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シンガポールの通貨~シンガポール通貨の基本や為替制度などを徹底解説~

シンガポールの居住者なら毎日のように聞くシンガポールドル(SGD)。シンガポールはアジアの金融ハブとして知られていますが、その通貨であるシンガポールドルも安定性と信頼の高さから世界的に取引されています。この記事では、シンガポールの通貨の基本情報から最新の動向までを詳しく解説します。

シンガポールの通貨~基本情報~

まずはシンガポール通貨の基本からおさらいしましょう。シンガポールの通貨は細かい単位で分類されており、それぞれの種類でさまざまなデザインや刻印が施されています。紙幣で7種類、硬貨で5種類もあり、これらに加えてシンガポール独自の特別記念硬貨も出回っています。現在のシンガポール貨幣ができた理由も、その成り立ちを見れば新たな発見が見えてきます。

シンガポールの通貨の種類

シンガポールの法定通貨はシンガポールドル(SGD)で表されます。現在、流通している紙幣は2ドル、5ドル、10ドル、50ドル、100ドル、1,000ドル、10,000ドルの7種類があり、硬貨は1セント、5セント、10セント、20セント、50セント、1ドルの5種類です。

日本よりも貨幣の種類が細かく分かれており、わかりやすいように単位の大きさによってデザインや大きさが工夫されています。なお、硬貨の1セントは2002年4月1日から発行が停止されています。一方、紙幣の1,000ドルと10,000ドル札は発行量が少ないのため、市中でほとんど見かけることがありません。

特別記念貨幣

シンガポールには、通常の通貨のほかにも建国や独立、功績などを記念する特別記念貨幣も存在します。例えば、2019年のシンガポール建国200周年を記念して発行された20ドル紙幣や、2015年のシンガポール独立50周年を記念して発行された紙幣や硬貨などがあります。

シンガポール通貨の歴史

シンガポールの通貨は、1899年から1939年まで「Straits Settlements dollar」が発行されていました。その後、1940年代から1950年代にかけてマレー・ドルが使用され、1954年にマラヤ及びイギリス領ボルネオ・ドルという共通通貨が使用されるようになりました。

本格的に自国通貨制度が整備されたのは1967年に入ってからです。その後2002年に、シンガポール通貨監督庁が現在のシンガポール金融管理局(MAS)と統合し、それ以来、シンガポールの貨幣は同局によって発行されています。シンガポールの隣に位置するボルネオ島ブルネイでも同価値のままシンガポールドルが使用できます。これはブルネイとシンガポールが通貨の等価交換協定を結んでいるためです。

シンガポール通貨と為替

シンガポール通貨の安定性確保のため、政府は多様な為替政策を実施しています。為替制度には通常の変動相場制ではなく、特定の国に対象を限定した管理型変動相場制の通貨バスケットという制度が取られています。国外のドル貸出についても厳格な規制が定められています。詳しく見ていきましょう。

シンガポールの為替制度

シンガポールは、1980年代以降、管理型変動相場制を採用しています。この制度では、シンガポールドルは主要取引相手国の通貨バスケットに対して管理された範囲内でのみ浮動します。これは、相手国の為替下落などの外部経済ショックによって価値が大幅に揺らがないよう、経済の安定性を維持するために機能している制度です。

なお、各国バスケットの構成通貨や構成比率、および変動幅については、公開されていません。為替が一定の範囲内(為替バンド)を超えて変動する場合は、過度な乱高下を防ぐためにMASが市場介入する場合も考えられます。

景気政策については、消費者物価指数(CPI)の上昇ペースを基に、MASが必要に応じて金融緩和や金融引き締め(為替レートの調整)を行います。通常、中央銀行というと政策金利の調整や市場への資金供給量のバランスを保つことが役割ですが、MASは貿易で経済を支えている関係上、為替政策が中心となります。シンガポールドルの価値のバランスを保つために、特定の貿易相手国を対象にした「名目為替実効レート(NEER)」を操作することで国内景気の均衡を保っています。

非居住金融機関に対する通貨貸出の規制

MASは、シンガポールドルが海外に流通して取引市場が新規に発生すること、および市場が拡大することを抑えるため、一定の取引について制限や監視を行っています。通貨の安定を維持するため、基本的には非居住金融機関(海外の銀行や投資会社など)に対してSGDの貸出を行う際には、MASの規制に従う必要があります。

シンガポールドル(SGD)の推移

過去10年間のシンガポールドルの為替レートは、以下の通りです。ここでは、USドルとユーロ、英国ポンド、日本円とのレートを掲載しています。

通貨2015年3月2020年3月2025年2月
US$約1.37約1.42約1.34
JPY約87.04約75.86約111.57
EUR約1.48約1.57約1.40
POUND約2.03約1.75約1.69
参考:シンガポール金融管理局(MAS)
※2025年3月中旬現在
※日本円:2015年3月30日時点、2020年3月31日時点、2025年2月26日時点の為替レート参考

この表は、シンガポールドルが安定的に推移しており、その価値に大きな乱高下がないことを示しています。特に、USドルに対する為替レートは比較的安定しています。

日本との為替レートを見ると、2015年から2016年にかけてシンガポールが中国不況のあおりを受け、一時的にシンガポール通貨安を招いたことで相対的に円高傾向になった模様です。

シンガポール通貨と経済

シンガポールドルは安定して世界中で取引が活発な通貨です。安定性の理由、そして今後のキャッシュレス社会を目指した取り組みについて解説していきます。

シンガポールドル(SGD)の安定性

シンガポールドルは、シンガポールの強力な経済基盤と金融政策の結果として、世界的に安定した通貨とされています。安定した経済基盤と魅力的な投資環境、革新的な政策によって、国際的な金融ハブとして成長し続けています。

MASは、シンガポールの2025年GDP成長率が若干鈍化し、前年比1.0〜3.0%で推移すると見込んでいます。当面は通貨価値と物価の安定のために金融緩和を継続する見通しです。

キャッシュレス化

シンガポールはキャッシュレス社会を目指しており、電子決済(eペイメント)の普及を推進しています。近年のスマートネイション構想やデジタルトランスフォーメーション(DX)、サステナビリティの一環として、PayNow(国内即時送金システム)やQRコード決済など、最新のFintech技術を活用したサービスが広まっています。

特に近年のフードコートでは、「シンガポールQRコード(SGQR)」の登場によってQR決済が盛んになっています。公共交通機関や小売店でもSimplyGoシステムのほか、クレジットカードやモバイルウォレットが使用できるなど、キャッシュレス化が進んでいます。

MASはキャッシュレス社会の実現のため、金融業界と一体となって、安全でセキュリティが確保された決済エコシステムの確立を進めています。これにより、生産活動と消費活動が一層効率的に進み、社会におけるデジタルイノベーションと目覚ましいGDP成長率が期待できます。

暗号通貨・デジタル資産分野の基盤構築

MASは3形態のデジタルマネーを推進しています。

1つ目は「Wholesale CBDCs」と呼ばれる中央銀行デジタル通貨です。将来的に海外主要国の中央銀行等と協力し、クロスボーダー決済を実現しようとしています。

2つ目は「Tokenised Bank Liabilities」です。デジタル通貨の一種であり、ブロックチェーンや分散台帳技術を応用して預金をデジタルトークン化する手法です。最近ではシンガポールのメジャーバンクのひとつであるDBS銀行が機関投資家向けに「DBSトークンサービス」を発表しました。ブロックチェーンを用いた効率的な資産管理と運用が可能とされています。

3つ目は「Regulated Stablecoins」です。1つまたは複数の指定された仮想通貨に対して一定の価値を維持するように設計されたデジタル決済トークンです。シンガポールではステーブルコイン発行の規制を強化し、その信頼性を向上するための取り組みが進められています。

シンガポール通貨の価値を市場でうまく活用しよう

シンガポールドルは、シンガポールの経済の安定性と金融政策の結果として、世界的に信頼されている通貨です。特にシンガポールの為替制度やキャッシュレス化の取り組みは、日本とシンガポールの懸け橋となるビジネスマンにとって重要な情報であり、今後のビジネス展開の行方を左右するものといえるでしょう。この記事を通じて、シンガポールの通貨に関する基本情報から最新の動向までを理解し、ビジネス活動に役立てていただければ幸いです。

●記事内容は執筆時点の情報に基づきます。


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