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【最新版】世界の銀行ランキングTOP50を徹底分析~シンガポール3大銀行は?

2024年度の世界の銀行ランキング、TOP50にはどのような銀行がランクインしているのでしょうか?ランキングを見ていくとともに結果を分析。今、世界の銀行業界では何が起きているのか見ていきましょう。

世界の銀行ランキングTOP50

イギリスのブランドコンサルティング会社であるブランド ファイナンス社(Brand Finance)がまとめている、世界の銀行のブランド力を数値化したランキング「世界で最も価値のある銀行ブランドトップ500(Banking 500)2024」はこちら。シンガポールの3大銀行は25位DBS、58位UOB、68位OCBCにランキングされています。

Banking500 2024 Ranking

順位銀行名ブランド価値(US$)前年増減比(%)格付け
1ICBC中国71,828M+3.3AAA+
2China Construction Bank中国65,604M+4.7AAA
3Agricultural Bank Of China中国60,398M+4.7AAA
4Bank of China中国50,469M+6.6AAA
5Bank of Americaアメリカ37,256M-3.6AA
6Wells Fargoアメリカ35,807M+8.6AA
7Chaseアメリカ35,807M+14.3AA
8Citiアメリカ31,401M+2.8AA+
9J.P. Morganアメリカ30,762M-3.3AAA-
10China Merchants Bank中国26,644M+8.6AAA-
11HSBCイギリス20,047M+1.0AA
12TDカナダ18,961M-7.1AA+
13Santanderスペイン18,908M+11.7AA
14Postal Savings Bank中国18,276M+7.3AAA-
15Bank of Communications中国18,255M-3.7AAA-
16Goldman Sachsアメリカ17,833M-4.1AA+
17Capital Oneアメリカ16,974M-7.5AA+
18RBCカナダ16,420M+11.4AA+
19China CITIC Bank中国13,325M+5.6AA+
20Morgan Stanleyアメリカ13,306M-6.4AA
21Barclaysイギリス13,286M+7.3AA
22BNP Paribasフランス12,266M+9.4A
23UBSスイス12,222M+25.1AA-
24Charles Schwabアメリカ12,099M+135.9AAA-
25DBSシンガポール11,031M+5.0AAA
26Ping An Bank中国10,762M-13.5AA+
27BMOカナダ10,741M-0.8AA
28Industrial Bank中国10,717M-3.6AA
29Scotiabankカナダ10,576M-11.5AA+
30INGオランダ10,017M+3.1AA
31Shanghai Pudong Development Bank中国9,876M-10.8AAA-
32U.S. Bankアメリカ9,747M+5.2AA-
33MUFG日本9,419M+4.6AA
34HDFC Bankインド9,376M+38.1AAA
35PNCアメリカ9,369M-6.8AA-
36SMBC日本9,038M+9.8AA+
37Truistアメリカ8,701M-13.5A+
38China Everbright Bank中国8,566M-13.7AA
39QNBカタール8,404M+9.6AAA
40Itaúブラジル8,334M-4.4AA+
41Standard Charteredイギリス8,038M-6.3AA
42Intesa Sanpaoloイタリア7,986M+19.9AA+
43Discoverアメリカ7,954M-0.3AAA
44CIBCカナダ7,812M-5.7AA+
45China Minsheng Bank中国7,669M+1.9AA+
46NatWestイギリス7,296M-4.9AA-
47BBVAスペイン7,206M+8.7AAA
48State Bank of Indiaインド6,901M-5.9AAA
49Commonwealth Bankオーストラリア6,759M-11.9AA+
50Lloyds Bankイギリス6,735M+1.3AAA-

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58UOBシンガポール5,644M+1.9AAA-
68OCBC Bankシンガポール4,971M-8.1AA+
出典:Banking 500 2024 Ranking

世界の銀行ランキングを分析

世界の銀行ランキングから、各国の銀行の傾向を分析していきます。世界の中でも優れた銀行がどのような動きを見せているか以下に5カ国のケースを紹介します。

シンガポール

シンガポールの銀行ランキングの分析をここで述べます。上記の世界の銀行ランキングではシンガポールの3大銀行はDBSが25位、UOBが58位、OCBCが68位となっていますが、2024年10月にアメリカのGlobalFinance誌が発表した2024年版「アジアの最も安全な銀行(The Safest Banks in Asia)」では、シンガポールの銀行が上位3位を独占し、そのなかでDBSが1位に選ばれています。今回で3年連続のトップ3となり、財務の安全性や健全性が確固たるものと認められています。

The Safest Banks in Asia 2024

ランキング銀行名国/地域
1DBSシンガポール
2OCBCシンガポール
3UOBシンガポール
4Korea Development Bank韓国
5Export-Import Bank of Korea韓国
6Industrial Bank of Korea韓国
7Bank of Taiwan台湾
8Hang Seng Bank香港
9China Development Bank中国
10Agricultural Development Bank of China中国
出典:Global Finance Names the Safest Banks in Asia 2024

GlobalFinance誌はまた、2024年版「世界で最も安全な商業銀行トップ50(The World’s 50 Safest Commercial Banks)」も発表しており、このなかでもシンガポール3大銀行はトップ5圏内の2.3.4位を占めています。

※対象は中央銀行や投資銀行、信用組合等を除いた商業銀行に限定したものです。

The World’s 50 Safest Commercial Banks 2024(10位まで)

ランキング銀行名国/地域
1Royal Bank of Canadaカナダ
2DBSシンガポール
3OCBCシンガポール
4UOBシンガポール
5Svenska Handelsbankenスウェーデン
6Toronto-Dominion Bankカナダ
7Commonwealth Bank of Australiaオーストラリア
8ANZ Groupオーストラリア
9National Australia Bankオーストラリア
10Westpacオーストラリア
出典:Global Finance Names the World’s 50 Safest Commercial Banks 2024

なお、GlobalFinance誌のベストバンクは資産の伸び、収益性、地理的範囲、戦略的関係、新規事業開発、商品の革新性、そして株式アナリスト、格付けアナリスト、銀行コンサルタント、その他業界関係者の意見が評価基準となります。

中国

「世界で最も価値のある銀行ブランドトップ500(Banking 500)2024」などの世界ランキングトップの座を占める中国の銀行。そのトップ4は圧倒的に競合他者から抜きん出るICBC(中国工商銀行)を始めとし、China Construction Bank(中国建設銀行)、Agricultural Bank Of China(中国農業銀行)、Bank of China(中国銀行)の4大銀行で、中国のGDPの成長と共に着実に総資産を増やしています。

ここ数年は住宅危機などで経済が減速し、ブランド価値の数値が減少したものの、2024年は著しい回復を見せており、4大銀行は米国の銀行を大きく引き離す結果となりました。ICBCの3.3%上昇をはじめ、他の3銀行もそれに続く形で以前のブランド価値を取り戻しています。なかでも、4大銀行の直下に位置するChina Merchants Bank(招商銀行)とPostal Savings Bank(中国郵政儲蓄銀行)のブランド回復はすさまじく、市場や顧客、投資家からの信頼を順調に回復させている様子がうかがえます。

アメリカ

「世界で最も価値のある銀行ブランドトップ500」で5位〜9位を独占しているアメリカ。中国の回復力に大きく差をつけられているものの、依然として高いブランド価値を維持しています。前年比で4%近く減少したBank of Americaも前年と変わらず5位をキープしており、4年連続で米国のトップ銀行ブランドの座に君臨しています。一方、Wells FargoとChaseは前年比で大幅にパーセンテージを上げており、国内の上位ライバルとの差を急速に縮めているとみられます。

なお、ランキングが上がっている4大銀行は純利益が前年同期比マイナス、逆にランキングが下がったGoldman SachsとMorgan Stanleyは純利益が前年同期比プラスとなっているのが興味深いところです。これは、純利益と市場からの評価および信頼が必ずしも相関しないことを示唆しています。収益の増減はあるものの、アメリカの上位銀行がブランド価値を変わらず維持し、トップ50に10か国以上ランクインしているのは、その財務の健全性や信頼性、市場への影響力などが非常に大きいためでしょう。

日本

日本は、メガバンクと呼ばれる3大銀行のうちのMUFGとSMBCがそれぞれ33位、36位にランクインしています。両銀行とも前年比でブランド価値が大きく上昇しており、国内外での認知度が高まっているとみられます。

グローバル展開の他にも、ここ数年におけるグループ経営強化やデジタル化推進、ブランド戦略、新しいチャレンジをサポートするための労働環境の改善などが奏功していることがうかがえます。収益で見ても、特にMUFGは、三菱UFJフィナンシャル・グループ全体で第2四半期の純利益が前年比90%増の7020億円に達しています。(参考:ロイター通信

イギリス

イギリスは世界の金融セクターと言われるだけあり、HSBCやBarclaysを含む5つの銀行がトップ50にランクインしています。全体のブランド価値はここ10年間で安定を保っており、US$5000億〜6000億台をキープしています。HSBCがブランド価値を高めたのは、自社株買いでの株式の価値向上と投資家からの信頼回復、および上半期の業績拡大と海外顧客数の8%増加が挙げられるでしょう。(参考:ロイター通信)Barclaysに関しては、融資や投資部門の収益増加や安定した株価取引が挙げられそうです。(参考:ロイター通信

各行のサステナビリティの取り組みも現代のトレンドに沿っており、顧客からの信頼を得ている一因でしょう。

持続可能性・環境配慮への対応

最近では多くのステークホルダーが銀行に経済的、社会的、環境的に責任ある行動を求めています。以下に近年の銀行が実施しているサステナビリティ活動を一部紹介します。

DBS

ブランドファイナンス社の調査によると、シンガポールのDBSは業界でも特に高い持続可能性スコアを達成しています。近年ではSDGsの6つの課題(ジェンダー平等、地球に優しいクリーンなエネルギー、働きがいと経済成長、産業・イノベーションとインフラ、持続可能な消費と生産、気候変動対策)に注力しており、銀行業務だけでなく、環境的・社会的な側面に配慮した取り組みもビジネス基盤に取り入れています。持続可能性に向けた顧客サポート体制の移行、環境保護を視野に入れた金融ソリューションの提供などが代表的です。

Bank of China(中国銀行)

Bank of China(中国銀行)のサステナビリティ活動は、グリーンバンキングによるカーボン ニュートラルを実践するため、電気・炭素・水・紙資源の消費量を2025年までに大幅に下げることを目標にしています。特にペーパーレスの文書管理に至っては顧客との連携を通じ、ペーパーレスバンキングの推進と低炭素バンキングのサポートに積極的に取り組んでいます。

Bank of America

Bank of Americaは投資家とのサステナビリティ トレンドの共有、低炭素社会、再生可能エネルギーに力を入れているほか、地域社会の経済回復のために政府と連携してコミュニティ開発にも力を入れています。

Lloyds Banking Group

イギリスのLloyds Banking Groupはネットゼロを目標に掲げ、農業部門への融資を積極的に行っています。現在は英国で最大のオーガニック認証機関Soil Association Exchangeと提携し、数々の課題に関するレポートを検証しながら持続可能性や食料生産性、環境パフォーマンスの改善に取り組んでいます。

Barclays

Barclaysは2020年から2027年の間に、低炭素経済への移行を加速するため、気候変動技術を提供するスタートアップに最大5億ポンドの投資を行うことを使命としています。

世界の銀行ランキングでわかること

ブランド ファイナンス社を始めとする「世界の銀行ランキング」ではさまざまな観点から銀行を評価し、ランキングを決めています。2024年のランキングが上位、もしくは急上昇している銀行は、デジタル化、持続可能性や環境配慮、グローバル化に対応できている銀行が占めています。

このように世の中のトレンドを追った経営方針は巨大銀行、小規模銀行に関わらず今後も銀行業界全体に求められる重要な要素となるでしょう。特にブランド価値とグループ全体の収益が高い銀行が、今後DX(デジタルトランスフォーメーション)やサステナビリティ活動、イノベーションを通じて、世界経済にどのような影響をもたらすのか注目に値します。


●記事内容は執筆時点の情報に基づきます。


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