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シンガポールの貿易を徹底解説!輸出入先ランキングや輸出入品目を学ぶ

長い間、経済連携のための二国間協定を締結してきたシンガポールと日本ですが、シンガポールの貿易はどのような特徴があるのでしょうか?今回は、シンガポールの貿易の概要や、日本とシンガポール両国の貿易について学びましょう。

シンガポールと貿易

東洋と西洋が交差するマレー半島南端にあり、ジョホール海峡に面した都市国家であるシンガポールは、中国、マレー、インド、ヨーロッパなど多様な文化、言語、宗教が調和し、独自の文化を形成してきました。

シンガポールの国土面積は東京23区の面積をやや上回るほどですが、電子産業によって高度成長を遂げた後、高付加価値の製造業、金融、情報通信、バイオテクノロジーの育成に力を注ぎ、最先端のビジネスでASEAN諸国および世界経済をけん引しています。

アジア太平洋地域の戦略的な位置にあり、卓越したインフラを備えることから金融と貿易の中心地となっています。また、さまざまな優遇税制措置により外資系企業を誘致し、グローバルビジネスの拠点でもあります。

出典:日本貿易振興機構(JETRO)

食料供給を輸入に依存

シンガポールの国土は728.3㎢で、東京23区の面積である627.5㎢をやや上回る広さです。シンガポール統計局によれば、2022年6月時点の国の総人口(国民、永住者、および長期滞在 (1年超)の外国人を含む)は564万人であり、決して広いとは言えない国土に、人口が密集しています。

日本の農林水産省のデータによると、シンガポールの国土に対して農用地は1%にも満たないと言われており、食料供給の大半を周辺国からの輸入に依存しています。

ハブとしての役割

東洋と西洋が交差する場所に立地するシンガポールは、昔から貿易の拠点でもありました。1965年の建国後、シンガポールは高付加価値の製造業や金融、情報通信、バイオテクノロジー関連の企業などを積極的に育成、誘致し、先進工業国へと成長していきました。また、国内のインフラ整備に注力したことで、より一層、経済や貿易のハブとして機能することになったと言えます。

シンガポールの輸出入額について

シンガポール統計局(Singapore Department of Statistics (DOS)によると、2021年の総輸出入額は、S$1兆1,600億円であり、前年比で約20%の増加となっています。そのうち、輸入額はS$約の5,459億、輸出額はS$約6,141億です。

2020年は、新型コロナウイルス感染症の世界的な流行により、総輸出入額がS$約969.1億まで減少しましたが、2021年は、コロナ禍以前の水準を超える実績となりました。また特色としては、輸出額が増加傾向にあり、輸入を上回っています。

シンガポール統計局による、2017年から2021年までの総輸出入額の推移については、こちらをご覧ください。

なお、2021年におけるシンガポールの貿易取引の総額における順位は下記のとおりです。特色としては、中国への輸出額が輸入額を超え、マレーシア、アメリカからの輸入額が、輸出額を超えています。

出典:シンガポール統計局

シンガポールの主な輸出入品は?

シンガポールの主な輸出入品にはどんなものがあるでしょうか。主要分野ごとの輸出品、輸入品の上位品目について見てみましょう。

輸出品トップ3

2021年におけるシンガポールの「非石油部門における主要品目」輸出品目のトップ3は下記のようになっています。

出典:シンガポール統計局

続いて「サービス分野」における輸出品目のトップ3は下記のようになっています。

出典:シンガポール統計局

輸入品トップ3

2021年におけるシンガポールの「非石油部門における主要品目」輸入品目のトップ3は下記のようになっています。

出典:シンガポール統計局

続いて「サービス分野」輸入品目のトップ3は下記のようになっています。

出典:シンガポール統計局

シンガポールの主要貿易相手国は

ここでは、シンガポールの主な貿易相手国について、輸出先と輸入先の上位の国を見てみましょう。

輸出先トップ5

2020年のシンガポールの輸出先トップ5は下記のとおりとなっています。アメリカについで、日本もシンガポールの主要貿易国のひとつであることが分かります。

出典:シンガポール統計局

輸入先トップ5

2020年のシンガポールの輸入先トップ5は下記のとおりとなっています。アメリカが圧倒的にシンガポールの輸入先となっていることが分かります。

出典:シンガポール統計局

シンガポールの対日貿易についての特徴は

シンガポールと日本との間には、どのような貿易取引が行われているでしょうか。日本はシンガポールにとって主要な貿易国のひとつですが、両国の輸出入ともに、電気機器や一般機械といった品目が上位を占めています。また、日本の対シンガポール輸出は生産財や中間財が多く、貿易収支は恒常的に日本の輸出超過となっています。

日本・シンガポール新時代経済連携協定

2002年に、日本とシンガポールの間で締結した「日本・シンガポール新時代経済連携協定」は、貿易や投資、金融、情報通信、科学技術、人材育成などを含む二国間の経済連携を目指す、日本にとって初めての経済連携協定と言われています。この協定締結により、両国間の往復貿易額の約99%(日本からの輸出額の100%、シンガポールからの輸入額の約95%)について関税が撤廃されました。

さらに、2007年には改正議定書が発効され、農林水産分野や、鉱工業品分野において、新たに関税を撤廃する項目が追加されました。

また、日本とシンガポールの間には、1961年に「二重課税防止条約」(日本シンガポール租税条約)が締結されており、二国間の租税について長きにわたり整備され、今に至ります。

日本とシンガポールの貿易概況

ここでは、日本とシンガポールにおける貿易取引の状況について見てみましょう。JETROが毎年調査しているデータによると、貿易収支額は恒常的に日本の対シンガポール輸出超過となっていることが分かります。

出典:日本貿易振興機構(JETRO) 

次に、日本とシンガポールとの貿易取引のうち、2021年の主な輸出入品目については下記のとおりです。

出典:日本貿易振興機構(JETRO) 

半導体関連の部品や機器を、日本とシンガポール双方で製造し輸出入しており、いずれも上位を占める品目になっています。

また、財務省貿易統計によると、2020年に日本からシンガポールに輸出した取引総額のうち、農林水産物が占める割合は1.6%となっているのに対して、シンガポールから日本に輸入した割合は、5.5%と高めになっています。それぞれ上位5品目の内訳は下記のとおりです。

出典:農林水産省「海外農業情報」

シンガポールの貿易施策

東洋と西洋が交差する場所という地理条件を生かして、昔から貿易が盛んなシンガポールですが、高付加価値の製造業などを育成し、輸出型の産業集積を行い、先進工業国に成長しました。加えて、外国企業の誘致を積極的に行い、魅力的な税制優遇策を用意することで、国際ビジネスが促進できる環境を作ってきました。

エンタープライズ・シンガポール(ESG)によれば、2013年から2018年における国内の卸売分野の貿易取引高は、シンガポールのGDPのうち17%であり、サービス分野で最大となっています。貿易関連の企業は、国内の雇用を生み出し、管理職などの上級職の雇用増にも貢献しており、国としてもメリットを十分受けていると言えます。

約800社以上ある日系企業(2021年4月現在)をはじめ、シンガポール国内には多数の外国企業があり、貿易の形態も、二国間のみならず、ハブ機能を生かした三国間貿易など多様になっています。こうした背景から、シンガポールでは貿易に関する税制優遇策も用意しています。

グローバル・トレーダー・プログラム(GTP)

グローバル・トレーダー・プログラム(GTP:Global Trader Program)とは、石油製品、石油化学製品、農産物、金属、電子部品、建築資材、消費財などの国際貿易に携わる会社で、シンガポールを「オフショア貿易(輸入者と輸出者の国以外の第三国が介在し、書類や決裁のみを行う貿易形態)」活動の拠点としながら、経営管理、投資・市場開拓、財務管理、物流管理の機能を有する会社が認定をうけると、特定商品のオフショア貿易による収益増分に対する法人税に対し、5%または10%の軽減税率が適用されます。

強みを生かすシンガポール貿易

東洋と西洋の交易拠点という地理的優位性を最大限に生かしたシンガポールの貿易は、国の経済を支える重要な柱となっています。従来の製造業を中心とした輸出型産業に加え、近年では、金融や情報サービス、エネルギー関連産業なども成長を遂げ、今後ますますシンガポールとの交易や三国間貿易などが盛んになることが予想されます。日本とも深いつながりがあるシンガポールの貿易に注視していきましょう。

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●記事内容は執筆時点の情報に基づきます。

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