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【最新】シンガポールのビジネスギフト〜喜ばれる品と避けたいギフト10選・日本とのマナー比較

シンガポールは多民族・多宗教国家ならではの独自のギフト文化があります。海外進出や現地ビジネスで円滑な関係構築を図るために、現地のマナーやプレゼント選びのポイント、注意点を知っておきたい方のために解説します。

シンガポールのギフト事情

シンガポールは人口約600万人の多民族都市国家です。中華系、マレー系、インド系を中心に仏教、イスラム教、ヒンズー教、キリスト教などが共存し、それぞれの宗教的行事で贈り物を交わす文化が根付いています。

シンガポールのギフトの目的は、トレンドに左右されることなく「好きなものを好きな人とシェアする」こと。流行りや決まった形式よりも個々の価値観が最も重視されます。

中華系の間では、旧正月(春節)にマンダリンオレンジやハンパー(Hamper)といった詰め合わせギフト、中秋節には月餅(Moon Cake)といった具合に、行事ごとに選ばれるギフトがあります。クリスマスは宗教の壁を越えたイベントとして盛んにギフト交換が行われ、ビジネスシーンでも活用されています。

イスラム圏やヒンドゥー圏の人々の間でも、中華系ほど贈り物をする習慣はないものの、ラマダン最終日やディーバハリといった祭日には、盛大なイベントやギフト交換が行われることもあります。

まさに多民族多宗教国家ならではの多種多様なギフト文化が根付いているといえます。

ビジネスにおけるギフトの重要性

シンガポールのビジネスシーンではイベントごとに適したギフトを贈るのが一般的です。日本の「お中元・お歳暮」ほど形式的なものではありませんが、イベントや節目でのギフト贈呈が信頼関係や連携強化、日ごろの感謝を伝える手段として用いられています。

信頼関係の構築

シンガポールのビジネス現場では、ギフトは単なる物品以上の意味を持ちます。特に保険や営業職など、顧客や取引先との信頼関係の構築が重要な業界では「Hamper」などを定期的に送る習慣が根づいており、贈り主・受け手双方の信頼や感謝を示す重要な役割を担います。イベントや契約締結後、関係構築・今後の協力への布石としてギフトを渡すことで、ビジネスチャンスやコミュニケーションが広がります。

留めておくべきこととしては、以下を参考しておくと良いでしょう:

▪どんな贈り物も大小関係なく全体にいきわたるようにすること
▪あまり高価な物は避けること
▪その場で封を開けないこと
▪受け手側の宗教的事情に配慮すること

ギフト選びの際の注意点とマナー

ギフトは感謝や関係構築の手段として最適な手段である一方、シンガポールのような文化的多様性に富む国においては慎重さが求められる行為でもあります。それぞれの国の宗教や文化、渡すタイミングなどに注意しつつ、誠実さを以て相手に接するように心がけることが大切です。

宗教的・文化的配慮

シンガポールは多宗教国家であり、宗教・民族によるギフトのタブーが明確に存在します。贈り物をする際には、事前に相手がどの文化圏に属するかを知っておかなければなりません。

イスラム教徒にはアルコールや豚製品、インド系の方には牛肉や牛革製品はタブーです。中華系の方へは置き時計や傘、扇子など音や意味が縁起の悪いものは避けましょう。

包装では赤や金色が好まれる一方、白色は不幸を象徴するため注意が必要です。贈り物は控えめな価格帯、実用性重視がマナーとされます。

よく知っている間柄ならわざわざ聞く必要はないかもしれませんが、間接的な知り合いやめったに合わない顧客といった関係性なら、受け取る側がどこの文化圏の方なのかを人づてに調べておきましょう。中華圏の人のように見えて実はイスラム系だったということもあり得ますので、ケースに寄っては慎重な配慮が求められます。

現金はNG

シンガポールでは賄賂や便宜供与とみなされるものに対して厳格な規制があります。ビジネスとして取引先や顧客にギフトを選ぶ際には、規制を守ると同時に誤解を与えたりすることが無いよう、現金や引換券(ギフトカードや観戦チケット等)は避けてください。

特に政府関係者や公共部門に属する職員に対してはモラルが厳しく、贈り物の受け取りにとてもシビアな姿勢をとることがあるので、より慎重に選ぶ必要があります。

湿気対策

シンガポールは熱帯モンスーンの影響により、年中高温多湿の気候となっています。「和菓子」や焼き菓子は湿気に弱く、賞味期限内でも状態が悪化することがあります。せっかくの高級菓子も、湿気対策がなされていない場合、贈った相手に歓迎されないことも。しっかりと個包装・パッケージングされた商品選びが大切です。

個数は偶数

中華圏では偶数が「吉数」と定められているため、個数は偶数になるようにそろえましょう。特に「8」が縁起がいい数とされています。一方、同じ偶数でも「4」は死を連想させるため、逆に避けられます。

喜ばれるビジネスギフトの例

シンガポールではギフトを贈るのに適したイベントがあります。それぞれの行事の際に日ごろの感謝の気持ちを手渡すことは古今東西問わず、尊いものです。文化を尊重したギフトを贈ることで親しみや信頼感を高めることができます。

行事に合わせたギフト

春節や中秋節などシンガポールの主要イベントでは、季節や行事に合わせたギフトが喜ばれます。

春節:
マンダリンオレンジ「桔子(チースー)・蜜柑(ミーガン)」、詰め合わせの「Hamper」、お茶セットを贈ることが多く、子どもや使用人をはじめ、上司から部下など目上から下の立場に、「紅包」という福の文字が書かれた赤い紙にお年玉を包んで手渡します(誕生日や結婚式にも渡されることがあります)。
中秋節:
月餅を贈るのが一般的です。
ただし、日本で見るような1口サイズのものではなく、大人数で切ってわけるほどの大きさで、中身もあんこだけではなく南国フルーツやガナッシュが使われているものもあります。
最近ではお酒や紅茶などの風味も取り入れたものもあり、バラエティに富んでいます。

いずれも、ギフトを贈る際には親しみを込めて受取人のイニシャルを入れたり、ちょっとしたレターを添えることも相手に好感を持ってもらえます。

日本の高級菓子

日本旅行経験者も多いシンガポールでは、しっかり包装された日本の高級菓子が好評です。何より風味や保存技術など、品質が高いことでシンガポール人に定評があります。定番の人気商品として、「白い恋人」や「シュガーバターの木」などはサクサク食べれることで好評です。

ただし、甘いお菓子にはアルコールが入っているものも少なくないので、受け取り側がイスラム教徒の場合は、購入時にハラル認証があることを確認しておくことをおすすめします。

企業ロゴ入りアイテム

実用性を重視した企業ロゴ入りグッズや文房具は実用的かつ印象に残りやすいアイテムです。ブランド物も「高級すぎない」「相手に負担感を与えない」など、押しつけがましさがあまり出ないようにすることが良しとされます。

避けるべきギフトは?日本の定番品も注意

シンガポールでは宗教的な信仰を尊重したギフト選びが必須です。日本では喜ばれても、シンガポールでは歓迎されない贈り物が多々あります。特に以下の10点に注意してください。

アルコールや豚製品

イスラム教圏の人にはアルコールや豚肉、豚製品は絶対に避けましょう。ラード、ショートニング、ゼラチンが入っている物もNGです。

牛製品

ヒンドゥー教圏の人には牛肉が含まれるものや牛革製品を贈るのは控えましょう。

置き時計

時間や寿命(終わり)を暗示するため、中華系への置き時計は避けましょう。

ハンカチ

涙や別れを連想させるため、ハンカチも贈り物として適しません。

白い花

不幸・葬儀の象徴となるため、白い花は贈らないよう配慮が必要です。祝い事や病気のお見舞い時には特に注意が必要です。

お風呂グッズ

湯船につかる習慣がなくシャワー文化なため、日本定番のバスグッズは活用する機会が限られるでしょう。

ネクタイ

シンガポールは高温多湿な気候のため、ビジネスでもクールビズが主流です。ネクタイ着用場面が少ないため、贈る相手やシーンを選びましょう。

偶像人形・顔入りグッズ

イスラム教徒は偶像・顔が描かれた品を避けます。

中華系では音が縁起悪い言葉に通じるため、避けることがベターです。

形よりも心遣いとしてのギフト

シンガポールのビジネスギフト事情は、多民族・多宗教国家ならではの文化的な違いや配慮が求められます。

ビジネス上でのギフト受け渡しのポイントは、信頼関係の構築にとどまらず、相手への敬意を示すことです。宗教・民族ごとのマナーやタブーを押さえ、現地事情に即したギフト選びを心がけましょう。逆にそれさえ押さえていれば、気遣いができる、対人スキルが高いビジネスマンとみなされ、様々なシーンで重宝されるかもしれません。

※本記事の内容は一般的な傾向や事例を紹介するものです。相手のバックグラウンドや個人差によって受け取り方が異なる場合があります。

●記事内容は執筆時点の情報に基づきます。


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