【2023年度】 シンガポールの優良企業~Asia300に選出された14社・就職人気企業TOP10~

あらゆる業種で世界をリードしているシンガポール。その大きな役割を果たしている、シンガポールの優良企業とはどのような会社があるのでしょうか。Asia300に選出された企業やシンガポールの学生の就職先希望ランキングを通して詳しくみていきましょう。
Asia300とは
シンガポールの優良企業を語る上で見過ごすことのできないデータがAsia300。Asia300とは日本経済新聞独自の選出による、アジアの主要企業リストです。
中国、香港、台湾、韓国、シンガポール、タイ、インドネシア、フィリピン、ベトナム、インド、ミャンマーの計11カ国の地域の有力上場企業群から選ばれた300社。これをベースにした「日経アジア300指数」は浮動株時価総額型の株価指数で、主に世界経済の中で存在感を増す、アジアの企業の株価の動向を把握することを目的としています。
韓国市場が開く日本時間午前9時からインド市場が終了する同午後7時20分までの時間帯にリアルタイムで算出・公表され、アジア経済の動向を知る必要のある投資家などの重要な情報源の一つとなっています。
AsiaASIA300に選出されたシンガポールの優良企業14社
Asia300に選出されているシンガポールの優良企業を見ていきましょう。(2023.1.12現在)
※出典:NIKKEI Asia
シンガポール航空(SIA)

航空会社評価で毎年上位争いに名前がでてくる、シンガポール航空(Singapore Airlines Ltd.)。質の高いサービスでも有名でローコスト航空会社との差別化を図っており、最新機材の採用、座席の広さ、機内食などそれぞれの項目で高評価を得ています。
就航都市は約130都市を越え、旅客および貨物の航空輸送事業をグローバル規模で展開している世界有数の大企業です。シンガポール航空の旅客機輸送事業と共に、地域市場の旅客航空輸送に重点を置いたシルクエアー、低価格旅客事業に焦点をあてたスクートブランド、機体整備やメンテナンスなどを担うSIAEC事業の主な4事業で成り立っています。
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ケッペル コーポレーション

1968年にケッペル シップヤードとして海洋事業として設立されたケッペル コーポレーション(Keppel Corp. Ltd.)は、1970年代から1980年代に多角化を進め、幅広い事業展開をしている大手企業です。
現在は政府系ファンドのテマセク ホールディングスが出資。大きく4つの事業に分けられ、オフショア・海洋事業(オフショアリグの設計、建設、修理や船舶の修理、改装)、インフラ整備事業(電力とガス、環境工学、ロジスティクス、およびデータセンターのビジネス)、不動産事業(デジタル接続されたコミュニティのための住宅、オフィス、商業開発および統合開発)、そして投資事業(資産管理、都市ソリューション、通信事業)を行っています。
また世界最大手の海洋石油掘削機企業としても知られています。
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セムコープ インダストリーズ

出典:sembcorp
Sembcorp Industries Ltd. は1998年、政府系コングロマリット(多業種間にまたがる巨大企業)の合併により設立されました。エネルギー事業、海洋掘削事業、都市開発事業の3事業を展開する企業でしたが、2020年に石油掘削装置(リグ)建造子会社のセムコープ マリンを切り離したことから事業再編を行いました。
現在は「サステナブル ソリューション(再生可能エネルギー・統合都市ソリューション)」 、「従来型エネルギー」、「その他事業」から構成されています。
シンガポール政府の「CO2排出量実質ゼロ目標」や現在世界中で重要視されている「脱炭素」への貢献のため、三菱商事、双日株式会社などの日系企業との共同開発の締結も印象深いシンガポールの大企業の一つです。
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DBS銀行

出典:DBS
DBSグループ・ホールディングス(DBS Group Holdings Ltd.)は、1968年にシンガポール開発銀行(The Development Bank of Singapore)として国の発展のために設立されたのが始まりです。シンガポール国内の企業や都市開発プロジェクトに対する融資機関としてスタートしました。
その後、中国や東南アジアの海外部門を含む銀行としても成長し2003年に正式にDBSと名称変更されました。ケッペルコーポーレーションと同じくDBS の最大の少数株主は、シンガポールの国家投資家であるテマセク ホールディングスとなっています。
2300以上の支店とセルフサービスバンキング機からなるシンガポール最大のネットワークを有し、国内の銀行セクターでトップクラスのシェアを誇っています。
現在世界の銀行業界の多くがデジタル化を取り入れる流れになっていますが、その先駆者ともいえるのがこのDBS。アジアだけではなく世界各国から、また他業種となるIT業界からも評価が高く、2021年には「世界最高の銀行」および「世界最高のデジタルバンク」両方のタイトルを獲得しています。(*「Euromoney」誌による選定)
世界的な脱炭素の流れに金融機関として貢献すべく、世界的な価格の透明性を高めるための活発な国境を越えた炭素クレジット取引を試みるなど、金融業界の枠組みを超えて新しい試みも臆することなく挑戦している企業の一つです。
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Asia300に選出されたその他のシンガポール企業一覧
・バニヤン ツリー ホールディングス(Banyan Tree Holdings Ltd.):ホテルなどの消費者サービス ・コンフォート デル グロ(ComfortDelGro Corp. Ltd.):交通サービス ・オラム インターナショナル(Olam International Ltd.):非耐久消費財 ・オーバーシー チャイニーズ バンキング(Oversea-Chinese Banking Corp. Ltd.):金融 ・ラッフルズ メディカル グループ(Raffles Medical Group Ltd.):医療 ・シンガポール ポスト(Singapore Post Ltd.):物流 ・シンガポール プレス ホールディングス(Singapore Press Holdings Ltd.):メディアなどの消費者サービス ・シンガポール テレコミュニケーションズ(Singapore Telecommunications Ltd.):通信 ・スター ハブ(StarHub Ltd.):通信 ・ウィルマー インターナショナル(Wilmar International Ltd.):食品加工 |
Asia300に見るシンガポール優良企業の特徴
Asia300にランクインしている企業の多くは、ITや技術開発において世界をリードする先駆者的な取り組みを行い、グローバルな展開をしていることが特徴です。
また、シンガポール政府がシンガポール国内だけではなく、国外の秀逸な技術力や開発力の発展に協力し、各分野の産業の向上を図っていることも企業の優良化、グローバル化には欠かせない要因でしょう。
各産業における政府のサポート体制の詳細については関連記事をご参照ください。
シンガポールで就職人気の優良企業
次に、シンガポール国内の就職人気の優良企業の特徴を見ていきましょう。2022年に教育系メディア企業GTIのシンガポール法人がシンガポールの大学を卒業した学生及び新入社員を対象に行ったアンケート結果がこちらです。
※出典:Overall Rankings 2022 | Singapore’s 100 (singapores100.com)
シンガポールで就職人気の企業ランキングTOP10
順位 | 企業名・業種・前年度順位 |
1 | Agency for Science, Technology and Research (A*STAR) Scientific Research & Development Engineering, Design, & Manufacturing Public Sector NEW |
2 | Microsoft IT & TechnologyConsulting Ranked 1st in 2021 |
3 | Shopee IT & Technology Ranked 6th in 2021 |
4 | DBS Bank Banking & Financial Services Investment Banking & Investment Management Ranked 3rd in 2021 |
5 | Mastercard Banking & Financial Services Ranked 5th in 2021 |
6 | Ministry of Education (MOE) Public Sector Ranked 2nd in 2021 |
7 | McKinsey & Company Consulting Ranked 11th in 2021 |
8 | Ministry Of Health (MOH) Public SectorHealthcare & Pharmaceutical Ranked 4th in 2021 |
9 | Amazon IT & Technology Ranked 7th in 2021 |
10 | J.P. Morgan Investment Banking & Investment Management Ranked 10th in 2021 |
シンガポールで就職人気の優良企業の特徴
TOP10の中に政府系組織が3組織ランクイン。また、世界各国で有名なIT系、ECコマース、金融系の大企業が名を連ねています。
1位に輝く政府系機関であるAgency for Science, Technology and Research (A*STAR)は、シンガポール政府が打ち出す、各種産業の変革プランの発展に大きく寄与し、世界各国の大手企業や大学機関と最先端の研究開発などを行い、同時に刺激的な職場である一方で政府系ということで安定性も見込まれた結果ではないでしょうか。
アジアの金融のハブとも言われるだけに金融系大手企業も人気健在です。また、コロナ禍で人々の生活様式が変化したことで、在宅勤務などによりニーズが激増したEコマース企業も学生たちには魅力的にうつるようです。
さらにもう一つの特徴は多国籍企業が多くランクインしていること。シンガポールは多国籍企業にとって、規制の柔軟さや手続きの速さなどにおいて事業所を設置しやすく、実際にシンガポールに展開する多国籍企業の6割が、グローバル統括拠点としてシンガポールを活用していると言われています。有名な多国籍企業で自分の力を試してみたい意欲ある学生が多く見られます。
世界で躍進するシンガポール企業
古くからアジアの貿易の中心地として繁栄してきたシンガポール。その繁栄は現在物流や輸送業の分野で今なお引き継がれています。また、他の業種においても優秀な人材の確保や富裕層、起業家の誘致が功を奏し、アジアや世界のハブとして発展を遂げ、シンガポールは2022年の世界競争力ランキング第3位にランクインしています。
それは常に世界の動向を見据え、そのニーズに応え、世界を牽引していこうというシンガポール企業とそのサポートを惜しまないシンガポール政府の努力の賜物といえるでしょう。
●記事内容は執筆時点の情報に基づきます。
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