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【2022年10月】シンガポールの就労ビザ制度が変更?!プロが詳細と対策を解説!

シンガポール政府の方針により、今後就労ビザの取得が難しくなると言われています。就労ビザの取得制度が新しくなることで、これからシンガポールで働くときに、どのような対策を行えばよいのでしょうか。詳しく解説します。

シンガポールで申請できる就労ビザの種類と条件

海外の人たちがシンガポールで働く場合、就労ビザを取得することが必要です。現在(2022年10月)、シンガポールの就労ビザには9種類があり、それぞれ取得するための条件が異なっています。

下記にシンガポールの就労ビザについてまとめました。

ビザの種類条件(最低月給)対象者
EP
(Employment Pass)
S$5,000
(2022年9月よりS$4,500から引き上げ)金融はS$5,500
(2022年9月よりS$5,000から引き上げ)
外国人プロフェッショナル、
マネージャー、エグゼクティブ向け
S PassS$3,000熟練労働者
WP
(Work Permit for migrant worker)
規定なし建設、製造、海洋造船、プロセスまたは
サービス部門における半熟練移民労働者向け
PEP
(Personalized Employment Pass)
既存のEP保有者:少なくとも$ 12,000の固定月給海外の外国人専門家:
少なくとも$ 18,000の固定月給
高収入の既存EP(Employment Pass)保持者
または海外の外国人専門家向け
Entre Pass規定なしシンガポールでベンチャー企業や革新的な技術を持つ事業を立ち上げ
運営することに意欲的な外国人起業家向け
Overseas Networks & Expertise Pass  過去 1 年以内に少なくとも $30,000 の固定給または、
シンガポールに拠点を置く将来の雇用主の下で、
少なくとも$ 30,000の固定給
(芸術文化、スポーツ、科学技術、学術・研究において
優れた業績を有する者は、
給与基準を満たさなくても、資格を有する)
ビジネスや芸術・文化、スポーツ、科学技術、学術・研究などの分野で活躍する優秀な人材
Work Permit for migrant domestic worker規定なしシンガポールで働く移民家事労働者
Work Permit for confinement nanny規定なしシンガポールで働くマレーシアの
コンファインメントナニー(産じょくアマさん)が、
雇用者の子どもの誕生から最大16週間働くため
Work Permit for performing artiste規定なしバーやホテル、ナイトクラブなどの大衆娯楽施設で働く
外国人パフォーマー向け
出典:シンガポール人材開発省

2022年9月より就労ビザ申請で変わったこと

シンガポールの就労ビザを取得するためにはいくつかの条件があります。その中で新規にEP(Employment Pass)取得の条件である最低給与の金額が、S$500ずつ引き上げられました。S$500は、日本円で約4.5万円です。日本の月額給与換算すると、40万円から44.5万円に引き上げられたことになります。

新規にEP(Employment Pass)を申請をする場合は、2022年9月から最低給与基準が引き上げられますが、既にビザを取得している方で更新の必要がある場合は、1年後の2023年9月から適用となります。更新の必要な方は(必要給与水準が最も低い東大卒の22歳の新卒社会人であっても)給与をS$5,000以上にする必要があるのです。

シンガポールで働く人の分布

シンガポールの労働市場を把握するためには、労働者の分布をみることが大切です。外国の人材を多く受け入れてきたシンガポールでは、外国人労働者はどのくらいを占めているのでしょうか。

ビザの種類労働者数(2021年12月)
EP(Employment Pass)161,700人
S Pass161,800人
WP(Work Permit)849,700人
PEP(Personalized Employment Pass)記載なし
Entre Pass記載なし
外国人労働者数1,200,400人
出典:シンガポール人材開発省– Summary Table: Employment, Foreign workforce numbers

シンガポールで働く外国人労働者の分布をみると、全体の約36%以上を外国人労働者が占めています。外国人労働者の雇用分野において、その割合や人数はさまざまで、2022年において外国人家事労働者は256,300人です。

シンガポール政府のシンガポール人の就業率を上げる方針により、これまで外国人労働者を受け入れて発展してきた政府の方針とは異なり、シンガポール人と同等もしくは、それ以上の能力のある海外の人材に対して就労ビザを発給するようになりました。

就労ビザ申請方法の流れ

シンガポールで働くことが決まったら、就労ビザを取得するまでの流れを把握しておきたいところです。就労ビザの取得の所要期間は、オンラインで申請した場合 、3週間以内に当局からなんらかのアクションがあるとされています。

当局のアクションとしては、承認、却下、追加書類の提出要求、という3種類のどれかが一般的です。先日、シンガポール人材開発省から「ビザの審査期間を短くする」という発表があり、1週間以内で結果がでるケースもでてきております。

就労ビザ申請方法の流れは以下となります。

1. 申請書を提出する
承認書または却下書(In-principle approval letter or rejection letter)を受け取る
2.パス(Notification letter)を発行・受け取る
3.必要な場合、指紋と写真を登録する
4.カード(Employment Pass card)を受け取る

申請する時は申請費用と健康診断の診断書(必要な場合)を用意しておくとスムーズに行うことができます。ワークパス認可の条件として、COVID-19の完全なワクチン接種が必要ですのでご注意ください。

また、EPの申請時にはS$105、EPの発行時にはS$255の費用を支払う必要があります。
就労ビザ申請方法の詳細は、シンガポール人材開発省のHPをご確認ください。

就労ビザ取得の変更点と傾向

新しく就労ビザを取得する制度に「COMPASS」というポイント制度が導入されました。COMPASSでは、どのようにポイントが付与され、どのような点が評価されるのでしょうか。詳しく見ていきましょう。

COMPASSとは

COMPASS(Complementarity Assessment Framework)では就労ビザ取得に対して、「個人」と「企業」の両方の面から評価し、ポイントを付け、審査が行われることになりました。

審査では、個人と企業のそれぞれに複数の評価基準を設けており、0、10、20のポイントが付けられます。個人にも企業にもそれぞれ2つずつの判断カテゴリがあり、合計4つのカテゴリからポイントが決まります。

総合的に40ポイント以上であれば、EP(Employment Pass)の申請が可能となります。しかし、申請後必ずしも承認されるとは限らないため、注意が必要です。

ひとつのカテゴリポイントが少ない場合であっても、他のカテゴリポイントが高ければ、申請できます。総合的なポイント制度のため、申請をする前に、基準に対して自分がどれくらいの位置にいるかを確認して準備をすることが重要です。

個人企業
カテゴリ1(個人)年齢・業界ごとのPMET給与分布で
外国人がどの給与水準に位置しているか
カテゴリ2(個人)個人の持つスキルや学歴
カテゴリ3(企業)Diversity
カテゴリ4(企業)PMET人材のローカル率
カテゴリ5(個人ボーナス)スキルズボーナス
カテゴリ6(企業ボーナス)経済優先ボーナス

■カテゴリ1について
年齢、業界ごとのPMET(Professionals Managers Executives Technicians) の給与分布のうち、その外国人がどの給与水準に位置しているかでポイントが決まります。
目安は次の通りです。

・90%以上に位置している場合は20ポイント
・65%以上90%未満に位置している場合は10ポイント
・65%未満に位置している場合は0ポイント

■カテゴリ2について
学歴と個人の持つスキルで評価されます。

・世界大学ランキングTop100位以内の大学(TTI)は20ポイント
・シンガポールの大学は20ポイント
・専門的な大学は20ポイント
・日本の4年制の大学は10ポイント
※TTIはTop tier-Institutionsの略

■カテゴリ3について
Diversity、つまり国籍多様化の指標で、会社のPMET職の中にそのEP申請する外国人と同じ国籍の従業員がどのくらいいるのかの割合を見たものが評価されます。

月額給与がS$3,000(月額約27万円)以上の従業員総数のうち、そのEP申請する外国人と同じ国籍の従業員数が、
・5%未満は20ポイント
・5~25%は10ポイント
・25%以上は0ポイント

S$3,000以上の給与を受け取る日本人が多い日系企業は、評価されないということがわかります。一つの国の従業員が集まるのではなく、多様性があるかどうかを評価しているのです。

ただし例外事項もあり、PMETの人材が25人未満の企業では、Diversityの割合に関係なく10%のポイントが付与されます。

■カテゴリ4について
企業のPMET従業員のうち、シンガポール国籍あるいは永住権を獲得している人の割合が、会社の属するサブセクター全体のローカルPMET雇用率の分布のどの位置にあるかによって、付与されるポイントが変わります。

ローカルPMETの雇用率の割合とポイント
・50~100%は20ポイント
・20~50%は10ポイント
・0~20%は0ポイント

上記のほかにも、ボーナスポイントが付与されるカテゴリ5と6もあります。ボーナスポイントとは、個人枠と企業枠のそれぞれにひとつずつ設けられています。

■カテゴリ5について

・不足職業リストに掲載されている貴重なスキルを持つ人材の場合は20ポイント
・Diversityの低い場合は10ポイント

シンガポール政府はShortage Occupation List(不足職業リスト)を作成中(2023年公開予定)としています。

エンジニアやAIエンジニア、データアナリストといったテクノロジー系や医師、看護師などが含まれるのではないかと考えられています。

■カテゴリ6について
企業のボーナスポイントでは、国際的な活動をしていることや、イノベーティブな事業を展開している企業に対して、10ポイントの加点が行われています。

国際的にイノベーティブな活動をしている企業とは、シンガポールのEDB(経済開発庁)やシンガポールへの誘致機関にインセンティブを公式に取っている企業のことです。

EP(Employment Pass)の申請に必要な書類

一般的に就労ビザ申請時には、パスポートの提出を求められます。また、EP(Employment Pass)の申請では、学歴の証明として「英文卒業証明書」や、その英文卒業証明書の認証も必要となることがあります。

必要な書類の詳細は、シンガポール人材開発省のHPをご確認ください。

新しい就労ビザ制度による影響と対策

ポイント制が導入されることにより、これまで審査に通過してきた人が通らなくなるといったことが予想されます。一方で、新たな人材が空いた枠を有効的に活用できる可能性も出てきました。

新しい制度となり、今後どのように就労ビザ取得の対策を講じていけばよいのかと、迷われている方も多いでしょう。

S$3,000以上の社員が25人以上いるかいないかで対策のポイントが変わってきます。PMETの人が25人未満の企業では、例外事項のポイントが適用されるため、給与と学歴が重要です。

一方、PMETの人が25人以上の企業では、例外事項が適用されないため、ローカルPMET雇用率や国籍の多様化を促進するといった対策が必要となります。

取材協力:CPAコンシェルジュ様のご紹介

今回取材にご協力をいただいた、CPAコンシェルジュについてご紹介します。CPAコンシェルジュは、2014年の創業以来、日系企業のシンガポール進出や就労ビザ申請、会計税務やカンパニーセクレタリーなどの業務を行っています。

Singapore 500 Enterprise Award (Bronze Category)を受賞した会社で、シンガポールに進出する多くの企業や個人のサポートをしています。

CPA CONCIERGE PTE LTD
(シーピーエー コンシェルジュ)
住所:2 Kallang Avenue, #07-25 S339407
最寄駅:EW11 Lavender駅、DT23 Bendemeer駅
営業時間:月~金 8:00-17:00
WEBサイト
詳しい会社情報はこちらもご覧ください

就労ビザ取得は準備が重要

新しいポイント制度のCOMPASSにおいて、シンガポールで就労ビザを取得するためには、少しでも評価点を上げられるように事前準備がとても重要です。

今後は、総合的な判断とボーナスポイントの付与を考えた取り組みがカギとなるでしょう。

●記事内容は執筆時点の情報に基づきます。
●為替レートは、2022年5月時点の数値で算出しております。

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