シンガポールの就労ビザの特徴と取得のコツをご紹介

外国人が就労ビザを取得することは、多くの国でハードルが高いものといわれています。シンガポールも例外ではないようです。ここでは、シンガポールの就労ビザの特徴と就労ビザを取得するためのコツをご紹介します。ぜひ、参考にしてください。
就労ビザの種類は主に4つ

日本人が関わるビザは次の4種類です。以下に4種類の就労ビザの特徴をまとめました。
■EP(Employment Pass) 対象者:専門職・管理職・経営者 最低給与:S$5,000・金融部門はS$5,500 2022年9月よりEP申請における給与基準が引き上げられました。 ビザの有効期間:新規パスと初回更新:1年 その後の更新:2年 ■Sパス(中技能熟練労働者) 対象者:熟練労働者 最低給与:S$3,000・金融部門はS$3,500 ビザの有効期間:最長2年 ■PEP(Personalized Employment Pass) 対象者:高額所得者や外国人専門家 最低給与:年間S$144,000 ビザの有効期間:3年 ■Entre Pass 対象者:外国人起業家 最低給与:なし ビザの有効期間:新規は1年間 更新1回目は1年間 更新2回目以降は2年間 |
各就労ビザの労働者数の推移は以下となっています。コロナ禍ということもあり、2021年までは減少傾向も見られます。

就労ビザを取得するコツ
シンガポールで就労ビザを取得するためのコツについて解説します。

MOM(シンガポール人材開発省)の意図を把握する
就労ビザの取得はどの国でも大変だといわれていますが、シンガポールも例外ではありません。シンガポールで就労ビザを取得するためには、いくつかの条件をクリアする必要があります。
シンガポールでは、MOM(Ministry Of Manpower)と呼ばれるシンガポール人材開発省機関がビザの審査を行っています。シンガポールでビザを取得するためには、MOMが納得する内容の書類や条件を準備する必要があります。
MOMが就労ビザの申請許可を出す際には、申請者本人の属性と勤務先の属性などを確認しています。
また申請した書類の審査では給与や学歴、専門性といった個人的なスキルも重視され、年齢との兼ね合いが必要な場合もあります。
【個人の属性】 ● 年齢 ● 学歴 ● 専門性 ● 経歴との整合性 ● 給与 |
シンガポール政府は、コロナ禍ということもあり、外国人がシンガポールで就労することに対してより一層の規制を行っていました。その後、2021年より、シンガポール政府は少しずつ規制を緩和し、コロナ禍前のように就労ビザを取得できるようになっていきました。
しかし、2023年9月にシンガポール政府は、外国人への就労ビザの取得において、新たにCOMPASSというポイント制を導入すると発表しました。この制度により、従来の就労ビザの審査を通過していた人たちが審査に通過できないことや、審査に通過しにくかった人たちが通過しやすくなるといった変化が予想されます。
就労ビザ取得のポイントを把握する

シンガポールの就労ビザ取得の審査は、MOMが行います。そのため、MOMが求めていることを把握することが就労ビザ取得のコツです。MOMが申請書を見て、少しでも懸念点があると許可を出さないため、しっかりと対策をしていくことが大切です。
就労ビザの新規の申請なのか、就労ビザの更新なのかによって対策方法は異なっています。また、年齢や学歴によっても対策方法はさまざまです。年齢・学歴・専門・経歴との整合性の4項目に応じて給与を使い分けて申請することが、対策の一つのようです。
シンガポールで日本人を採用するメリット

シンガポールで日本人を採用するメリットにはどのようなものがあるのかをご紹介します。
シンガポールと日本とのパイプ役に

シンガポールで日本人を雇用するメリットとして、日系企業で本社や拠点が日本にある会社の場合、日本人が日本の本社とシンガポール側の間に入ることで、スムーズなやりとりが望めます。
日本人がいると文化や習慣、言語の違いから生まれる認識の違いなども生まれにくくスムーズに事を進めることができるというメリットが考えられますまた、日本でもシンガポールで働く人を求めている求人票を見かけることもあり、需要はあると感じられます。
このように、日本人を雇用するメリットはいくつかありますが、シンガポールでの雇用となると、就労ビザ取得の厳格化や人件費などの問題から企業にとっては負担にもなり得ます。
そのため、日系企業では、近隣諸国からのリモート勤務や日本からのリモート勤務を採用している会社もあるようです。
シンガポールのビジネス環境

シンガポールは同じアジアでも日本と異なるビジネス環境であり、とりわけ残業に対する考え方が異なっています。日本では、多少であれば残業をしてもいいという風潮があります。一方で、シンガポールでは残業代は基本的に支払われないシステムのため、残業をする人はとても少ないのです。
また、生活環境も日本とは異なっています。シンガポールでは共働き世帯が多く、家事はメイドにお願いする、食事はテイクアウトやデリバリー、外食などを多用する家庭も多くあります。仕事に専念できる環境が整っているため、女性の家庭と仕事の両立で悩むことも少なく、女性の社会進出がとても進んでいます。
シンガポールは、国が経済的に生き残っていくために何をすべきかという国のビジョンが明確なことも特徴です。近年、香港離れが進行する世界情勢もシンガポールが今後飛躍を遂げる一因と考えられています。また、シンガポールは治安が良く、安全な国とされています。シンガポールは、ビジネス面も生活面もとても魅力的な国だと言えるでしょう。
海外企業がシンガポール進出に必要なこと

シンガポール政府は、外国企業を誘致することに積極的です。また、シンガポール人の就労にも力を入れています。シンガポール現地の人たちの失業率を改善するために現地の人を雇用する外資系企業に対しては、積極的なサポートを行っています。
シンガポール政府が、外資系企業を誘致する目的として、シンガポールの人たちに足りないスキルを持つ人たちや、シンガポールを発展させていくような人たちの受け入れを目的としていることが多いようです。
一方、外資系企業が自国から従業員を連れてくることが多いと、就労ビザの取得に対して、ハードルが高くなる傾向があるようです。
取材協力:CPAコンシェルジュ様のご紹介
今回取材にご協力をいただいた、CPAコンシェルジュについてご紹介します。CPAコンシェルジュは、2014年の創業以来、日系企業のシンガポール進出や就労ビザ申請、会計税務やカンパニーセクレタリーなどの業務を行っています。財務会計やビザ申請についてなど、幅広い業務について相談が可能です。
また、代表者の萱場様が主宰するオンラインサロンでは、シンガポールの情勢やシンガポールでの起業方法、シンガポールでの生活など、幅広い内容を扱っており、シンガポールに住みたい方やこれからシンガポールに移住を考えている皆様におすすめです。
CPA CONCIERGE PTE LTD(シーピーエー コンシェルジュ) 住所:2 Kallang Avenue, #07-25 S339407 最寄駅:EW11 Lavender駅、DT23 Bendemeer駅 営業時間:月~金 8:00-17:00 WEBサイト 企業情報の詳細・お問い合わせはこちら |
シンガポールの就労ビザ取得には客観的な視点が重要
シンガポールでは、就労ビザを審査するMOMが考えていることを把握して、申請する側の弱点をカバーするなどの対策を講じることが大切です。コンサルタントは長年の経験とノウハウを持っており、就労ビザの申請をよりよく行うためのアドバイスも行っています。就労ビザの取得や申請で悩んでいる場合は、一度相談することをおすすめします。
●記事内容は執筆時点の情報に基づきます。
●最新情報は政府サイトなどを確認することをお勧めいたします。