での物流システムが最適化されています。移動時間の短縮や安価な交通費、電子道路課金制度ERPを導入した渋滞抑制政策などはロジスティクスにかかる負担を大幅に軽減しています。

空港や港湾も普段から行き来が多く、海外との交易の活況ぶりがよくわかる拠点です。シンガポールのチャンギ空港は世界の約300都市を結ぶ交通網であり、シンガポール港は世界120カ国以上、約600カ所の港と結ばれ、扱うコンテナ量は世界で第2位となっています。陸海空すべてがビジネスに最適なスピードとシステムで稼働しているといえます。

対するドバイも、現在はグローバルなビジネスハブとして世界中から認知されるようになりました。その成功の秘訣は大きく分けて立地、近代的な都市開発、フリーゾーンにあるとされています。

立地
まず立地ですが、中東の中心に位置するドバイは、中東諸国はもちろん、南アジアやヨーロッパ、アフリカの巨大市場との取引や提携にも理想的な場所とされています。エミレーツ航空の拠点であるドバイ国際空港は、世界各国からドバイへの玄関口になっていますが、世界人口の3分の1が約4時間、3分の2が約8時間以内の航行で同空港にアクセスできるともいわれています。

ドバイは海上交通網も発達しており、ジュベル・アリ港など複数の港を有しています。空海とも活発な外交関係や人的交流が日夜繰り広げられており、グローバルビジネスの重要拠点であることがうかがえます。

近代的な都市開発
ドバイ政府は1980年代から国を挙げて産業多角化やインフラ整備に乗り出し、経済自由区域を設けて外国企業や資本の進出を推進してきました。途中ドバイショックなどの金融危機にも見舞われたものの、現在は上記に加えてテクノロジー分野への投資も行い、第3次産業の発展が著しく、超高層ビルや高級ホテル、大リゾートビーチが発展した超近代都市に成長しました。

2017年のサミットでは、ドバイの政治経済、教育、環境、金融、健康、交通などが世界でも総合的に安定していると評価されています

フリーゾーン
ドバイ国内には外国企業が参入しやすいフリーゾーンが31箇所設置(2023年9月20日時点)されており、100カ国以上、9,500社以上が集結する巨大ビジネスハブとなっています。特にジェベル アリ フリーゾーン(JAFZA)、ドバイ空港フリーゾーン(DAFZA)、ドバイ マルチ コモディティーズ センター(DMCC)はドバイの三大貿易専用フリーゾーンと呼ばれています。

このフリーゾーンは法人税の免税や各種取引の規制がない地域としても有名で、世界中の大企業が自社の本店やオフィスを構えています。フリーゾーンのビジネス環境も多種多様で、コモディティやヘルスケア、花卉(かき)、IT、メディア、金融など多岐にわたります。

外資誘致と優遇

シンガポールは1965年にマレーシア連邦から独立して以降、製造業を中心に徹底した外資誘致を奨励してきました。1980年代からは医療や金融の分野など、知的集約型産業の発展に軸を移し、現在はそれに加えて先端技術やテクノロジー、環境分野の高度技能を持つ人材を誘致・優遇することで更なる世界的競争力の強化を計画しています。

シンガポールでは、海外拠点の設立を目指し、シンガポール国内に高付加価値を提供するとみられる企業に対して、さまざまな優遇措置が取られています。

低い法人税率
法人税率は17%。2020賦課年度からは部分免税制度が取られたため、多くの場合、実効税率はそれ以下になります。これは世界的にも低いとされる香港の法人税率16.5%以下に並ぶ数値です。

キャピタルゲイン課税なし
資産売買によって生じるキャピタルゲインに対する課税はありません。特にこれは事業撤退などで会社の資産を売却する場合に有利に働く場合があります。

税制上優遇や助成金の付与
競争力を高めるため、研究開発、設備の購入、トレーニングなどの人材育成を行う企業は、PIC(Productivity and Innovation Credit)の対象となり、税額控除や助成金を受けることができます。他にも、ワン・ティア法人税制や国外源泉所得の免税など、一定の条件を基に適用される制度がいくつも存在しています。

同様に、ドバイでも1980年代から石油依存型経済から脱却して以来、積極的な外資誘致が進められており、今日まで多数の海外企業や多国籍企業が参入しています。元々ドバイはヨーロッパや中東隣国、南西アジアの中継貿易で栄えた国です。その利点を活かし、世界中の事業者や観光客を魅了するような都市開発計画を実行し、貿易や外交を一層活発化させました。

世界とドバイを結ぶハブ空港であるエミレーツ航空設立、近代的な都市開発プロジェクト等を通じて、多くの観光客や外資の誘致、金融の発展に成功しています。都市開発プロジェクトの象徴として、超高層ビルのバージュ カリファやパーム ジュメイラ、ドバイ マリーナなどが挙げられますが、これらは世界でも有数の一等観光地となっています。イスラム圏内でありながら政情不安などがなく、治安が良好なのも外国が進出しやすい要因とみられます。

世界有数の「タックスヘイブン」
ドバイは個人所得税や相続税等の租税がゼロか、もしくは限りなくゼロに近い国として知られています。2023年6月からは法人税が9%課税されることになりましたが、ドバイ法人をうまく活用し、年間利益をAED37万5,000(約1545万円※)以下に抑えるなど運用次第で免税となります。9%とはいっても日本の法人税の実効税率29.74%を考えると随分と安く感じられます。また、ドバイではフリーゾーンで法人を設立すると、法人税が実質ゼロになります。

投資は非課税

ドバイ国内でビジネスを行っていない外国人投資家や、投資に対するキャピタルゲインや配当についても非課税となります。

個人所得は非課税
個人所得に所得税はかかりません。ドバイ人に限らず、外国人も免除されています。

付加価値税率は5%
事業者が課される付加価値税は日本の半分の5%です。東アジアの10〜13%、欧米では15〜27%の国が多い中、これは驚異的な低さといえます。他の優遇税制と併せて、他国がドバイ法人を作りたがる要因の一つです。また、航空券、公共交通機関、医療費、医薬品、給与・賃金などは非課税となっています。

確定申告が不要
ドバイでは日本のような確定申告が必要ありません。面倒な帳簿や複雑な税務処理がないので、事業にかかる負担を大幅に減らすことができます。

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公用語

シンガポールの公用語は英語、中国語、マレー語、タミール語の4つです。特によく使われるのが英語と中国語(標準語)です。中華系が多いため、中国語も頻繁に耳にしますが、他民族国家なので事実上の共通言語は英語となっています。現在はたくさんの人種によって多種多様な英語が話されているため、シンガポールの英語はよく「シングリッシュ」と呼ばれています。

ドバイの公用語はアラビア語です。しかし、海外進出や外国人の訪問が多く、現地の在住者の間ではアラビア語よりも英語の方がよく使われています。アラビア語と英語の二言語併記が使われることも多くあります。

税金

シンガポールとドバイの税金を比較していきましょう。

シンガポールで課される主な税金は以下の通りです:
法人税、個人所得税、不動産税、印紙税、財・サービス税、源泉税など

シンガポールでは日本と違って住民税は存在せず、すべて国税となります。累進課税制度が敷かれており、法人税や個人所得税は所得(収入から経費や控除分を引いた金額)の多さによって税率が決まります。

多くの企業がシンガポールに拠点を置きたがる理由はなんといっても法人税率の低さ(最高17%)でしょう。シンガポールの法人税には部分所得免税制度、法人税リベート、スタートアップ免税制度といった大胆な優遇措置が設けられていることに加え、日本を含む102カ国・地域と二国間租税条約を結んでいる(2024年2月29日時点)ことから二重課税の心配もありません。

個人所得税は所得によって2%から24%の幅があります。ご家族がいる方はQCR(Qualifying Child Relief)やWMCR(Working Mother’s Child Relief)といった児童1人あたりの養育費を軽減できる控除などがあり、その他にも施設の賃貸や寄付などさまざまな控除の対象があります。

ドバイで課される主な税金は以下の通りです:
法人税、付加価値税(VAT)、物品税、関税、その他に一部のサービスに対する政府への手数料など

シンガポール同様、多くの外資がドバイ進出を目指すのは法人税の存在が大きいでしょう。法人税は2023年6月に同国で初めて導入されましたが、その税率は9%と低税率です。ただし、年間所得をAED37万5,000以下に抑えれば法人税は免除されます。

フリーゾーンと呼ばれるエリアでも条件をすべて満たす限り、法人税は免除されますが、フリーゾーン外でUAE本土または外国に恒久的施設(Permanent Establishment)を設立して事業を行う場合、法人税が課されます。

付加価値税は最終的に企業が支払う税金で、売上の5%を国に納めます。

物品税はたばこ及び電子たばこ機器、電子たばこ用のリキッド、炭酸飲料(砂糖や他の甘味料を加えたもの)に課されるもので、たばこに関しては100%、エナジードリンクは100%、炭酸飲料で50%と高額な税金が課されます。

公式に明確な税金名があるものではありませんが、一部のサービスには政府に納める手数料(実質的な税金)が発生します。例えば空室となっている商業用不動産の売却や、不動産関連サービスには5%、ホテルやレストラン、その他娯楽施設には10%の手数料などが課されます。

物価

シンガポールでは、2021年や2022年の物価上昇率に比べて2023年はやや緩やかではあるものの、物価高の状況は大きく変わっていません。

シンガポールでは、食料や燃料などの生活必需品を主に輸入に頼っています。政府は食料やエネルギーの供給を確保するための対策を講じていますが、ロシアによるウクライナ侵攻やCOVID-19パンデミックによるサプライチェーンの混乱といった外部のインフレが現地の生活費を押し上げています。これに加えて2024年から消費税が1%上がって9%となったため、全体的な物価はまだまだ高いといえるでしょう。

ただし、中央銀行のシンガポール通貨金融庁(MAS)による金融緩和や、政府による生活応援政策により、物価上昇の対策は今後も続いていくとみられます。今年2024年には、家計へのさらなる支援のためにS$19億に相当する予算が発表されるなど、シンガポール国民には手厚い支援がでています。

対するドバイでも物価高は続いています。2022年からウクライナ侵攻による原油価格高騰の影響を受け、燃料価格が毎月上昇し、さまざまなモノの価格が値上がりしました。しかし、UAEドバイ統計センターの発表による消費者物価指数を見ると、2023年は全体で1、2月こそ4%台後半なものの、1年を通して3%台まで下がっており、インフレが少々落ち着いた印象を受けます。

ただし、前述の原油価格高騰の影響で公共インフラや飲食費の値上がりは落ち着いていません。ドバイ政府は自国民への補助金で対処していますが、外国人居住者にとっては依然として厳しい状況が続いています。

シンガポールもドバイも輸入依存国のため、今後のインフレ模様によって物価は変動するでしょう。ただし、いまのところ情勢不安が起きる気配もなく、中央銀行による適切な金融政策や国民の賃上げも予定されているため、加熱することなく、安定した緩やかなインフレに着地することも予想されます。

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観光地

シンガポール・ドバイどちらも観光地としても一流の国と呼んで差し支えありません。

市内全体が見渡せるほどの超高層ビルや世界中の品物が並ぶ巨大ショッピングモール、歴史的文化建築、リゾートビーチなど魅了されるスポットが多いのが両国の共通しているところです。シンガポールではマリーナ ベイ サンズ、パラゴン ショッピングセンター、チャイナタウン、アジア文明博物館、マーライオン、セントーサ島などが、ドバイではブルジュ ハリファ、ドバイ モール、アル ファヒディ歴史地区、パーム ジュメイラなどが挙げられるでしょう。

アジアからのさまざまなモノが集結した玉石混合のシンガポール文化、また砂漠やアラブの文化の上に建つモダン都市が世界中から観光客を引き寄せます。

建物や景観のほかに、自然の豊かさも魅力的です。シンガポールは高温多湿な熱帯雨林気候が生んだ動植物園、ドバイには平坦なアラビア砂漠に建つ文化遺産や自然保護区などが象徴的です。

就労ビザ

シンガポールやドバイで起業や就業をする場合は就労ビザが必須です。

シンガポールでは主にEmployment Pass(通称EP)またはS Passが必要になります。

シンガポールでの就職が内定している外国人専門職、管理職、経営幹外国人技能労働者はEPを、EPの基準を満たさない外国人技能労働者はS Passを取得することになります。資格基準として、前者は月に少なくともS$5,000、後者はS$3,150の収入が必要になります。

近年、シンガポールでは「シンガポール・コア」というスローガンを掲げ、国益優先度が強まって取得の条件が厳格になっているので、手続きには入念な準備が必要になります。詳細は政府機関、人材開発省(Ministry of Manpower-MOM)の公式サイトをご確認ください。

ドバイでも現地での就職・就業を予定している方は、日本国総領事館を通じて入国前に就労ビザを、入国後に居住ビザを取得する必要があります。詳細は、政府機関、人的資源・自国民化省(Ministry of Human Resources & Emiratisation – MOHRE)の公式サイトをご確認ください。

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海外進出は経済動向と方向性を見守って適切な選択を

シンガポールとドバイはマーケットとしては大きくはないですが、その画期的かつ効率的な政策で世界的な競争力が非常に高い国です。どちらとも海外進出が成功すれば、国際的に優位な地位に立てる可能性を秘めています。優遇税制や安定さ、ビザの取得のしやすさではドバイかもしれませんが、言語や文化、立地、橋渡しが多いことを考えるとやはり日本人と親和性が高いのはシンガポールでしょうか。両国の経済動向を長期的に注視しつつ、最適なタイミングで正しい選択をしたいところです。

●記事内容は執筆時点の情報に基づきます。
●※ 2024年3月26日時点の為替レート、S$1 =112.63円、AED1 =41.20円で算出


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