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シンガポールで起業するメリット・デメリットは?起業家が集まる理由を探る

起業を考えた時に、ビジネスの拠点に思い描く国はどこでしょうか?シンガポールには世界中から起業家が集まります。ビジネスがしやすく、起業しやすい国として世界ランキングの上位に位置するシンガポールで起業するメリット・デメリットをみていきましょう。

シンガポールに起業家が集まる理由

シンガポールは、ビジネスに最適な環境が整っています。シンガポールは、アジア諸国やオセアニアへのアクセスが良い場所にあり、販売販路の拡大グローバル展開がしやすいと考えられています。

中心部からほど近いハブ空港のチャンギ国際空港は、アジア主要都市や中東への物流拠点として活用できることで世界から注目を集めています。 シンガポール政府も経済・労働力政策を通して、ビジネスを促進する環境の創出に取り組んでいます。

ビジネスのしやすさランキング

World Bank Groupが発表している、ビジネスのしやすい国ランキングにおいてシンガポールは堂々2位にランクインしています。日本は少し遅れをとる29位となっています。

ビジネスをしやすい国ランキングは、「起業のしやすさ」、「資産調達」、「海外貿易のしやすさ」などの12の判断基準で決定されています。起業をするために必要な要件がビジネスしやすい国には揃っている、と言えるでしょう。

 ビジネスのしやすさランキング
 ニュージーランド1
 シンガポール2
 香港3
 デンマーク 4
 韓国5




 日本29

参考:Doing Business2020 (World Bank Group)



起業のしやすさランキング

シンガポールでは、新スタートアップ会社税額免除制度(Tax Exemption Scheme for New Start-Up Companies)やパイオニア・インセンティブ(Pioneer Certificate Incentive:PC)など、起業を支援する制度が充実しています。

制度を利用することで、獲得した利益をビジネスに反映しやすくなっていることが、シンガポールに起業家が集まる理由であると考えられます。また、シンガポールでは外資規制、送金規制もあまりなく、比較的容易に会社を設立できます。

World Bank Groupが発表している起業のしやすさランキングでも、シンガポールは4位にランクインしています。日本は他の主要国と比較しても、社会における起業家の地位が低いことやリスク回避志向が強いことなどがあり、106位という結果になっています。

 起業のしやすさランキング
 ニュージーランド1
 ジョージア2
 カナダ3
 シンガポール 4
 香港 5




 日本106

参考:Doing Business2020 (World Bank Group)

 


経済成長率の高さ

シンガポールは世界トップクラスのインフラ開発が進んでおり、法制度もしっかりしていて、治安も良好です。また、教育水準が高く自然災害が少ないことが、経済活動を行う上で強みとなっています。

シンガポール 基礎的経済指標

項目2019年2020年2021年
 実質GDP成長率1.10(%)△4.14(%)7.61(%)
 名目GDP総額375.5$10億)345.3($10億)397.0($10億)
一人当たりの名目GDP65,833($)60,728($)72,795($)

参考:JETRO/日本貿易振興機構

2021年日本の実質GDP成長率は1.62%名目GDP総額4,937.4($10億)一人当たりの名目GDP39,340($)です。シンガポールの基礎的経済指標と比べても、シンガポールの経済成長率の勢いは一目瞭然です。


シンガポールで起業するメリット

世界の大手企業からスタートアップ企業まで、シンガポールは最適なビジネスの場として選ばれ続けています。では選ばれる理由を起業するメリットとしてみていきましょう。

法人設立方法がシンプル

会社を設立する際、シンガポールではビジネスの規制と手続きが、とても簡素なものになっています。手続きが電子化されていることにより、シンガポールに入国する前からビジネスを迅速に始めることができます。

また、現地法人の設立に必要な最低資本金は、S$1です。会社登記のオンライン申請・承認にかかる所要日数は、 東南アジアの平均より17倍速い通常約1.5営業日とされています。


法人税率の低さ

シンガポールは法人税が17%と、日本の法人税23.2%(普通法人や一般社団法人などまたは人格のない社団など)に比べて低くなっています。個人所得税も上限22%と、日本の上限45%と比べて、生み出した利益を還元しやすいと言えます。

また、接待交際費などは原則、経費計上が可能で、住居費についても経費計上できます。住民税・相続税・贈与税はなく、資産運用益に係るキャピタルゲインやインカムゲインに対する課税もありません。

富裕層の多いシンガポールでは、資金調達のしやすさも魅力です。特定の業種を除き、ほとんどの業種で外資100%の出資が可能なため、投資家は起業家に投資しやすい環境となっています。

税金や資金という金銭面の手厚いサポートが、シンガポールでの起業を後押ししているとも言えるでしょう。


優秀な人材

シンガポールの公用語は英語、マレー語、中国語、タミル語です。ほとんどのシンガポール人は英語と複数の言語をネイティブレベルで操ることができるとされています。

このため、海外企業との交渉や従業員の雇用などの業務をとても効率的かつ円滑に進めることができると考えられています。

また、シンガポールの教育レベルは、アジアでトップクラスです。複数の言語を操るだけでなく、プログラミングなどさまざまなスキルを持つ優秀な人材は、起業したばかりの時期や事業拡大の際に、大きな戦力になるでしょう。 


シンガポールで起業するデメリット

シンガポールで起業するデメリットを3つご紹介します。あらかじめデメリットを知り、シンガポールでのビジネス成功につなげましょう。

物価が高い

世界の物価や治安についてまとめている「NUMBEO」によると、シンガポールで一家4人暮らしの家賃を含まない一カ月あたりの生活費は、約S$5,197(約51万5,000円)とされています。シンガポールは国土の狭さから住宅が密集し、家賃もとても高いと言われています。

2023年1月(記事作成時)現在の「NUMBEO」によると、総合的にシンガポールでの暮らしは、東京と比べ約18.4%高く、家賃に関しては東京の約163.3%高くなります。

この結果から、シェアオフィスやサービスオフィスの活用を視野に入れていくのも良いでしょう。また、近年、家で仕事をするいわゆる在宅勤務も浸透しています。

賃貸だけではなく、時代の流れに沿ったシェアオフィスの活用は、シンガポールで長くビジネスを続けるために必要でしょう。


ビザ取得の厳格化

シンガポール政府は、海外からの起業家に負けない優秀なシンガポール人を育て、雇用を守るという方針を打ち出しました。

さらに新型コロナがシンガポール経済にも大きな影響を及ぼし、シンガポール政府は国民の雇用を優先する姿勢を一層強めています。結果、就労ビザや永住権の取得要件は大幅に厳格化されました。

シンガポールで起業や雇用を考えるならば、制度改正への迅速な対応や、政府の方針に基づいた対策がシンガポールでのビジネスを続けていくために必要です。

就労ビザの詳細は下記、関連記事を参考にしてみてください。




競合他社の多さ

シンガポールには数多くの海外企業が既に存在しています。シンガポールの面積は、約720平方キロメートルと東京23区とほぼ同じです。人口は約569万人、日系企業数(日本商工会議所登録企業数)は805社(2021年4月現在)と数多くの企業がシンガポールに進出しています。

シンガポールで起業するのであれば、競合他社と差別化できるビジネス戦略をきちんと明確にすることが必須です。


シンガポールで起業するメリットを最大限に活かす

柔軟に変化をしながら成長し続けるシンガポールは、デメリットを加味しても世界中の起業家を魅了する、パワーのある国です。

世界屈指のビジネスインフラや合理的な税制システムが整ったシンガポールで、起業を希望する人が後を絶たないのは当然の流れと言えるでしょう。

一昔前までは終身雇用が当たり前だった日本でも、働き方に少しづつ変化が起きています。転職、副業、在宅、起業など、働き方はどんどん自由になっています。起業前にシンガポールをよく学び、シンガポールでの起業のメリットを最大限に活かしましょう。


●法人設立の手続き、法人登記、就労ビザの要件や申請方法は、政府サイトを確認し常に最新情報を得ることをお勧めいたします。
●金額は2023年1月26日現在の為替相場(S$=98.63 円)で換算表示
●記事内容は執筆時点の情報に基づきます。

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