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創業100年、常に先を見据えてお客様と歩む日本事務器 田中啓一社長インタビュー

日本事務器が起業したのは関東大震災後、国民が混乱の中にあったとも言える時期に、海外に目を向けて、これから先に必ず必要になる事務合理化の普及・啓蒙を掲げて、1924年(大正13年)2月1日、日本事務器商会として創業。そしていつの時代も常に先を見据えた事業展開を続けながら100年経営を続けてきました。

同社は、企業向け輸入事務機器に続き、カナタイプライター・タイムスタンプなどの自社開発も行い、それによりさまざまな業種の事務効率化に大きく貢献しました。そして事業内容は変化しながら、現在ではグループ従業員数1,215名、売上高は340億円(2024年3月期)企業へと成長して来ました。時を経て事業内容が変革しても、お客様に寄り添って進歩し、改革を進めるという経営理念に変化はありません。創業100年という節目に、2007年の社長就任以来、会社を牽引してきた田中啓一社長にお話を伺いました。

100年間変わらぬもの

「今年2月1日に、創業100年という節目を迎えました。当社は、基本的には今も創業当時と同じく、お客様の業務や経営を良くするお手伝いをしています」と田中社長。

「100周年のキーワードは“感謝”。会社が100年間続いてこれたのは、ステークホルダーの方々のおかげです。1番はお客様、そしてお客様に提供する良い「道具」を提供してくれた取引先の方。それから社員、シンガポールの事務所、スポンサーを紹介してくれた銀行の方、今に至るまでかなりの部分を支えてくれた会社のOB、そして社員の家族。そういった、これまで当社を支えてくれた数多くのステークホルダーの方々に感謝を伝える機会にしたいと考えています。

個人的には社員が毎日働けているのは、パワーをくれる会社近くの食堂、居酒屋のご主人なども対象になると思っています。何か皆さんに喜ばれる形で感謝を表したいですね。

日本事務器とは

当社は、常に、まずは試してみる。ということを大切にしてきた会社であると思います。新しいものが出るとまずは先に手をつけて研究し、そして皆さんが欲しいと思った時にはすぐにご提供できるようにしてきました。

研究には時間がかかります。そのため、当社には、直近の事業を遂行する部隊と、次の時代に向けて新しいことを研究したり企画する準備部隊があります。

例えば、事務機器が事業の主流であった時には、事務機器の販売部隊がどんどん精力的に販売し、収入を上げました。その間コンピューター部隊は、ひたすら研究に打ち込みます。コンピューターなど誰も買ってくれない時代に研究、準備をしているわけです。そのため、時代が進んでコンピューター時代が来たら、その時には準備万端。

そして次はコンピューター部隊が稼ぐ間に、次の準備をしつつ進みつづけます。例えば先進の技術やソフトウェアなどを使って試してみるということを行います。今目の前にあるものだけに目をやるのではなく、次に来るものを見据えつつ進む、こうして着実に時の流れに飲み込まれることなく、時代とともに生きて来たわけです。

現在、売上高は300億越えとなり、多くの企業は前年比成長を目指すけれど、今は時代の変わり目。売上高だけを気にすると、慣れたところから売り上げを上げるなど、これまで通りの活動で続けることは難しい時代です。そのため、何か新しいことをやろうとしても通常業務の余った時間での取り組みとなってしまう。それでは成長は望めません。

私は新しいことにはどんどんチャレンジしてお客様の業務をより良くしていきたいと考えているので、数字(売り上げ)だけではなく、その中身で評価したいと思っています。

良い道具を役に立つ道具に

会社のモットーに「良い道具を役に立つ道具に」というのがあります。それはいくら良い道具(ソフトウエアやアプリ)があっても、使いこなせなければ役に立つとは言えないからですね。

良い道具を作ることを目的にする企業ではなく、よい道具を実際にお客様が使って役に立てる状態にすることが当社の役割です。ICTは、お客様が使いこなせて初めて真価を発揮すると考えています。システム稼働後の普及・定着をはじめ、利用者への啓蒙活動や教育、運用支援なども当社のミッションだと考えています。

例えば、時速100kmで走る車ができたとして、その速度を生かす運転をできるようにするのが我々の役目。どんなにすばらしい「道具」があっても使いきれなければただの飾りになってしまいます。コンピューターは素晴らしいけれど、お客様によってどんな風にコンピューターを利用したいかなど、ニーズは違うので、個々のニーズに合わせて能力を最大限まで活かすようにします。そしてそのために研究を重ねています。

日本事務器の社員とは

当社の社員はさまざまなキャラクターの個性豊かな社員が多いです。4月1日には、新入社員の入社式がありますが、必ず第一声で「ようこそ動物園へ」という歓迎の挨拶から始まります。

当社には良い意味で様々な「動物」がいます。そして新入社員もそんな人材豊富な「動物園」の中で新しい動物として入園して欲しい、珍獣、怪獣大歓迎です(笑)。ユニークな社員の1人として頑張って欲しいと思っています。「何にでも好奇心を持って接する」姿勢を大事にし、自分自身にも、そして社員にも奨励しており、文化として社内に根付いています。

社内コミュニケーションが円滑

当社は、社内のコミュニケーションが横並びなだけでなく、上下へも取りやすい状況になっています。例えば社内SNSで疑問点などを発信すると、違う地域の社員ともつながりアドバイスをもらえたり、下から上への質問や進言もしやすくなっています。窓口がいつも空いている、と言う感じです。

また、これは自慢ではないのですが、退職した人が再就職して戻って来るというパターンが時々あります。他社へ行き、実際に働いてみてここに戻りたいと帰ってきます。もちろん歓迎です。他社で学び、さまざまな経験をして帰ってくる、成長して戻るわけですから。そして復帰後は改めて、新鮮な気持ちで当社で働いてくれています。

研究の重要性

当社には、新しい技術を研究する部門もあります。研究をしていれば、失敗と呼べる状況も起き得ますが、当社はそれを失敗とは呼びません。「私は失敗したことがない。 ただ、1万通りのうまくいかない方法を見つけただけだ」というエジソンの言葉と同じように考えます。まずは自分たちで試してみて、うまくいく方法を見つけます。

また現在AIチームが研究を重ねていますが、失敗を恐れずにやってみればいいと思っています。ですがそれは、失敗した時の被害者が自社だけである場合です。もしそれがお客様だったら大変なことになりますので。

例えば、当社は病院に関わるお客様も多くいらっしゃいますが、何かの手違いがあって病院、ひいては患者様に何かがあったら命に関わる、大変なことになるからです。

ですから、失敗の被害者が我々だけで収まるならどんどんやろう!と言っています。失敗したことで当社がかけたお金が無駄になったり、かけた時間が無駄になったりは構わないわけです。

当社のお客様を業種別に見ていくと、「ヘルスケア(医療分野/介護分野/健康分野)」「文教‧公共(文教分野/自治体分野/公共分野)」、「民間企業(製造‧装置業/流通業/サービス業など)」などがあります。

病院は治すところ、病気になったら来院してもらい、治療して回復してお帰りいただくという場所です。ですが、最近は未病と言って、病気になる前のお手伝いをしようという方向に向かっている病院もあります。それを病院が実行していくにあたって、弊社もそのお手伝いをしています。

例えば、健康診断に行くのはなかなか腰が重いという方も多いのではないでしょうか。また、年に一回行く方でも、普段から腕時計のような形の機械で、毎日腕にはめて体調を測れるようになるといいですよね。そう言ったことをいずれは実施したいということで、お客様である病院と協力して研究しています。

日本事務器の強み

一般的には、 受注したシステムを納入してお客様から検収をいただくことでミッション完了となると思いますが、 我々は、納入したシステムをお客様が使いこなして効果を出し続けることが目標なので、我々にとっては使い始めてからもメインステージという思いでやっています。

そしてお客様とのやり取りの中では、嫌な感じがしないお節介、さりげなく、でも心地よい気遣いというのを心がけています。そして必要な場合には、柔軟に対応するところです。

例えば、病院で看護師の方にシステムの使い方をレクチャーする場合、昼間にできる方はいいのですが、夜勤の方もいます。看護師さんはシフトで三交代制。なので、昼間教えるチーム、夜教えるチームが必要となります。そこで動画コンテンツを用意し、それぞれの都合のいい時間に、何度でも見ることができるようにしました。わかりにくい部分や、忘れてしまったことも見直すことができるという利点も生まれました。この柔軟さも当社の強みの一つです。

ラストワンマイル

当社では、お客様との距離の近さを“ラストワンマイル”と表現し、その立ち位置を大切にしています。私たちの大きなミッションは、お客様が製品を使いこなして、効果を出し、ビジネスの成長を感じてもらえるようお手伝いすることだと考えています。

かつての導入後のサービスは保守メンテナンスが中心でしたが、今ではクラウド時代に対応し、SaaSをはじめとして新たな価値も提供するようになっています。

また、当社は日本全国各地域に拠点を設けており、すぐにお客様先に伺えるようにしています。時代が変わり、IT技術が進歩したことにより、何かトラブルがあったとしても、すぐに現場に駆けつけなくても、さまざまな事がインターネットの世界で実現できるようになりました。お客様のところに飛んでいくだけがラストワンマイルの機能を果たすことにはならくなっています。そこもうまくミックスしながら対応しています。

例えばデータがクラウドにある場合、コンピューターが停止したとしてもクラウドなら離れた場所からも調査できたり、遠く離れたデータセンターまでいく必要がありません。

ITシステムの変化

ITの世界はローコードやノーコードが一般的になりつつあり、そこでの当社の価値も、以前とは大きく変わってくると考えています。生成AIは単なるツールではなく、仕事を遂行するうえでの「相棒」であると位置づけています。

IT技術は常に進歩しており、ベテラン社員であっても初めて対応に当たる場合があります。以前はベテランが経験したことを新入社員に教えるという形態であることがほとんどでしたが、現在は、新しい技術は新入社員もベテラン社員も、同じレベルから協力して、変化に対応しています。

シンガポールは海外初の拠点

現地に社員を置いて現地のマーケットに対応するというのはシンガポールが初めてです。国内のお客様で、海外に目を向けて現地のパートナーと連携して進めていこうと考えている方々、世界を舞台にビジネスを展開しているお客様に対して、日本以外では当社には対応ができない。ということでは、トータルソリューションプロバイダーとは言えません。そのために海外に拠点を展開し、力をつけています。

現在はシンガポールで活躍する日本企業をサポートしていますが、将来的には日系企業に限らず、すべてのマーケットに対応出来る力や体制を身につけていきたいと考えています。

田中啓一社長プロフィールとお客様へのメッセージ

田中啓一社長プロフィール
1955年、東京都出身。78年、成蹊大学工学部を卒業。同年、日本電気ソフトウェア(現NECソリューションイノベータ)入社。80年~99年の20年間をNECの海外事業に携わる。99年、日本電気ソフトウェアを退社後、日本事務器に入社。2001年、取締役。2002年、常務取締役。2007年、代表取締役社長就任。現在はCEOとして 事業運営にあたる。

今や生成AI、IoT、メタバースなど我々も常に新しい挑戦をしているため、答えがわからない部分もあります。そういったことを我々と一緒にやってみましょう。試してみましょう。そして一緒にゴールを探す事ができるパートナーになる企業。そういった期待をしていただきたいと思っております。

企業情報

日本事務器株式会社
住所:東京都渋谷区本町3-12-1 住友不動産西新宿ビル6号館
電話番号:050 3000 1500

Nippon Jimuki Singapore Pte. Ltd.(日本事務器 シンガポール)
住所:80 Robinson Rd, #10-01A S068898
電話番号:6420 6252(日本語対応可)
 
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●記事内容は執筆時点の情報に基づきます。

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