QS世界の大学ランキングを徹底解説！シンガポールの大学は何位？【2024年】

イギリスの高等教育（大学）評価機関Quacquarelli Symonds（通称QS)が第20版となる2024年QS世界大学ランキングを発表しました。評価基準に改定も加えられた2024年のランキングはどのような結果になったのでしょうか？詳しくみていきましょう。

QS世界大学ランキングとは？

QS世界大学ランキングとは、イギリスの高等教育評価機関QS(Quacquarelli Symonds)社が提供する世界でも有力な大学ランキングの一つです。QS社独自のデータや専門知識を元に出した大学ランキングは、大学を志望する学生だけではなく、研究パートナーを探す研究者や企業、企業の採用者、キャリア開発などに活用されています。2024年度のランキングは第20版となり高等教育の変化を反映させ、新たに「持続可能性（サステイナビリティ）」、「雇用成果」、「国際研究ネットワーク」の指標が追加されました。

QS世界大学ランキングの評価基準は？

QS（Quacquarelli Symonds）社の世界大学ランキング2024年版には、世界104地域にある1500の大学が掲載されています。同社の専門チームが行った1,750万件の学術論文の分析と24万人を超える大学関係者の専門的な意見に基づいて行われた評価基準と比重はどのようなものなのでしょうか？詳しく見ていきましょう。

学術的評判	30%	QS世界大学ランキングの目玉ともいえる、最大のウェイトを占める指標。 「どの大学が学問的に卓越しているのか」を表しています。
雇用主の評判	15%	他の主要な世界大学ランキングにはない、QS独自の評価基準です。 雇用の可能性から見る、大学の評判や質を見ることができます。
教員と学生の比率	10%	教育者、監督者、カリキュラム開発者、パストラルスタッフなどが多いほど、学生の教育経験がよくなるという観点から出されている指標です。
教員ごとの引用数	20%	教員1人当たりの研究につき、どれだけ引用されているかの数値。 研究力の指標を見るのに効果的に利用されています。
外国人教員の比率	5%	外国人教員の比率から研究の多様性や協力体制が見られ、また教育機関が十分に魅力的なことがわかります。
留学生の比率	5%	多くの留学生がいればいるほどネットワーク作りや文化交流、多様な学習経験や卒業生の多様性といったメリットがあります。また、それだけ留学生が集まることに、大学の魅力が表れます。
国際研究ネットワーク	5%	国際的な関与を測る指標です。世界の課題解決に向けた共同研究、より多くの人に研究を広めるための国を超えた研究パートナーシップをどのように構築し、維持しているかを評価します。
雇用の成果	5%	卒業生就職指数、卒業生のインパクト指数を出すことにより、大学の「就職成果」を出しています。
持続可能性	5%	大学がどれほどサステイナビリティに関する研究などに取り組んでいるかを表す指標です。卒業生がどれほど気候変動問題などに取り組んでいるか、国連のSDGsの研究にどれほど影響を与えているかなどを指標で表します。

　

QS世界大学ランキングTOP10は？

では、QS世界の大学ランキングTOP10を見てみましょう。

QS世界大学ランキングTOP10

ランキング	大学名		国	スコア
1	Massachusetts Institute of Technology (MIT)	マサチューセッツ工科大学	アメリカ	100
2	University of Cambridge	ケンブリッジ大学	イギリス	99.2
3	University of Oxford	オックスフォード大学	イギリス	98.9
4	Harvard University	ハーバード大学	アメリカ	98.3
5	Stanford University	スタンフォード大学	アメリカ	98.1
6	Imperial College London	インペリアル・ カレッジ・ ロンドン	イギリス	97.8
7	ETH Zurich	チューリッヒ工科大学	スイス	93.3
8	National University of Singapore (NUS)	国立シンガポール大学	シンガポール	92.7
9	UCL	ロンドン大学	イギリス	92.4
10	University of California, Berkeley (UCB)	カリフォルニア大学 バークレー校	アメリカ	90.4

　

アメリカ

QS世界の大学ランキングTOP10に4校がランクインしているアメリカ。中でもマサチューセッツ工科大学（MIT）は、12年連続1位を獲得しています。

もともとは自分たちの知識を世界に役立てようと立ち上げた小さなコミュニティでしたが、今ではMITの卒業生は3万社以上の企業を立ち上げ、460万人の雇用を生み出し、年間約1兆9,000億の収益を挙げ、社会に貢献しています。また、ランキング上位にお馴染みのハーバード大学、スタンフォード大学も大統領やノーベル賞受賞者を輩出する一流大学として知られています。

イギリス

イギリスもアメリカに劣らず、TOP10内に4校がランクインしています。2位のケンブリッジ大学は世界で最も古い大学の一つ、また、3位のオックスフォード大学は英語圏最古の大学として世界トップクラスの研究を行っています。

ケンブリッジ大学とオックスフォード大学は英国一の大学の座をめぐって切磋琢磨しており、常に世界の大学ランキングTOPにランクインする大学です。

シンガポール

アジアで唯一TOP10にランクインしたシンガポール国立大学（National University of Singapore (NUS)）。「国際教員比率」、「雇用の成果」ではスコア100の評価を得ている世界有数のグローバル大学です。

在籍学生は100カ国から集まっており、アジアの視点と専門知識に重点を置きながらグローバルなアプローチの教育や研究を行っています。

スイス

科学分野で世界有数の大学と知られるチューリッヒ工科大学(ETH Zurich)が7位にランクインしています。アルバート・アインシュタインを始め、22人のノーベル賞受賞者を輩出したことでも有名です。

QS世界大学ランキングTOP10～アジア編～

次に、アジアのQS世界の大学ランキングTOP10を見てみましょう。

ランキング（アジア）	ランキング（世界）	大学名		国	スコア
1	8	National University of Singapore (NUS)	シンガポール国立大学	シンガポール	92.7
2	17	Peking University	北京大学	中国	87
3	25	Tsinghua University	清華大学	中国	84.9
4	26	Nanyang Technological University, Singapore (NTU Singapore)	南洋理工大学	シンガポール	84.5
4	26	The University of Hong Kong	香港大学	香港	84.5
6	28	The University of Tokyo	東京大学	日本	84.3
7	41	Seoul National University	ソウル大学校	韓国	78.5
8	44	Zhejiang University	浙江大学	中国	77.8
9	46	Kyoto University	京都大学	日本	76.3
10	47	The Chinese University of Hong Kong (CUHK)	香港中文大学	香港	76.2

QS世界大学ランキングTOP10のアジア圏では、日本、中国、香港の大学が占めており、世界ランキングで見るとTOP50にランクインしています。またシンガポール国立大学(National University of Singapore (NUS))が1位、南洋理工大学（Nanyang Technological University, Singapore (NTU Singapore)が4位とTOP5内にランクインしていることがわかります。

QS世界大学ランキングTOP3～シンガポール編～

続いて、アジアのハブとして経済を牽引するシンガポールのTOP3をご紹介します。

ランキング （シンガポール）	ランキング（世界）	大学名		スコア
1	8	National University of Singapore (NUS)	シンガポール国立大学	92.7
2	26	Nanyang Technological University, Singapore (NTU Singapore)	南洋理工大学	84.5
3	429	Singapore University of Technology and Design	シンガポール工科デザイン大学	26.3

シンガポール工科デザイン大学(Singapore University of Technology and Design)のランクが気になるところですが、QS世界の大学ランキングにランクインしたのは今年が初。2010年にマサチューセッツ工科大学と共同で設立され、初代学長はマサチューセッツ工科大学の工学部長が務めた大学です。QS独自の評価で判断すると比較的新しい大学なので「評判」などのスコアが上がりにくかったという見方もできます。

QS世界大学ランキングTOP3～日本編～

最後に、日本のTOP3もご紹介します。

ランキング（日本）	ランキング（世界）	大学名		スコア
1	28	The University of Tokyo	東京大学	84.3
2	46	Kyoto University	京都大学	76.3
3	80	Osaka University	大阪大学	63.9

TOP50には東京大学、京都大学の2校が、TOP100内には大阪大学がランクインしています。日本の大学のランキングの内訳を見ると、学術評判や雇用主の評判などは良いものの、留学生の数や外国人教員、国際的な研究の分野でスコアが低く出ていることが特徴です。

QS世界の大学ランキングの見方

QS世界の大学ランキングはTimes Higher Education World University Rankings (THE)、Academic Ranking of World Universities (ARWU)と並び、国際的にもよく知られている評価ランキングです。キャリア開発や進路、また事業提携の際に非常に有益な判断材料の一つとなります。

一方で、あくまでも独自の評価基準に基づいた評価となっていますのでスコアが高い、低いなどで大学の評価をしてしまうと本当に優れた大学を見落とす結果にもなりかねません。総合スコアだけで判断せず、評価の内容を一つひとつ確認してランキングを見ていくことが必要です。

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●記事内容は執筆時点の情報に基づきます。

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