HOME最新記事日本企業のシンガポール進出!進出のメリットやデメリットは?今後の注目業界まで徹底解説!

日本企業のシンガポール進出!進出のメリットやデメリットは?今後の注目業界まで徹底解説!

高い工業力と革新力を持つシンガポールは、大企業から成長著しいスタートアップまで、多くの企業から地域統括会社を設立する国として選ばれ続けています。そんなシンガポールが、世界の企業からパートナーとして選ばれる理由とは?「東南アジア市場のハブ」としてのポテンシャルに迫ります。

シンガポールに進出する日本企業

東南アジア市場のハブとしての地位を確立してきたシンガポール。物流の拠点として利便性が良く、日本を含む世界各国の企業がシンガポールへ進出しています。そんなシンガポールは、現在もますます発展し続けており、あらゆる業種や業態が進出に向けて注目しています。日本企業の拠点配置の動きは2016年をピークに落ち着いてきていますが、シンガポールの統括拠点としての位置付けは変わらず高い状況を維持しています。

さまざまな業種が進出

2021年現在、約805社の日系企業(日本商工会議所登録企業数)がシンガポールに進出していており、その多くがアジアで展開している事業を強化するための統括拠点を、シンガポールに配置するという傾向があります。

シンガポールは、日本の製造業の工場誘致で発展を遂げてきた国でもあるため、古くからシンガポールに法人を構えていた日本企業がアジアの統括拠点を設置することが多いようです。また、もともと他の国にあった統括拠点をシンガポールに移すケースや、製造業以外の幅広い業種がシンガポールにアジア統括会社を新設するケースが増えています。

近年では日本の小売業や飲食業の進出が加速傾向にあり、大手日系デパートやドラッグストア、アパレル業界などの店舗拡大や新規進出が増えています。モールの中に店舗を構えることが多い飲食業界では、大手ファストフード店や居酒屋チェーン店、ラーメン店などの進出が増加。また、シンガポールで事業を拡大する日本企業をサポートする広告会社や調査会社、人材会社なども増えています。

シンガポール進出に役立つサポート企業

日本企業がシンガポールに進出する形態は、さまざまな種類があります。例えば、日本の大企業がシンガポールのシェアオフィスに移転することや、M&A(合併と買収)などです。また最近の傾向としては、銀行や証券、保険などの金融分野にIT技術を組み合わせたFinTech(ファイナンス テクノロジー)や、資金調達を目的とした独自の仮想通貨を投資家に発行するICO(イニシャル コイン オファリング)といった新しいビジネスも注目されているようです。

東南アジア諸国の中でも、特にシンガポールはビジネスシーンの変化のスピードが早く、進出には現地のビジネス市場のリサーチが必要不可欠です。そこで重要なポイントが、できるだけ時間をかけずに的確な調査をすることです。市場調査や現地視察、テストマーケティングなどはもちろん、現地での事業の可能性を見極める専門的な知識も必要です。

近年は日本企業の進出拡大に伴って、コンサルタントや会計会社、法律事務所などの日本企業の進出を支えるビジネスサービス関連会社も増えてきています。シンガポール進出に必要なリサーチや準備を専門家に外注することでプロのサポートが受けられるため、より効果的です。

シンガポール進出のメリット4選

2020年に国際連合の専門機関である世界銀行が発表した調査によると、シンガポールは起業のしやすさランキングでは第4位、ビジネスをしやすい国ランキングでは第2位にランクインしています。そんなシンガポールに日本企業が進出するメリットをご紹介します。

公用語が英語

企業が、海外進出をする際に重要視するポイントと言えば言語ではないでしょうか。シンガポールには英語・中国語・マレー語・タミル語の4つの公用語があります。基本的に英語で生活している人が多く、多民族間でのコミュニケーションに慣れているため、ネイティブではない英語にも寛容です。

英語でのコミュニケーションがスムーズにできるというメリットは、進出後の業務効率の観点から見ても有利です。例えば、行政手続きなどもすべて英語で対応が可能で、外国人にも分かりやすいようにシンプルになっています。また現地で人材を雇う際や広告を掲載する時なども、英語のみですべて完結できることは非常に大きなメリットです。

優遇制度が整っている

シンガポール政府は国のビジネス成長を強化するため、企業向け支援策を展開しています。研究開発や事業拡大、効率改善、従業員のスキルアップに至るまでを支援する助成金などを用意しています。大企業から設立5年未満のスタートアップ企業まで、個々の会社に合わせた企業支援を行っています。

税制面から見ても有利なシンガポール。シンガポールの法人税率は最高で17%で、世界の中でも低い税率です。さらに、シンガポールと二重課税防止協定 (DTA)を締結している約100の国・地域では、特定国外所得に課せられる税金が免除または軽減されます。日本もこのDTAの協定国です。

シンガポールと日本は自由貿易協定 (FTA)を結んでおり、両国間の人や物、サービス、資本、情報のより自由な移動を促進し、経済活動の連携を強化しています。これにより商用目的の人々の移動の容易化や、研究者の交流やサービス貿易などを促進しています。また、送金の自由やシンガポールでの特許付与手続きを円滑化し、両国の中小企業間の協力も行っています。

他にも、一定の分野を除いて外国資本による全額出資が原則認められており、シンガポールで設立された企業の最低授権資本に関する法定要件もありません。このようなシンガポールのビジネス環境は、日本企業にとって非常にビジネスがしやすい環境と言えます。

東南アジア最大の起業拠点

シンガポールは、世界の中でも主要なスタートアップハブでもあります。グローバルなコネクションに優れているシンガポールを通して、レベルの高い人材の獲得や研究機関にアクセスできることで、ビジネスの成長が期待できます。

スタートアップ企業が政府機関や多国籍企業 (MNC)と共同で起業家の育成やベンチャー活動を行う機会もあり、起業を支えるための経済システムが東南アジアの中では最も充実しています。また東南アジア進出日系企業とスタートアップとの協業においても、シンガポールは最も多くの企業と連携しています。

充実した生活環境

シンガポールは住みやすい都市としても有名です。その理由としては、政治的安定性や低い犯罪率、質の高い住宅、優れた医療サービス、確立された交通機関などが挙げられます。世界で最も人口密度の高い国のひとつでもあるシンガポールは、都会の中にもバランスよく、豊かな緑や公園を整備しています。また医療制度は手頃な価格で利用しやすく、島全体に2000を超える一般開業医の診療所があります。

道路はきれいに整備され、ほとんどの主要な観光名所には地下鉄の駅が隣接しており、運賃が安いことも特徴です。他にもバスや電車、タクシーなど、さまざまな交通手段での移動が可能です。東端から西端までの移動も1時間半ほどです。またシンガポールは世界各国のグルメを堪能できる、食通にとっても最適な国です。

シンガポール進出のデメリット4選

日本企業がシンガポールに進出する際にはさまざまなメリットがある一方で、いくつかのデメリットもあります。ここからは、シンガポール進出のデメリットについてご紹介します。

厳しい就労ビザの取得条件

日本人がシンガポールで就労する際に取得を検討するビザはいくつかありますが、一般的なものとして、Employment Pass (EP)とS-Passがあります。EPは、駐在員や現地採用の日本人に多く発給されているビザで、専門職や管理職に就く人を対象としています。EPを取得する条件は学歴やスキル、月給(最低S$5,000)などの各項目において厳格な基準があります。

S-Passは専門職や管理職ではない一般職や技術職、作業職に就く人を対象としています。S-Passには月給(最低S$3,000)という設定基準があり、さらに企業はS-Pass保持者の人数に応じて外国人雇用税を毎月支払わなければなりません。

他にもシンガポール政府は、Overseas Networks&Expertise Pass(海外ネットワークと専門知識パス)と呼ばれる新しい特別就労ビザを発表しました。ビジネス、芸術や文化、スポーツ、科学と技術、学問と研究における優秀な人材のためのビザで、過去1年以内に最低S$30,000、またはそれに相当する外貨の固定月給を獲得することなどが資格基準に含まれます。

また、シンガポール政府は外国人労働者への過度な依存を抑制するため、段階的に就労ビザの発給基準を厳格化するとともに、外国人雇用税の引き上げを実施しています。

小規模な市場

シンガポールの国土面積は年々埋め立て地などの増加で広くなってきていますが、東京23区より少し広い程度です。人口は約569万人(2020年)で、隣国のマレーシアの約6分の1。市場規模自体は決して大きくありません。また比較的歴史が浅い国でもあるため、文化や芸術方面においては発展途上であるという見解もあるようです。

一方でシンガポールは、1人あたりのGDPがUS$約72,795(2021年)日本がUS$約39,300 (2021年)であることを考えると、経済的にもかなり発展していると言えます。市場規模が小さいにもかかわらず多くの日本企業が進出する理由として、シンガポールでの実績を土台にアジア各国へ進出していくことを目指しているからと言えるでしょう。

人件費の高さ

シンガポールの日系企業が抱える課題やリスクとして挙げられるのが、人件費の高騰です。2020年のシンガポールの基本給は中堅技術者のエンジニアで約S$3,800/月(約38万円)、非製造業のマネージャー(課長クラス)になると約S$6,300/月(約65万円)になります。また、製造業の中間管理職の賃金は東南アジアの他の国に比べて約2.5倍と、人件費が高いことが分かります。

物価の高さ

シンガポールで実際に生活するうえで重要なポイントのひとつが住宅費です。外国人は基本的にHDBと呼ばれる集合住宅やコンドミニアムを借りて生活する人が多いようです。HDBは1カ月あたりS$2,000~4,500(約20万円~46万円)、コンドミニアムはS$3,000~15,000(約30万~160万)ほどかかります。住宅費の高さから、シェアハウスを選択する人も多いようです。

シンガポールには国産車がなく、車両登録料など車の値段の約5~6倍の税金や手数料がかかります。さらにCOE(Certificate of Entitlement)と呼ばれる車に乗る権利を国から買う必要があり、シンガポールで車を持つことはとても贅沢なことのようです。他にもお酒に含まれるアルコールの量によって輸入酒が高額になるなど、物価が極端に高いものには注意が必要です。

変化する政府の企業誘致

シンガポール政府はサービス関連の設備投資を拡大し、デジタル経済の実現を視野において外資企業の誘致を強化しています。製造業においても高度な製造活動の誘致を強化していくため、単純な部品製造拠点は減少していくとみられます。

今後は企業のイノベーション支援強化を重視し、現在力を入れている研究開発(R&D)関連企業や研究機関の増加をすすめており、付加価値の高い事業がシンガポール進出に有利になる可能性が高いと見られています。

●記事内容は執筆時点の情報に基づきます。
●為替レートは、2022年11月時点の数値で算出しております。
●最新情報は政府サイトなどを確認することをお勧めいたします。

【関連記事】
経済大国シンガポールの生活情報をご紹介!チャンスを掴みたいビジネスマンの皆様へ
【2022年10月】シンガポールの就労ビザ制度が変更?!プロが詳細と対策を解説!
シンガポールの就労ビザの特徴と取得のコツをご紹介
経済成長が続くシンガポール!現地での給与水準および日本との比較をご紹介

シンガポールのビジネス情報や最新記事、セミナー情報をLINE・YouTubeでお届けしています!
ぜひお友だち追加・チャンネル登録をお願い致します。

チェックしたサービス0件を
まとめて請求 まとめて問い合わせ