【2025年度】 シンガポールの優良企業~Asia300に選出された20社・最新の優良企業TOP20~

あらゆる業種で世界をリードしているシンガポール。その大きな役割を果たしている、シンガポールの優良企業とはどのような会社があるのでしょうか。Asia300に選出された企業20社、そして最新の優良企業ランキングを通して詳しくみていきましょう。
Asia300とは
シンガポールの優良企業を語る上で見過ごすことのできないデータがAsia300。Asia300とは日本経済新聞独自の選出による、アジアの主要企業リストです。中国、香港、台湾、韓国、シンガポール、タイ、インドネシア、フィリピン、ベトナム、インド、ミャンマーの計11カ国の地域の有力上場企業群から選ばれた300社。これをベースにした「日経アジア300i」は浮動株時価総額型の株価指数で、主に世界経済の中で存在感を増す、アジアの企業の株価の動向を把握することを目的としています。
韓国市場が開く日本時間午前9時からインド市場が終了する同午後7時20分までの時間帯にリアルタイムで算出・公表され、アジア経済の動向を知る必要のある投資家などの重要な情報源の一つとなっています。
Asia300に選出されたシンガポールの優良企業20社
Asia300に選出されているシンガポールの優良企業を見ていきましょう。(2025.7.18現在)
シンガポール航空(SIA)

航空会社評価で毎年上位争いに名前がでてくる、シンガポール航空(Singapore Airlines Ltd.)。質の高いサービスでも有名でローコスト航空会社との差別化を図っており、最新機材の採用、座席の広さ、機内食などそれぞれの項目で高評価を得ています。就航都市は約130都市を越え、旅客および貨物の航空輸送事業をグローバル規模で展開している世界有数の大企業です。
シンガポール航空の旅客機輸送事業と共に、地域市場の旅客航空輸送に重点を置いたシルクエアー、低価格旅客事業に焦点をあてたスクートブランド、機体整備やメンテナンスなどを担うSIAEC事業の主な4事業で成り立っています。
ケッペル コーポレーション

1968年にケッペル シップヤードとして海洋事業として設立されたケッペル コーポレーション(Keppel Corp. Ltd.)は、1970年代から1980年代に多角化を進め、幅広い事業展開をしている大手企業です。
現在は政府系ファンドのテマセク ホールディングスが出資。大きく4つの事業に分けられ、オフショア・海洋事業(オフショアリグの設計、建設、修理や船舶の修理、改装)、インフラ整備事業(電力とガス、環境工学、ロジスティクス、およびデータセンターのビジネス)、不動産事業(デジタル接続されたコミュニティのための住宅、オフィス、商業開発および統合開発)、そして投資事業(資産管理、都市ソリューション、通信事業)を行っています。
また世界最大手の海洋石油掘削機企業としても知られています。
セムコープ インダストリーズ

Sembcorp Industries Ltd. は1998年、政府系コングロマリット(多業種間にまたがる巨大企業)の合併により設立されました。エネルギー事業、海洋掘削事業、都市開発事業の3事業を展開する企業でしたが、2020年に石油掘削装置(リグ)建造子会社のセムコープ マリン(現シートリアム)を切り離したことから事業再編を行いました。
現在は「サステナブル ソリューション(再生可能エネルギー・統合都市ソリューション)」 、「従来型エネルギー」、「統合都市ソリューション事業」から構成されています。
シンガポール政府の「CO2排出量実質ゼロ目標」や現在世界中で重要視されている「脱炭素」への貢献のため、三菱商事、双日株式会社などの日系企業との共同開発の締結も印象深いシンガポールの大企業の一つです。
DBS銀行

DBSグループ・ホールディングス(DBS Group Holdings Ltd.)は、1968年にシンガポール開発銀行(The Development Bank of Singapore)として国の発展のために設立されたのが始まりです。シンガポール国内の企業や都市開発プロジェクトに対する融資機関としてスタートしました。その後、中国や東南アジアの海外部門を含む銀行としても成長し2003年に正式にDBSと名称変更されました。
ケッペルコーポーレーションと同じくDBS の最大の少数株主は、シンガポールの国家投資家であるテマセク ホールディングスとなっています。2,300以上の支店とセルフサービスバンキング機からなるシンガポール最大のネットワークを有し、国内の銀行セクターでトップクラスのシェアを誇っています。
現在世界の銀行業界の多くがデジタル化を取り入れる流れになっていますが、その先駆者ともいえるのがこのDBS。アジアだけではなく世界各国から、また他業種となるIT業界からも評価が高く、2021年には「世界最高の銀行」および「世界最高のデジタルバンク」両方のタイトルを獲得しています。(*「Euromoney」誌による選定)
世界的な脱炭素の流れに金融機関として貢献すべく、世界的な価格の透明性を高めるための活発な国境を越えた炭素クレジット取引を試みるなど、金融業界の枠組みを超えて新しい試みも臆することなく挑戦している企業の一つです。
Asia300に選出されたその他のシンガポール企業一覧
・オーバーシー チャイニーズ バンキング(Oversea-Chinese Banking Corp. Ltd.):金融 ・ユナイテッドオーバーシーズ銀行 (United Overseas Bank Ltd. ):金融 ・BOC アビエーション(BOC Aviation):航空 ・シティ ディベロップメンツ(City Developments Ltd.):不動産 ・ゲンティン シンガポール(Genting Singapore Ltd.):リゾート開発 ・ジャーディン サイクル アンド キャリッジ(Jardine Cycle & Carriage Ltd.):自動車 ・ネットリンクNBNトラスト(NetLink NBN Trust):通信 ・オラム グループ(Olam Group Ltd.):食品・農業ビジネス ・SATS Ltd.:航空 ・シートリアム(Seatrium):海洋 ・シンガポール証券取引所(Singapore Exchange Ltd.):証券 ・シンガポール テクノロジーズ エンジニアリング(Singapore Technologies Engineering Ltd.):防衛・総合工学 ・シンガポール テレコミュニケーションズ(Singapore Telecommunications Ltd.):通信 ・UOL グループ(UOL Group Ltd.):不動産開発 ・ベンチャー コーポレーション(Venture Corporation Ltd.):テクノロジー ・ウィルマーインターナショナル(Wilmar International Ltd.):食品加工 |
Asia300に見るシンガポール優良企業の特徴
Asia300にランクインしている企業の多くは、ITや技術開発において世界をリードする先駆者的な取り組みを行い、グローバルな展開をしていることが特徴です。また、大半の企業が持続可能性の取り組みを行っており、環境への配慮に焦点を当てていることも投資価値の向上につながっている可能性があります。
さらに、シンガポール政府がシンガポール国内だけではなく、国外の秀逸な技術力や開発力の発展に協力し、各分野の産業の向上を図っていることも企業の優良化、グローバル化には欠かせない要因でしょう。
各産業における政府のサポート体制の詳細については関連記事をご参照ください。
【関連記事】 ▪シンガポールがAIハブと呼ばれる理由とは?政府戦略などを徹底解説! ▪【2024年】スマートシティとは?シンガポールはアジア都市1位~実現のメリットや課題・開発イメージ・最新の取り組みを一挙ご紹介~ ▪国際競争力ランキングTOP50~シンガポールは何位?~【最新】 |
シンガポールの優良企業

2024年、データ統計の大手プラットフォームStatista社は、シンガポールの優良企業のランキング20を発表しました。このランキングは、従業員200人以上の企業で働く労働者14,000人を対象に、匿名での独自調査と客観的なスコアリングモデルを基にして作成されたものです。
※出典:Singapore’s Best Employers 2024
シンガポールの優良企業ランキングTOP20
順位 | 企業名・業種 | スコア |
1 | Apple Semiconductors, Electronics, Electrical Engineering, Technology Hardware & Equipment | 8.82 |
2 | Google IT, Internet, Software & Services | 8.66 |
3 | Asia Pacific Breweries (Heineken Asia Pacific) Food, Soft Beverages, Alcohol & Tobacco | 8.63 |
4 | Siemens Engineering, Manufacturing | 8.42 |
5 | Motorola Solutions Singapore Telecommunications Services, Cable Supplier | 8.36 |
6 | Agilent Technologies Singapore Drugs & Biotechnology | 8.34 |
7 | Starbucks Coffee Singapore Restaurants and Food Services | 8.32 |
8 | The LEGO Group Retail and Wholesale | 8.29 |
9 | UNIQLO Clothing, Shoes, Sports Equipment | 8.27 |
10 | GSK Drugs & Biotechnology | 8.27 |
11 | American Express Banking and Financial Services | 8.26 |
12 | DBS Bank Banking and Financial Services | 8.23 |
13 | Johnson & Johnson Health Care Equipment & Services | 8.22 |
14 | UPS Transportation and Logistics | 8.21 |
15 | Marina Bay Sands Travel & Leisur | 8.21 |
16 | Airbus Aerospace & Defense | 8.21 |
17 | Merck Sharp & Dohme (MSD) Drugs & Biotechnology | 8.17 |
18 | Roche Singapore Drugs & Biotechnology | 8.15 |
19 | Singapore Polytechnic Education | 8.11 |
20 | Woh Hup Construction | 8.09 |
シンガポールの優良企業の特徴
TOPにはIT分野における世界のリーディングカンパニーであるAppleとGoogleがランクイン。スマートフォンをはじめ、多様なIoT製品やオープンソースの言語、独自のAIプラットフォームなどを展開しているこの2社が先端テクノロジーを追及するシンガポール国民に人気があるのは納得です。Appleが若干リードしているのは、iPhoneのシェア率がアンドロイドよりも高いことが影響しているのかもしれません。
3位には人気のタイガービールを醸造しているAsia Pacific Breweriesがランクイン。国際的なビール醸造会社として多様性とチャレンジング精神を重んじる企業理念が好評です。4位はインフラ、輸送、医療とシンガポールの主要産業に重点を置くテクノロジー企業Siemensが、5位はセキュリティ対応サービスを数多く展開するMotorola Solutionsが獲得しています。
さらにもう一つの特徴は多国籍企業が多くランクインしていること。TOP10に限っては全て多国籍企業です。シンガポールは多国籍企業にとって、規制の柔軟さや手続きの速さ、投資のしやすさなどにおいて事業所を設置しやすく、実際にシンガポールに展開する多国籍企業の6割が、グローバル統括拠点としてシンガポールを活用していると言われています。
世界で躍進するシンガポール企業
古くからアジアの貿易の中心地として繁栄してきたシンガポール。その繁栄は現在物流や輸送業の分野で今なお引き継がれています。また、他の業種においても優秀な人材の確保や富裕層、起業家の誘致が功を奏し、アジアや世界のハブとして発展を遂げ、シンガポールは2024年の世界競争力ランキングで見事第1位にランクインしています。
それは常に世界の動向を見据え、そのニーズに応え、世界を牽引していこうというシンガポール企業とそのサポートを惜しまないシンガポール政府の努力の賜物といえるでしょう。
●記事内容は執筆時点の情報に基づきます。
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