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シンガポールでMBA取得!シンガポールMBAランキングやメリットをご紹介

MBAと聞くと米国や欧州で取得するといったイメージがありませんか?しかし、実はいまアジアMBAの人気が高まっており、特にシンガポールでのMBA取得が注目されています。地理的にも費用面でも欧米よりお得で、世界から見てその実用性も確かなもの。今回はシンガポールMBAの世界ランキングを公開し、そのメリットとデメリット、MBAビジネススクールの選択基準について解説していきます。

MBAとは?

MBAとは「Master of Business Administration」の頭文字をとったもので、日本では「経営学修士号」とよばれる学位です。ビジネススクールのある大学院で経営学を修めた人に授与されるもので、企業経営学のほか、マーケティングや戦略経営といった幅広い実務スキルの取得を証明する学位になります。

一般的に経営者、経営コンサルタント、管理職のキャリア基盤となる重要な学位として位置づけられるとともに、就職の場面でも取得していれば優位に立てる学位だといわれています。

元々MBAは、米国で19世紀に経営の近代化のためのビジネス・スクールが設立されたのが始まりで、その後、20世紀を通して企業経営の実務家を養成するためのMBAプログラムが世界各国で併設されてきました。

しかし、21世紀に入ってからはビジネスの現場もテクノロジーの進化や各々のキャリア形成など、さまざまな事情が反映されるようになり、起業家養成の機運も高まってきています。そのため、MBAの取得コースもかつてないほど多様化し、今日も発展を続けています。

シンガポールはMBAランキングで何位?

英国の経済紙「Financial Times」によると、2023年度のMBAランキングでは、シンガポールのスクールおよび現地キャンパスがTOP50圏内にランクインしており、Inseadのシンガポールキャンパスが2位、National University of Singapore(NUS) Business Schoolが25位、Nanyang Technological University(NTU)のNanyang Business Schoolが38位となっています。

特にNational University of Singapore Business School MBAはアジアのトップ校として有名であり、卒業後の平均給与額もUS$161,506(2023年11月レートでS$218,586 = 24,114,000円)と非常に高給です。

TOP50圏外ではありますが、Singapore Management University(SMU)のLee Kong Chian School of Businessも61位にランクインしています。

順位スクール名キャンパス立地国卒業後の平均給与(US$)
1Columbia Business School米国226,359
2Inseadフランス/シンガポール198,363
3Iese Business Schoolスペイン181,270
4Harvard Business School米国235,019
4Stanford Graduate School of Business米国248,669
6SDA Bocconi School of Managementイタリア192,815
7University of California at Berkeley: Haas米国213,321
8Cornell University: Johnson米国193,293
9Northwestern University, Kellogg School of Management米国209,337
10Yale School of Management米国196,659
11Duke University’s Fuqua School of Business米国196,754
11MIT: Sloan米国207,100
11University of Chicago: Booth米国218,068
14UCLA Anderson School of Management米国192,256
15Dartmouth College: Tuck米国201,451
16London Business School英国182,254
17HEC Parisフランス172,393
17University of Virginia: Darden米国191,160
19New York University: Stern米国198,024
20Ceibs中国177,132
21University of Southern California: Marshall米国181,385
22IE Business Schoolスペイン165,391
23University of Cambridge: Judge英国173,775
23Shanghai University of Finance and Economics: College of Business中国181,274
25National University of Singapore Business Schoolシンガポール161,506
26University of Michigan: Ross米国186,829
27ESCP Business Schoolフランス/イタリア/スペイン/英国/ドイツ130,888
28University of Oxford: Saïd英国164,874
29Rice University: Jones米国183,332
30Esade Business Schoolスペイン157,209
31Washington University: Olin米国162,694
32Georgetown University: McDonough米国185,936
32IMD — International Institute for Management Developmentスイス171,116
32University of Washington: Michael G. Foster米国170,234
35University of North Carolina: Kenan-Flagler米国169,416
36Emory University: Goizueta米国170,320
37Imperial College Business School英国151,143
38Nanyang Business School, NTU Singaporeシンガポール150,145
39Indian School of Businessインド161,331
40University of Florida: Warrington米国135,921
41HKU Business School香港132,496
42HKUST Business School香港155,211
43Michigan State University: Broad米国143,697
44Vanderbilt University: Owen米国165,894
45University of Rochester: Simon Business School米国160,913
46Alliance Manchester Business School英国139,428
47Edhec Business Schoolフランス130,039
48Fudan University School of Management中国138,087
49Carnegie Mellon: Tepper米国176,091
50University of Texas at Austin: McCombs米国172,879

出典:Financial Times


シンガポールでのMBA取得メリット

MBAといえば未だに欧米で取得するものといったイメージが強いですが、最近ではアジアのMBA取得を目指す層も着実に増加しています。シンガポールのMBA取得は試験難易度や競争率が欧米と比べて低いというのがまず挙げられますが、環境面や費用面、言語面、就職面などにおいてもそのメリットが注目されています。

環境

シンガポールMBAは、そのプログラム内容が東南アジア(マレーシア、ベトナム、タイなど)と東アジア(日本、韓国、中国など)の両方を網羅しているため、アジアでビジネス展開を図るには非常に有効です。

また、シンガポールはアジアのほぼ中央に位置していることから、地理的に多くの優秀な人材が集まりやすく、必然的にアジアでの強固なネットワークも形成され、アジアビジネスに関する有益な情報を共有できる可能性があります。

シンガポールはIT事業や医療などの成長発展が期待される分野の土台がしっかりしているほか、安定した政治がなされ、法整備も充実しているため、アジアのビジネスパーソンには魅力的に映るでしょう。国内の治安が良く、安心して暮らせるというのも大きな利点です。

費用面

費用面でもシンガポールをMBA留学先に選ぶ理由になります。MBAの入学金や授業料に関していえば、欧米ではトータルで約1300〜2000万円以上かかるところが、シンガポールでは約750〜950万円ほどと比較的安く済みます(スクールにより幅あり)。別枠の選考で一定の基準に達していれば奨学金を受けることもできるようなので積極的に活用したいところです。

生活費に関しても、シンガポールでは約1年半で280万円前後かかるとの試算もあり、学費と生活費を合わせても約1000〜1200万円ほどと欧米に比べてコストをかなり抑えられるようです。単位を早く取得するなど、在籍期間が短くなった場合は、生活費をさらに安く抑えられるでしょう。

言語面

MBAの授業は英語で行われますが、シンガポールの公用語は英語のほかに、中国語やマレー語もあるため、東南アジアはもちろん、中華圏からも多数の留学生が訪れます。特に中華圏の留学生は英語はもちろん中国語での会話も日常的に行うため、場合によっては中国語を学べる機会にも恵まれるでしょう。

中国語ができればアジアでのビジネスチャンスも一気に広がります。シンガポールのMBA留学は多言語習得の好機でもあります。ちなみに、MBA留学の際にはTOEFLやIELTS、GMATなどで高スコアを取る必要があります。例えば、NUSではTOEFL100点またはIELTS7.0が、NTUではTOEFL90点またはIELTS6.0が条件となっています。

クラスの規模

欧米のMBAは約500〜1000人規模となっていますが、シンガポールのMBAは約50人〜100人と欧米に比べて少なく、少数精鋭なクラス編成のため、学生と教員の密なコミュニケーションやきめ細かなサポートが望めます。少人数かつアットホームな環境で勉強したいという方にはうってつけです。

アジアへの進出や就職

シンガポールの各スクールのMBAプログラムでは、アジアへのビジネス展開やグローバルリーダー育成を考慮したカリキュラムが組まれています。MBA取得後の進路は多岐にわたりますが、アジア圏内のビジネス、主に金融、コンサルティング、IT関連への進出が多いようです。

現在世界の多くの企業がシンガポールに進出しているため、シンガポール国内の企業への就職に有利に働く可能性があります。実際、シンガポールの各校が公開しているキャリアレポートによると、約9割の学生がアジア・太平洋地域で職を得ているようです。グローバル企業のアジア本社や日系企業の海外事務所などは大いにチャンスがあるでしょう。

日本への帰国を予定しているケースでも、外資投資銀行や外資コンサルなどでは、M&Aなどの専門的な知識を得たアジアMBAホルダーを高く評価してくれる可能性があります。

また、優秀な学生同士のネットワークを駆使してアジアビジネスのための人脈を構築したり、プレゼン力を高めたりするなど、活躍する機会は数多くあります。

柔軟性のあるプログラム

シンガポールのMBAはフレキシブルなプログラムで知られています。通常プログラムを終えるまでに15カ月〜17カ月かかるところを、必要単位さえ取得すれば10カ月~12カ月に短縮することができます。逆に、必要に応じて延長することも可能です。

また、毎日日中に授業を行うフルタイムのほかに、夜間や短期集中的に行うパートタイム授業を実施している場合もあり、個々の事情に合わせて授業形態を選択できます。

国際色豊かなクラス

シンガポールのMBA留学には、およそ15〜24カ国もの人々が訪れます。他国の文化やビジネス模様に触れる絶好の機会となるはずです。

シンガポールでのMBA取得デメリット

シンガポールMBAはメリットも多いですが、その反面以下のようなデメリットも存在します。シンガポールへのMBA留学を迷っている方は、これらを考慮に入れたうえで、どの国と学校が自分に一番適しているか慎重に見極めましょう。

知名度

NUSもNTUも世界の大学ランキングの常連であり、日本でも知られた存在ではあるものの、欧米MBAのトップスクールに比べるとやはり知名度で劣ってしまうことは否めません。MBA採用では欧米MBAホルダーと比較された場合、実力やブランド面で若干のハンデを負う可能性があります。

ダイバーシティの偏り

シンガポールMBAはアジア出身者が多く、どうしても各分野の視点がアジア寄りになってしまいがちです。多国籍企業で活躍したい方や欧米ビジネスにも重きを置いている方は物足りなさや違和感を感じるかもしれません。

英語の発音の違い

米語を中心にフォーマルな英語を学んできた方は、アジア圏出身者の英語の発音に戸惑うかもしれません。実際、東南アジアや中華圏、南西アジア出身者は、欧米人と比べてイントネーションや発音が異なることが多く、人によってはコミュニケーションがうまく取れない可能性があります。

シンガポールでのMBAの選び方は?

シンガポールでのMBAは、世界MBAランキングを参考にしつつ、前述したプログラム期間、学費・生活費、クラス体制、就職率などを総合的に判断して自分に合う留学先を決めましょう。ダブルディグリー制度やカリキュラム内容、どのような教授・講師が在籍しているかなども判断基準になるので参考にしてください。

ダブルディグリー取得

シンガポールMBAは、2校でのMBA+αの取得といったダブルディグリー制度があります。2つの学校で2種類のMBA取得(MBA + MBA)、MBAと専門領域の学位取得(MBA+エンジニア系、医療系、公共政策系)といった方法です。

ダブルディグリー制度を活用すると、2つの学位を別々に得るより短い期間で学位を取ることができ、付加価値として専門領域の知識を得られるため、選択肢がさらに広がります。

また、2校をまたぐので人脈の広がりも期待できます。NUSとNTUではこのダブルディグリーの提携校があり、以下の学校の学位を同時に取得することができるので、ぜひ検討してみてください。(※表は一例です。最新情報は各校HPをご確認ください。)

学校名提携校取得学位
NUSPeking University(中国)Peking University Double Degree
NUSYale University(米国)Yale Master of Advanced Management(MAM)
NUSNUS the Lee Kuan Yew School of Public Policy
(シンガポール)
NUS MBA-Master in Public Policy(NUS MBA-MPP)
NTU早稲田大学(日本)Nanyang-Waseda Double MBA
NTUESSEC Business School(フランス)Nanyang MBA and MSc in Management
参考:NUSNTU

カリキュラム内容

MBA取得後にどのような分野で活躍したいのかによって、スクールやコースも変わってきます。各スクールのカリキュラム内容を事前に確認し、しっかりと準備しておいてください。以下はシンガポールのNUS、NTU、SMUのカリキュラム内容の特徴です。基本はどのスクールも経営の3要素である「ヒト・モノ・カネ」の知識習得を軸とし、独自のカリキュラムを展開しています。

NUS:
経営の基本知識を学ぶCore科目コース、関心が高い分野やキャリアゴールに合わせた選択ができるElective科目コース、Real EstateやHealthcare Managementといった特定の分野や技能の専攻が可能なSpecialisationコースなど、幅広いカリキュラムが用意されています。なかでもCore科目にはMBA Consulting Projectという実際の企業に対してコンサル業務を行うプログラムがあり、実社会でのアウトプットの機会もしっかり用意されています。
 
 
NTU:
理工系のスクールなため、「サイエンス&テクノロジー」の分野に強く、最新のテクノロジーをベースにビジネスイノベーション関連をグローバルかつデジタルな環境で重点的に学ぶことができます。世界的なリサーチセンターや関連の産業界とのつながりを活用した独自のカリキュラムがあります。12カ月と比較的短い期間で修了が可能です。
 
SMU:
各提携企業とのつながりを活用した実学を重んじているところが最大の特徴。起業や金融、エネルギー、IT分野に強く、「金融・保険」と「情報・通信」への進出も多いようです。また、アルムナイ組織も充実しています。
参考:NUSNTUSMU

教授や講師

NUSの教授・講師陣は世界的に有名な大学で教育を受け、国際機関のコンサルタントや、著名な国際企業の役職を務めた経験を持っています。NTUは欧米大学のMBAやPh.D.ホルダーが多く、特にMBAプログラムはTeacher of the Year やBusiness Professor of the Yearなどに選ばれた有名な教授が教壇に立ちます。SMUでは、他校と比べても遜色のない質の高い講義を実施しています。

シンガポールのMBAスクールの教授・講師陣は各々が専門分野を持ち、その大半が数々の華やかな実績を以てスピーディーで質の高い講義をしています。ただ、スクールやカリキュラムによって進め方や教え方も異なるので、教授や講師についてもこまめにチェックしておきましょう。

アクセス

スクール選びの際にアクセスも重要な判断材料となり得ます。「時間を節約したい」、「土地感覚がない」という場合はアクセスが許容範囲かどうかを下調べしておくと良いでしょう。例えば、SMUは街の中心部ですが、NUSは少し市街から離れています。一番良いのは実際に一度見学してみることです。アクセスの良し悪しのほか、各スクールの雰囲気や学生のレベルもそれとなくつかめるので、可能であれば一度訪問することをおすすめします。

シンガポールでMBAを取得してアジアビジネスへの大きな躍進を

いま、アジアMBAが急速に人気となっており、説明会などでは参加者が殺到するほど。そのなかでもシンガポールは行きやすさや費用、難易度、言語面からみて好条件がそろっていると言えるでしょう。有資格者でアジアでのビジネスに興味がある方はぜひ挑戦してみてください。日本からの優秀な人材がアジアビジネスの発展に貢献するのを願ってやみません。

●記事内容は執筆時点の情報に基づきます。
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