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一人当たりGDPランキングを徹底解説!シンガポールはアジアTOP【2025年】

2025年最新版、IMF(=International Monetary Fund、国際通貨基金)による「一人当たりGDPランキング」をお届けします。ランキング上位国の特徴の解説やシンガポールのGDPについて詳しく解説します。

世界のGDPランキング

GDP(=国内総生産の略)は国の経済規模や豊かさを表すのに使用されている指標です。2025年のGDPランキングは1位がアメリカ、2位が中国、3位がドイツ、4位がインド・日本となりました。(※参考:IMF

一方で、「一人当たりのGDP」はその国GDPを人口で割った数値です。国民一人当たりの所得・給与水準を出すことにより、その国・地域に住む人々の平均的な豊かさをあらわす一つの指標となります。GDPとは異なる結果となったこのランキング。早速、「世界の一人当たりのGDPランキング」を見ていきましょう。

※GDPの算出方法は、『家計消費支出(C)+企業投資(T:在庫含む)+政府支出(G) +貿易収支(輸出ー輸入)』の式で表されます。この式で分かるように、GDPはすべての支出の総額を求めて算出していますが、これは経済全体として「生産の総額」と「支出の総額」が一致するという原則に基づいているからです。

一人当たりGDPランキング 2025年

順位国名単位(US$)
1ルクセンブルグ140.94 (thousand)
2アイルランド108.92(thousand)
3スイス104.9(thousand)
4シンガポール92.93(thousand)
5アイスランド90.28(thousand)
6ノルウェー89.69(thousand)
7アメリカ89.11(thousand)
8マカオ76.31(thousand)
9デンマーク74.97(thousand)
10カタール71.65(thousand)
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38日本33.96(thousand)
※出典:IMF(=International Monetary Fund、国際通貨基金)
※2025年9月1日時点の数値

一人当たりGDPランキングの上位国は?

ルクセンブルク

ルクセンブルグは、人口68.2万人、国土は面積2,586㎢と、人口が少なく国土の小さい国です。2025年度のGDPはUS$96.61(Bilions)、実質GDP成長率は1.6%です。(予測値)実質GDP成長率を年代順に見ると、ここ数年は経済成長自体は鈍化気味でしたが、2025年からは若干高まってコロナ禍前の水準にまで持ち直すことが予想されています。

1970年代より主要産業を従来の鉄鋼業から金融業へと転換、それに伴い海外企業の誘致を行ったことで一躍欧州の金融センターとしての地位を確立しました。また、近年では宇宙、情報通信技術(ICT)、電子商取引、ロジスティックス、自動車部品、医療技術、環境技術などの産業にも力をいれ、多くの海外企業が進出しています。

また、ベルギー、ドイツ、フランスといった高度な教育と経済に恵まれている国が多く、優秀な労働力が集まりやすいため、経済活動や消費が活発になることがGDPの高さに寄与しています。多国籍企業に対する税制優遇措置があることで、富裕層や投資家を多数引き付けていることも大きな要因でしょう。

アイルランド

2025年度のアイルランドのGDPはUS$598.84(Billions)、実質GDP成長率は2.3%です。(予測値)GDPは2020年から大きく飛躍し始め、昨年の2024年末時点で577.39(Billions)にまで達しています。

経済成長を示す実質GDPにおいては、今後も輸出拡大や堅調な労働市場に支えられ、2025年と2026年はそれぞれ3.4%、2.5%の成長が予想されています。一人当たりのGDPもアイルランド国民(労働者)の母数が同水準であれば、その生産高も相まって2025年はさらに高くなる可能性があります。(※参考:JETRO

スイス

スイスは人口、面積ともに日本の九州と同じ規模の小さな国です。2025年のGDPはUS$947.13(Billions)、実質GDP成長率は0.9%です。(予測値)

スイスの輸出の半分以上は医薬品、化学薬品が占めています。主要産業は観光産業、金融業、時計産業などが挙げられます。一人当たりのGDPが高くなる理由としては、スイスの充実した職業・専門教育と研究開発費用の高さにより、労働生産性と労働参加率が高いことにあります。

また、質の高い金融サービスを提供する世界最大級の金融グループUSBグループや、ロレックス、オメガなどの時計産業では高級機械式時計業としてサービスに付加価値をつける「クオリティ戦略」が功を奏し、他国への輸出量も安定しています。最近では、科学分野の研究においては国際的に量や質の高いものが多く、国内総生産の約3%を研究費用に充てています。

シンガポール

2025年のシンガポールのGDP予測値はUS$564.77(Billions)で、実質GDP成長率は2%です。アジア諸国の中でトップを誇り、アメリカの一人当たりのGDPを上回っています。IMFの見通しでは、今後も2030年にかけて右肩上がりに成長することが見込まれています。

世界やアジア各地への良好なアクセスが可能な好立地を活かし、政府が戦略的に海外企業がビジネスしやすい環境、世界トップクラスの人材育成、インフラ整備、治安の良さをつくりあげ、アジアを牽引する経済大国となっています。また、世界に誇る金融ハブや地理的優位性を活かした貿易立国としての側面もあり、結果として国民一人ひとりに高い労働生産性と購買力が認められています。

アイスランド

アイスランドは北大西洋に浮かぶ島国で、面積は10.3万㎢、人口が38万人ほどの低密度の国です。2025年のアイスランドのGDPはUS$35.31(Billions)、実質GDP成長率は2%となっています。(予測値)アイスランドは主に漁業や水産業を中心に経済を成り立たせていました。

一時経済危機にも見舞われたものの、地熱・水力発電などの再生可能エネルギー、金融、IT、アルミ精錬業など高付加価値産業に積極的に投資したことで、全体の生産性が向上しています。豊かな自然を背景とした観光業も盛んで、現地の氷河ツアーを利用する旅行者も増えています。

ただし、1人当たりのGDPが高いのは、面積に対する人口の少なさも考慮に入れる必要があるでしょう。GDPはそれほど高くなくても、人口が少なければそれだけ一人当たりの割合は大きくなるからです。

日本

日本は前年に引き続き38位で一人当たりの名目GDPは横ばい状態となっています。GDPはここ数年でUS$4,200前後を推移し、実質GDPも、コロナ禍が始まった2020年の-4.2からは大きな改善がありましたが、2025年も0.6にとどまっています。

一人当たりのGDPに関しては、IMFによる世界経済見通しに反して、前年比で約4.0%以上も減少する結果となりました。ここ数年の低迷ぶりにはさまざまな要因が議論されていますが、主に現在の極端な円安ドル高、労働人口の減少、他国と比較した際の相対的順位低下、労働生産性の伸びの鈍さなどが挙げられています。

今後は、持続的な賃上げ、将来性のある政府投資、中小・中堅企業の収益力向上、金利差縮小による円安の是正などが官民一体で成し遂げるべき大きな課題となりそうです。

一人当たりのGDPランキングからわかること

一般的に、一人当たりのGDPは「その国や地域に住む人の豊かさを表す一つの指標」と言われています。GDPを左右するものは、人口(労働力)や、生産性、付加価値の創出などが挙げられます。ランキング上位国は、国の規模が小さい分、国際ビジネスや金融をうまく活用している点、また誘致された海外企業にとって有利な税制や制度が整っている点が共通しています。金融・IT・医療といった高付加価値サービスを中心に経済を組み立てているのも特徴的です。特にシンガポールは高い生産性と地の利を生かした貿易力、政府投資の活発さなどによる恩恵が大きく、今後の動向にも注目したいところです。

●記事内容は執筆時点の情報に基づきます。


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