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【最新】シンガポールの永住権(PR)〜条件・申請方法・必要書類〜 メリット・デメリットは?

シンガポールの永住権(PR)を取得したい、と考えている方は多いでしょう。政治や経済、治安も良好で、ほぼすべての分野が先進的といわれるシンガポールを自由に行き来できるほか、さまざまな恩恵を受けられることから、社会的なステータスも維持できます。

本記事では、条件や申請方法、更新情報、必要書類はもちろん、兵役の義務についてもまとめています。PRのメリットとデメリットを把握しつつ、申請時の参考にしてみてください。


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シンガポールの永住権の特徴

永住権(Permanent Resident-PR)とは、シンガポールに永住することを許可された外国人に付与される権利のことを指します。シンガポールのPRを取得すれば、基本的に5年ごとの更新が必要ではあるものの、シンガポールで永続的に居住することを許可されます。

シンガポールでは2023年時点で、永住者の割合が全人口591万人中54万人近くにも達しており、実に1割近くもの人々がシンガポールPRを保持して暮らしています。PRを取得すれば、エンプロイメントパスなどの就労ビザの取得も不要になり、無期限でシンガポールに滞在することが可能になります。

他にも、PR保持者の配偶者や子どもがシンガポール市民権を得られたり、両親の長期滞在が許可されたり、中央積立基金(Central provident Fund-CPF)の制度に加入できるなど、多くのメリットがあります。

PRはシンガポールの入国管理局が管理しており、2024年現在は全てのPR申請がオンライン上で行われています。

入国管理局(ICA)とは?

シンガポールの入国管理局(Immigration & Checkpoints Authority-ICA)は、国境の出入りおよび移民手続きを全般的に管理する機関です。シンガポール市民や外国人の出入国手続きやパスポート/ビザのチェックの業務を担っており、永住権の申請や各許可証の発行に関してもこのICAを通じて行うことになります。

永住権の取得方法

シンガポールPRは誰でも取得できるものではなく、取得するには一定の条件があります。ICAは、PR保持者が将来的に「シンガポールの国益に適う」存在かどうかを精査するため、審査には多くの公的書類と相応の時間が必要になります。申請はすべてオンライン上で行われ、手続き完了まで一般的に半年ほどかかるといわれています。

申請条件

外国人がPRの申請をする場合、以下の要件に該当する必要があります。

▪シンガポール市民またはPR保持者の配偶者
▪シンガポール市民またはPR保持者との法的な結婚の中で生まれた、または正式に養子縁組された21歳未満で未婚の子ども
▪シンガポール市民の高齢の親
▪Employment Pass(EP, E Pass)またはS Passの保持者
▪シンガポールで学んでおり、いずれかの国家試験(PSLE, GCE ‘N’/ ‘O’/ ‘A’ levels) を合格した、又はIntegrated Programme (IP) を受けている学生
▪シンガポールでの外国人投資家

シンガポール市民の方が親族にいる場合は、PRの取得は行いやすい一方、そうではない場合は、PRが認められるかはICAの裁量によって決定されることになります。具体的にICAは、「申請者が将来的にシンガポールに貢献できる人材か」、「シンガポールの社会に順応できるか」、「市民の一員としてシンガポールに根を下ろす意欲を献身的に持てるか」を査定するために、申請者のシンガポール市民との家族関係、経済的貢献、資格、年齢、家族構成、居住期間などを精査します。

15歳以上の申請者には、シンガポール市民やPRが持つ公式の身分証である青色の身分証明カード(ブルーNRIC)が発行されます。

申請方法

永住権の申請手続きは、2017年12月18日から窓口での書面受付が終了し、現在はすべてオンライン上(e-Service)で行われています。

申請者はオンライン認証システムSingpassを経由してe-PRシステムにアクセスし、必要な情報を電子申請フォームに直接入力するか、永住申請書をダウンロードして必要事項を入力後、再度オンラインで提出する必要があります。入力方法はどちらでも問題ありません。必要書類等もスキャンしてオンライン上で提出をする仕組みになっています。該当しない項目には「NA」を入力してください。

Singpassを入手していない方はこちらからインストールができます。

<特記事項>
1. 有効なSingpassアカウントを持っている場合、次のいずれかに該当すれば、オンラインで永住申請を提出することができます:
▪シンガポール市民または永住者で、配偶者または21歳未満の養子の永住権を申請する場合
▪シンガポール市民で、高齢の親の永住権を申請する場合
▪Employment PassまたはS Pass保持者であり、自身と配偶者または21歳未満の子ども(未婚)の永住権を申請する場合
 
2. 現在シンガポールで学んでいる外国人学生の場合、外国人登録番号(FIN)と有効な移民パスの発行日がわかれば、e-Serviceにアクセスすることができます。
 
3. 外国人投資家である場合、グローバル投資プログラム(GIP)の下で、シンガポール経済開発庁(EDB)にて、特別なルートで永住権を申請することができます。

その他の不明点等はICA専用ページのFAQsを参照してください。

必要書類

必要書類は申請資格ごとに異なり、ICAの公式サイトで必要書類を確認することができます。公的書類は、必ず在シンガポール日本国大使館などの公的機関で英語に翻訳をしてもらい、提出してください。個人で翻訳した場合でも大使館などの承認が必要になります。

【必要書類】
必要書類はこちをご確認ください。

【重要な提出書類/記入事項】
申請者のパスポートサイズのカラー写真

・幅35mm × 高さ45mm(縁なし)
・400ピクセル × 514ピクセル
・3カ月以内に撮影されたもの
・白い無地の背景で、表面はマットか半マット
・顔は顎から頭頂部までの距離が25mmから35mmの間
・形式はJPG

職業
オンライン申請上で該当項目の検索欄にキーワードを入力し、「検索」をクリックしてください。

基本給
オンライン申請上で該当項目に入力してください。ただし、以下は基本給に含むことができません。
a.残業手当や賞与
b.福利厚生各種
c.その他特別手当など

最終学歴証明(卒業証明)、出生証明

申請者と保証人の宣誓書
オンラインからダウンロードして印刷、その後、署名してアップロードします。

成績証明、職業免許など

入社日、役職、過去6カ月間の月給とその内訳(基本給、残業代、手当)を記載した雇用主からの手紙(入国管理局宛のもので、提出日から1カ月以内の日付のもの)自営業の場合は、事業登録証明書など

これらの書類および記入事項はICAによって慎重に精査され、通常、1つの申請が終わるまで6カ月か、ケースによってはそれ以上かかることがあります。

提出前にすべての書類がそろったか、記載内容に誤りがないかを確認してください。書類が不十分な場合や誤記がある場合、申請が受けられない可能性があります。また、必要に応じて追加書類を求められる場合があります。

PR申請の費用

PR申請では、各申請者ごとにS$100の手数料がかかります。申請が下りなくても返金はされません。支払いはすべてオンラインで行うことになります。

支払い方法は以下のとおりです:
▪VisaまたはMasterCardのクレジット/デビットカード
▪アメリカン・エキスプレス(AMEX)のクレジットカード
▪インターネットダイレクトデビット(シンガポールのDBS/POSB、OCBC、UOB、スタンダードチャータード銀行のインターネットバンキングアカウント)
▪PayNow

 

再入国許可証(REP)について

PRを取得した際に、「再入国許可(Re-Entry Permit-REP)」が発行されます。これは、PR保持者がシンガポール出国時にもPRステータスを保持しておくためのもので、シンガポール国外にいる場合は常に有効なREPを所持しておく必要があります。有効期間は5年間です。

REPを持っていない、またはREPが無効となっている場合、永住者はシンガポールのPRを失いますのでご注意ください。この場合、シンガポールに入国する際には、通常のPRを有していない外国人としてシンガポールの入国要件に従うことになります。

再入国許可の更新手続きは、現在の再入国許可の有効期限が失効する少なくとも3カ月前に行う必要があります。同じ国籍の新しいパスポートを取得した場合にも、再入国許可証(REP)に新しいパスポートの詳細を掲載する必要があるため、再入国許可証の転記手続きを行うことになります。

有効な再入国許可とSingPassアカウントを所持していれば、電子再入国許可システム(e-REP) を通してICAへ更新および転記の申請書を提出できます。SingPassアカウントを持っていない場合は、最寄りのシンガポール在外公館で申請を提出することができます。この場合は少なくとも2カ月前までに提出する必要があります。オンライン上では特に書類等は必要ありません(ICAが別途依頼してきた場合は各自で用意)が、在外公館での申請には以下の書類が必要になります。

▪記入済み申請用紙 (Form 6)
▪有効な旅券の原本とコピー(あれば最新のREP)
▪新しい旅券の原本とコピー(転記用)
▪ブルーNRIC (転記・更新用)
▪申請に必要な関係書類(例:シンガポールの雇用証明書、結婚証明書、出生証明書など)
詳細に関しては、ICAのホームペーをご参照ください。

REPの処理期間は通常1週間以内ですが、場合によってはそれ以上かかることもあります。審査状況はいつでもe-Serviceでチェックすることができます。

REPの手数料

REPの費用はS$10かかり、発行される各REPごとに別途料金が発生します。

オンライン申請の場合は承認日から14日以内に料金を支払う必要がありますが、支払いがない場合は申請が取り下げられてしまうので注意してください。

オンラインでの支払い方法は以下が挙げられます:
▪VisaまたはMasterCardのクレジット/デビットカード
▪アメリカン・エキスプレス(AMEX)のクレジットカード
▪インターネットダイレクトデビット(シンガポールのDBS/POSB、OCBC、UOB、スタンダードチャータード銀行のインターネットバンキングアカウント)
▪PayNow

ICA窓口で申請する場合は以下の方法で支払えます:
▪NETS
▪VisaまたはMasterCardのクレジット/デビットカード
▪モバイル決済(例:Apple Pay、Samsung Pay、Google Pay)

 

永住権取得のメリット

PRを取得すれば、その名の通り、シンガポールに長期間滞在できるほか、住居や医療、教育など、多方面から恩恵を受けられます。

シンガポールに長期滞在が可能
PRを取得すれば、5年ごとに更新が必要なものの、特定のビザを所持・更新することなく永続的にシンガポールに居住することができます。

HDBフラットに入居できる
PR保持者は、住宅開発庁(Housing and Development Board-HDB)が運営するHDBフラットに入居することができます。シンガポールの住居費は高いことで有名ですが、HDBフラットは「手頃な価格で質の高い住宅」といわれる利便性の高い公営住宅であり、多くのシンガポール市民やPR保持者が暮らしています。

CPFに加入できる
PR保持者で企業等に所属しており、月額S$50を超える収入がある場合は、中央積立基金のCPF制度に加入することができるようになります。企業に所属している場合、年ごとにCPF拠出金が増加していく仕組みになっています。

シンガポール市民権の申請が可能
シンガポールの永住権を取得して2年以上経つ21歳以上のPR保持者は、シンガポール市民権を申請することができます。市民権を取得すればシンガポール国籍を有することができ、シンガポール人と同じ恩恵を受けることができます。

 

永住権取得のデメリット

永住権取得後のデメリットとしては、主に以下2つが挙げられるでしょう。

CPFによって手取り額が減少する
シンガポールPR保持者で男性の場合は兵役の義務が生じる

CPFは従業員と雇用主が共同で拠出する仕組みになっています。年齢や月額収入にもよりますが、概ね17-20%の負担になるため、その場合は収入から拠出金額が引かれ、手取り額が減少することになります。兵役の義務については後述します。

 

兵役の義務について

国防省(The Ministry of Defence-MINDEF)管轄において施行されている現行の徴兵制度の下、シンガポールPRを保持する18歳以上の男性は兵役の対象となり、National Service(NS)に登録する義務を負います。15歳からのPR保持者、もしくはPR保持者の第2世の場合、16歳半の時点で国防義務に関する登録を行い、18歳から兵役が開始されます。

兵役の期間は2年間ですが、40歳(士官の場合は50歳)までは、予備軍(NSmen)として、毎年40日間のNS訓練に従事しなければなりません。兵役の義務を無断で放棄するとPRも喪失し、さまざまな恩恵が享受できなくなる可能性があります。

兵役の詳細に関しては、CMPB(Central Manpower Base)のWEBサイトを参照してください。

計画性をもって確実なPR取得を

以上の通り、シンガポール永住権について詳しく紹介してきました。シンガポール永住権の獲得によって国籍を維持しながらビザなしでの出入国ができ、シンガポール市民に近い待遇を受けられるのはこれ以上ない利点といえます。

永住権の取得は年々申請が厳格になっていますが、多くのメリットも享受できることから、上記のデメリットも含めて正しい知識を基に、計画的に申請準備を進めていくことが推奨されます。

監修:栗田 哲郎氏

栗田 哲郎氏
One Asia Lawyers Group代表
シンガポール(FPE)・日本・USA/NY州法弁護士
tetsuo.kurita@oneasia.legal

日本の大手法律事務所に勤務後、シンガポールの大手法律事務所にパートナー弁護士として勤務。その後、国際法律事務所アジアフォーカスチームのヘッドを務め、2016年7月One Asia Lawyers Groupを創立。シンガポールを中心にクロスボーダーのアジア法務全般(M&A、国際商事仲裁等の紛争解決等)のアドバイスを提供している。

2014年、日本法弁護士として初めてシンガポール司法試験に合格し、シンガポール法のアドバイスも提供している。 

One Asia Lawyers Groupのご紹介

◆ One Asia Lawyers  ◆
「One Asia Lawyers Groupは、アジア全域に展開する日本のクライアントにシームレスで包括的なリーガルアドバイスを提供するために設立された、独立した法律事務所のネットワークです。One Asia Lawyers Groupは、日本・ASEAN・南アジア・オセアニア各国にメンバーファームを有し、各国の法律のスペシャリストで構成され、これら各地域に根差したプラクティカルで、シームレスなリーガルサービスを提供しております。

なお、本ニュースレターは、一般的な情報を提供することを目的としたものであり、当グループ・メンバーファームの法的アドバイスを構成するものではなく、また見解に亘る部分は執筆者の個人的見解であり当グループ・メンバーファームの見解ではございません。一般的情報としての性質上、法令の条文や出典の引用を意図的に省略している場合があります。個別具体的事案に係る問題については、必ず各メンバーファーム・弁護士にご相談ください。

One Asia Lawyersグループ拠点・メンバーファーム 24拠点(2023年8月時点)
・ASEAN(シンガポール、タイ、マレーシア、ベトナム、フィリピン、インドネシア、カンボジア、ラオス、ミャンマー)
・南アジア(インド、バングラデシュ、ネパール、パキスタン)
・オセアニア(オーストラリア、ニュージーランド)
・日本国内(東京、大阪、福岡、京都)
・中東(アラブ首長国連邦(UAE/ドバイ・アブダビ・アジュマン))
・その他(ロンドン、深圳(駐在員事務所)
・メンバー数(2023年8月時点)
全拠点:約400名(内日本法弁護士約40名)

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●記事内容は執筆時点の情報に基づきます。


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