【2025年】シンガポール移住〜移住方法は?ビザの手続きは?気になる疑問を徹底解説

アジア屈指の国際都市として世界中から注目のシンガポール。治安の良さや低い税率などのメリットに惹かれて移住先として考える人も多いでしょう。移住にはどのような方法があるのでしょうか?移住のメリットやデメリットを交えながら、ビザ取得の条件や仕事の探し方、生活費の目安などを紹介していきます。
シンガポール移住のメリット
シンガポールへ移住するメリットはどのようなものがあるのでしょうか?代表的なものを見ていきましょう。
低い税率
シンガポールは世界の国々と比べても税率が低い国として知られています。日本では所得税に加え、住民税(最高税率55%)の納付が必要となりますが、シンガポールには住民税がありません。所得税については個人の所得税の納付が必要となるのはS$30,000からで税率2%。最高税率は所得がS$100万以上で24%となっています。また、贈与税、相続税がないこともシンガポールと日本の税制の相違点としてあげられます。
高い教育水準
シンガポールは立地的に、水や資源の乏しい国です。そのため国の発展のために戦略的に「人材」の教育に力を入れてきた歴史があります。教育政策においてはバイリンガル教育を取り入れ、シンガポールの人びとは公用語の一つである英語はもちろん、それ以外の言語を操ることができます。その高い教育水準は、世界中より教育移住の地としても注目されています。
また、シンガポールの大学は高等教育(大学)評価機関、Quacquarelli Symonds(通称QS)の2024年のランキングでも評価を得ています。世界最高基準の研究施設と教育環境を兼ね備えたシンガポール国立大学(National University of Singapore-NUS)が世界で第8位、アジアでは第1位にランクインしています。また、アジアトップレベルの理工系大学として知られる南洋理工大学(Nanyang Technological University-NTU)も15位にランクインしており、理系教育水準の高さがうかがえます。
治安の良さ
シンガポールに移住するメリットの一つとして、他のメリットと合わせて忘れてはならないのが「治安の良さ」です。2024年の世界で最も安全な国を評価する「世界平和度指数(Global Peace Index-GPI)」ランキング(Institute for Economics & Peace 調べ)ではシンガポールは第5位。2023年度より順位を上げ、アジアでは1位と日本を凌いで一番の治安の良さを誇っています。
また、シンガポールは、GPIのカテゴリーの一つである「Safety and Security(社会的安全と治安)」の評価で世界1位を獲得しており、総合的にみて、治安の良さと秩序が守られている国と世界から認識されています。
整ったインフラ環境
シンガポールは、世界の主要都市を結ぶ位置にあり、アジアにおける物流や貿易、ビジネスのハブとしての役割を果たしています。最適な環境でビジネスを活発化できるよう、そしてシンガポールに集う人びとが生活できるよう、デジタル、輸送システム、交通インフラはもちろん水や電力の安定供給なども世界高水準を保っています。それに加えて近年では、シンガポールも「スマートシティ」構想を掲げているため、都市OSのフレームワークによって、今後インフラの運営や管理が高度化していくと予想されています。
シンガポールに移住する5つの方法

実際にシンガポールに移住するにはどのような方法があるのでしょうか?5つの方法をご紹介します。
シンガポールの会社で働く
シンガポールには日系企業をはじめ、世界各国の企業が集まっており、特定のスキルを持つ方や、日本でのキャリアを活かして、シンガポールで挑戦してみたい方にとっては、魅力ある会社が見つかるかもしれません。日本語で閲覧可能な求人サイトが数多くあるほか、転職エージェントなどに登録してみることもおすすめします。
●中技能熟練労働者として働く場合
シンガポールの現地会社で従業員として働く際には「S Pass」と呼ばれるビザの取得が必要です。「S Pass」は、熟練労働者向けの就労ビザで、月額でS$3,150以上(金融部門はS$3,650)の給与を得ていることが申請の条件となります。有効期間は初めての申請で最長2年、更新以降は最長3年になります。なお、2025年9月からの申請、2026年9月の更新時は給与条件が月額でS$3,300以上(金融部門はS$3,800)に引き上げられます。
●経営幹部やエグゼクティブマネージャーとして働く場合
会社役員として働く場合には「Employment Pass(EP)」と呼ばれるビザの取得が必要です。こちらは外国人専門家、管理職、企業幹部向けの就労ビザで、取得の条件が2段階あります。
1つ目は「S Pass」と同様の給与面の条件で、2025年1月1日以降の新規申請では月額でS$5,600以上(金融部門はS$6,200)の給与を得ていることが条件となります。
2つ目は「COMPASS」と呼ばれるシステムで、候補者のスキル、資格、給与、雇用における多様性など、さまざまな基準をクリアして合計40ポイントを獲得する必要があります。有効期間は初めての申請で最長2年、更新以降は最長3年になります。
シンガポール人材開発省(MOM)のサイトでは、ご自身のキャリアや現在の給与額が、Sパスの申請基準を満たすかどうか調べることができるオンラインツール「Employment / S Pass Self-Assessment Tool (SAT)」が提供されています。気になる方はぜひチェックしてみてください。
シンガポールで起業する
シンガポールで新たなビジネスを起業したい方は優秀なイノベーターや経験豊富な投資家を対象とした「Entre Pass」のビザに申請ができます。会計企業規制庁(Accounting and Corporate Regulatory Authority-ACRA)に登録されている、もしくは、ベンチャー支援や革新的な技術を持っている、いずれかの民間有限会社を設立(予定)であることが条件となっています。
また、シンガポールで共同研究を行っている、政府公認である、知的財産を保有しているなどの基準を満たす必要もあり、ハードルは高めです。なお、カフェやバー、ナイトクラブ、マッサージ店の開業などは本ビザの申請対象にはなりません。有効期間は新規パスおよび初回更新の場合が最長1年間、それ以降の更新からは最長2年となっています。
Entre Passを申請しようと検討中の方で、大規模なハイテク企業の設立、大量に採用されるハイテク製品の開発を行っている場合は「Tech Pass」の申請対象となる可能性があります。シンガポール経済開発庁(EDB)が発行するパスで、大手や急成長を遂げているテクノロジー企業の創業者、リーダー、技術専門家を世界中から誘致する目的で発行され、個人単位で申請できます。
詳細についてはこちらをご覧ください。
シンガポールでワーホリする
日本を含む10か国の学部生、大学院生で、18歳から25歳までの方は「Work Holiday Pass」の取得を申請できます。本ビザがあれば、最長6か月間シンガポールに滞在でき、就労も可能です。ただし、医学、歯学、薬学、建築学、法律などの専門職で働く場合は、要件を満たす必要があります。
キャリアを検討中の学生や、まずは国内のビジネス環境を見てから就職先をじっくり考えたいという方は、ワーホリをしてみるのもよいかもしれません。
シンガポールで働く家族に帯同する
シンガポールで働く外国人就労者に帯同する家族にも申請可能なビザがあります。「Dependant’s Pass(DF)」と呼ばれ、法律上の婚姻関係にある配偶者および未婚である21歳未満の子どもが申請できるものです。
ただし、メインの就労者は「Employment Pass(EP)」または「S Pass」を保持し、単一の月額給与として、毎月S$6,000を得ていることが条件となります。
2025年現在、「Dependant’s Pass(DP)」保持者でシンガポールでの就労を希望する場合は、「Employment Pass(EP)」または「S Pass」を、雇用主経由で申請する必要があります。
永住権を取得する
「Permanent Residence(PR)」が取得できれば、就労ビザの取得も不要で、文字通り、無期限でシンガポールに滞在することが可能です。
申請可能な人の条件として、シンガポール国民または永住権(PR)保持者の配偶者または21歳未満の子ども、シンガポール国民の両親、就労ビザや「S Pass」の保持者、投資家などがあります。
ほかにも、Global Investor Programme(GIP)という投資プログラムを通じてPR取得を目指すこともできます。十分な資産と実績があり、一定条件下の投資をすればPRを申請することが可能です。こちらはシンガポール経済開発庁(EDB)より発行されます。
シンガポール移住のデメリット
シンガポール移住はあらゆる恩恵を受けられますが、その反面、デメリットと呼ばれる面もいくつか存在します。以下に代表的なものを挙げていきます。
物価の高さ
物価の高い都市と言われるシンガポール。世界の物価指標を表す「NUMBEO」のサイトによれば、2025年現在でシンガポールの生活費は日本の73%増。生活費高騰には物品サービス税(GST)が、2024年1月に8%から9%に上がったことも影響していそうです。一般的に食費や通信費、交通費は日本よりも安く抑えることができると言われています。
一方で格別に高いと感じるのが住居費や教育費です。生活費を抑えるべきところは抑えることができるように感じますが、品物が課税対象かどうか、1週間や1か月に必要な生活必需品の費用はいくらかかるかなど、移住前に生活費のシミュレーションを必ず行いましょう。
狭い国土に人口密集
2024年度に国連が発表した人口密度ランキングWorld Population Prospects 2024(2024年の人口の見通し)で堂々の3位にランクインしたシンガポール。2022年の2位からはランクダウンしているものの、人口密度は0.7%上昇しています。東京23区とほぼ同じ面積のシンガポールでは、人口の密集は不動産価格の高騰、物価高を招く原因ともなっています。ただ、人口密集地でよく発生する感染症や交通渋滞の問題についてはシンガポール政府の万全な対策により深刻な問題となっていない現状です。
シンガポール独自のルール
最後に「国のルールの厳しさ」ですが、日常生活の細かいルールが多く、知らなかったことで罰則を受けることもあります。例えば国旗に関するルールや、チューインガムの持ち込み禁止など、日本では経験のないルールに遭遇することもあり、少し息が詰まる時もあるかもしれません。しかし、こちらも多様な民族や宗教の人びとが暮らすシンガポールの秩序を維持するためという一説があるようです。治安の良い、安全な国作りには欠かせない要素とも受け取れます。
シンガポールの現地採用・仕事探しの方法

シンガポール移住に際しては、どんな仕事に就くかについても気になるところです。日本の企業に勤めながら、シンガポール赴任のチャンスを待つ方法もありますが、シンガポール現地で仕事を探すにはどのような方法があるでしょうか。
より近道と言われるのは、シンガポールの日系企業に就職することです。日本語がネイティブなので、企業側にとっても即戦力として期待できます。また日本で培ったキャリアも活かせる可能性が高いでしょう。さらに、英語や中国語などの語学ができることは、シンガポールで働く上で有利になります。
シンガポールには日系の人材紹介会社も進出しているので、ぜひ活用してみましょう。希望する就職先と、ご自身のキャリアにギャップがないかなど、より客観的にマッチングを図ってもらうことが期待できます。マネージャーや上級管理職の就職斡旋を行う人材紹介会社もあるので、リーダーシップ経験や管理職キャリアのある方も活躍できるチャンスがあります。
一方、キャリアがまだない新卒の方などはワーキングホリデーなども活用しながら、シンガポールでの仕事をじっくりと探し、現地採用に向けてチャレンジする方法も考えられます。
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ビザ取得の手続き

①Employment Pass(EP) 最も一般的な専門職・管理職・経営者対象の就労ビザ。ここ最近はシンガポール人への均等な雇用機会提供に伴い、COMPASS導入をはじめとして取得条件が厳しくなっている一面があります。 ②S Pass 中技能熟練労働者向けのビザ。 ③Training Employment Pass(TEP) シンガポールで研修を受けるための留学生や外国人研修生対象のビザ。 ④Personalised Employment Pass(PEP) 高所得のEP保持者または専門職に就いている外国人対象のビザ。 ⑤Work Holiday Pass(under Work Holiday Programme) 学生や新卒者が6か月間働きながら過ごすことができるビザ。 ⑥Entre Pass ベンチャー企業、革新的な技術の事業運営をしたい起業家、経験豊富な起業家などを対象としたビザ。 ⑦Tech. Pass (2021年1月より導入) 世界各国の技術系の起業家、リーダー、専門家に申請資格のあるビザ。個人が直接申請可能で、シンガポール経済開発庁(EDB)より発行されます。 ⑧Overseas Networks & Expertise Pass(通称ONE Pass)(2023年1月より導入) ビジネスや芸術、文化、スポーツ、学術、研究など、あらゆる分野でトップの才能を持った人材を対象としたビザ。 |
就労ビザに関する情報は変更も多く、日頃から情報収集を行い、時には専門家のアドバイスを受けることも大切かもしれません。移住を希望する方は、ビザ取得の壁に負けることなく、早めに対策を始めてみてはいかがでしょうか?
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魅力あふれるシンガポール移住
今回は、シンガポールに移住するための方法や条件、メリットとデメリット、暮らしや仕事の探し方などについて見てきました。物価が高く、ビザ取得の壁も年々高くなっていると言われるシンガポールですが、ご自身のキャリアがシンガポールで求められる可能性は決してゼロではありません。シンガポールでの就業やビジネスが軌道に乗れば、移住だけではなく老後の安定もその後の視野に入ってきます。
シンガポールへの移住に興味があったら、まずは情報収集を始めてみましょう。
●記事内容は執筆時点の情報に基づきます。
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