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シンガポールの貿易を徹底解説!輸出入先ランキングや輸出入品目を学ぶ

長い間、経済連携のための二国間協定を締結してきたシンガポールと日本ですが、シンガポールの貿易はどのような特徴があるのでしょうか?今回は、シンガポールの貿易の概要や、日本とシンガポール両国の貿易について学びましょう。

シンガポールと貿易

東洋と西洋が交差するマレー半島南端にあり、ジョホール海峡に面した都市国家であるシンガポールは、中国、マレー、インド、ヨーロッパなど多様な文化や言語、宗教が調和し、独自の文化を形成してきました。

シンガポールの国土面積は、東京23区の面積をやや上回るほどですが、電子産業によって高度成長を遂げています。高付加価値の製造業や金融、情報通信の発展に力を注ぎ、最先端のビジネスでASEAN諸国および世界経済をけん引してきました。

また、アジア太平洋地域の戦略的な位置にあり、卓越したインフラを備えることから金融と貿易の中心地として機能しています。さまざまな優遇税制措置により、外資系企業を誘致してきたグローバルビジネスの拠点といえるでしょう。

<基礎的経済指標>

項目202020212022
実質GDP成長率(%)△3.98.93.6
名目GDP総額(US$100万)569,364643,546
一人当たりの名目GDP(US$)104,402114,165
消費者物価上昇率(%)△0.22.36.1
失業率(%)3.02.72.1
輸出額(US$10億)515.6614.1710.0
輸入額(US$10億)453.5545.9655.4
貿易収支(US$100万)106,457125,699136,404
経常収支(US$100万)57,33876,34590,152
外貨準備高(US$100万)362,305417,904289,484
対米ドル為替レート(S$)1,381,341.38
※△はマイナス値
出典:日本貿易振興機構(JETRO)外務省シンガポール統計局

食料供給を輸入に依存

シンガポールの国土は約734㎢(2023年)で、東京23区の面積である627.5㎢をやや上回る広さです。シンガポール統計局によると、2023年6月時点の総人口(国民、永住者、および長期滞在 (1年超)の外国人を含む)は約592万人であり、決して広くない国土に、人口が密集している状態です。

日本の農林水産省のデータでは、シンガポールの国土に対して農用地は1%にも満たないといわれており、食料供給の大半を周辺国からの輸入に依存しています。

ハブとしての役割

東洋と西洋が交差する場所に立地するシンガポールは、昔から貿易の拠点でもありました。1965年の建国後、シンガポールは高付加価値の製造業や金融、情報通信、バイオテクノロジー関連の企業などを積極的に育成、誘致し、先進工業国へと成長していきました。また、国内のインフラ整備に注力したことで、より一層、経済や貿易のハブとして機能することになったといえます。

シンガポールの輸出入額について

シンガポール統計局(DOS:Singapore Department of Statistics)によると、2023年の総輸出入額はS$1兆2,057億であり、2021年のS$1兆1,600億から約4%増加。そのうち、輸入額はS$約6,384億、輸出額はS$約5,673億です。

2020年は、新型コロナウイルス感染症の世界的な流行により、総輸出入額がS$約9,691億まで減少しましたが、2021年からはコロナ禍以前の水準を超える実績を記録しました。また、輸出額が増加傾向にあり、輸入を上回っています。

シンガポール統計局による、2019年から2023年までの総輸出入額の推移については、こちらをご覧ください。

なお、2023年におけるシンガポールの貿易取引の総額における順位は下記のとおりです。特色として、中国への輸出額が輸入額を超え、マレーシアやアメリカからの輸入額が輸出額を超えています。

<主要貿易相手国との商品貿易取引額>

順位国名金額(単位:S$100万)
1中国167.0
2アメリカ129.1
3マレーシア123.6
出典:シンガポール統計局

シンガポールの主な輸出入品は?

シンガポールの主な輸出入品にはどんなものがあるでしょうか。主要分野ごとの輸出品、輸入品の上位品目について見てみましょう。

輸出品トップ3

2023年における、シンガポールの「非石油部門別の主要品目」輸出品目のトップ3は下記の通りです。

順位品目名輸出額(単位:S$100万)割合(%)
1機械および輸送機器326.962.6
2化学薬品および化学製品76.414.6
3その他製造品55.810.7
出典:シンガポール統計局

続いて、「サービス分野」における輸出品目のトップ3は下記の通りです。

順位品目名輸出額(単位:S$100万)割合(%)
1輸送141.332.1
2その他サービス80.418.3
3金融58.613.3
出典:シンガポール統計局

輸入品トップ3

2023年における、シンガポールの「非石油部門別の主要品目」輸入品目のトップ3は下記の通りです。

順位品目名輸入額(単位:S$100万)割合(%)
1機械および輸送機器281.762.7
2その他製造品47.810.6
3化学薬品および化学製品45.110.0
出典:シンガポール統計局

続いて、「サービス分野」輸入品目のトップ3は下記の通りです。

順位品目名輸入額(単位:S$100万)割合(%)
1輸送122.830.9
2その他サービス71.818.1
3ビジネス管理44.011.1
出典:シンガポール統計局

シンガポールの主要貿易相手国は

ここでは、シンガポールの主な貿易相手国について、輸出先と輸入先の上位の国を見てみましょう。

輸出先トップ5

2022年のシンガポールの輸出先トップ5は下記の通りです。アメリカに次いで、日本もシンガポールの主要貿易国のひとつであることが分かります。

順位国名金額(単位:S$100万)
1アメリカ62.0
2EU-2760.1
3日本41.1
4ASEAN40.7
5オーストラリア39.3
出典:シンガポール統計局

輸入先トップ5

2022年のシンガポールの輸入先トップ5は下記の通りです。他国と比べ、アメリカからの輸入が多いことが分かります。

順位国名金額(単位:S$100万)
1アメリカ92.2
2EU-2738.3
3中国35.2
4ASEAN19.8
5香港19.6
出典:シンガポール統計局

シンガポールの対日貿易の特徴

シンガポールと日本間では、どのような貿易取引が行われているでしょうか。

主要貿易国である日本は、両国の輸出入ともに、電気機器や一般機械といった品目が上位を占めています。また、日本の対シンガポール輸出は生産財や中間財が多く、貿易収支は恒常的に日本の輸出が超過する傾向を示しています。

日本とシンガポールの貿易概況

ここでは、日本とシンガポールにおける貿易取引の状況について見てみましょう。JETROが毎年調査しているデータによると、貿易収支額は恒常的に日本の対シンガポール輸出超過となっていることが分かります。

日本の輸出日本の輸入収支(輸出−輸入)
201823,4199,74913,671
201920,1557,80412,351
202017,6758,5589,117
202120,0278,84311,184
202222,3409,84512,495
(通関ベース、単位:US$100万)
出典:日本貿易振興機構(JETRO)  

次に、日本とシンガポールとの貿易取引のうち、2022年の主な輸出入品目については下記の通りです。

日本からシンガポールへの主要輸出品目シンガポールから日本への主要輸入品目
1電気機器(15.7%)一般機械(19.9%)
2一般機械(14.5%)電気機器(16.6%)
3貴石、貴金属類(12.5%)精密機器(10.2%)
※カッコ内は構成比 
出典:日本貿易振興機構(JETRO)  

半導体関連の部品や機器を、日本とシンガポールの両国で製造・輸出入しており、いずれも上位を占める品目になっています。

また、農林水産省貿易統計によると、2022年に日本からシンガポールに輸出した取引総額のうち、農林水産物が占める割合は1.9%。対して、シンガポールから日本への輸入した割合は、5.2%と高めになっています。それぞれ上位5品目の内訳は下記のとおりです。

●農林水産物貿易上位5品目

日本からシンガポールへの主要農林水産物シンガポールから日本への主要農林水産物
1アルコール飲料(15.0%)加糖調製食料品(8.9%)
2牛肉(6.3%)たばこ(6.3%)
3小麦粉(3.4%)カカオ脂(1.7%)
4ソース混合調味料(2.8%)クッキー・ビスケット・クラッカー(1.4%)
5清涼飲料水(2.5%)チョコレート菓子(1.3%)
※カッコ内は構成比
出典:農林水産省「海外農業情報」

グローバル・トレーダー・プログラム(GTP)

グローバル・トレーダー・プログラム(GTP:Global Trader Program)は、対象となる所得に対して5年間、5%または10%の優遇税率を提供しています。グローバル・トレーダー・プログラムの認定を受けるためには、戦略的管理、コンプライアンスおよびリスク管理、財務管理、物流管理などの戦略的機能を実行することやシンガポールの銀行、金融インフラ、物流、調停やその他の支援サービスを積極的に活用し、人材資源開発に貢献しなければならないなどの、さまざまな条件があります。詳しくはこちらをご確認ください。

強みを生かすシンガポール貿易

東洋と西洋の交易拠点という地理的優位性を最大限に生かしたシンガポールの貿易は、国の経済を支える重要な柱です。従来の製造業を中心とした輸出型産業に加え、近年では金融や情報サービス、エネルギー関連産業なども成長を遂げています。さらに、今後もシンガポールとの交易や、三国間貿易が盛んになることが予想されます。日本とも深いつながりがあるシンガポールの貿易に注視していきましょう。

●最新情報は政府サイトなどを確認することをお勧めいたします。

●記事内容は執筆時点の情報に基づきます。

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