住友生命とSinglifeの融合 〜シンガポールからの学びと挑戦、100%子会社化の舞台裏〜米田氏 インタビュー

生命保険、損害保険、投資商品、団体保険まで手がけるシンガポールの新鋭金融グループ「Singlife(シングライフ)」。2024年に住友生命保険相互会社の完全グループ会社となって以降、シンガポール進出の日系企業向け団体保険ソリューションをはじめ、サービス領域を急速に拡張しています。
日本の大企業とシンガポールの新鋭インシュアテックはどのように出会い、融合したのか。
初期投資直後から役員として経営に関わり、100%子会社化の交渉も担当し、現在もSinglifeグループの複数の子会社の役員を務める住友生命の米田氏にお話を伺いました。
Singlife(シングライフ)とは
米田氏:
Singlifeは、2017年にシンガポールで約50年ぶりに新規免許を取得して誕生した生命保険会社です。
創業者のWalter de Oude氏は、従来の保険業界に対して「商品が複雑」「手続きが遅い」「営業主導で不透明」「顧客体験が良くない」「若い世代が保険を嫌っている」といった強い問題意識を持っていました。それを打破するために、「モバイル完結」「透明性」「低コスト」「テクノロジー活用」「顧客が自分で金融をコントロールできること」を軸に立ち上げられました。
アジア事業で真っ先に「Singlife」へ着手した背景
東京で住友生命のアジア事業の担当となってからは、新たな投資先の発掘・交渉が重要な役割の一つとなりましたが、その際に真っ先に手を付けたのが「Singlife」でした。
私は海外での仕事が長く、欧米やアジアの他の国で仕事をする機会も長かったのですが、私にとってシンガポールは、親戚(義弟家族)や友人(シンガポール国立大学教授)が住んでいたこともあり、ずっと身近で気になる国でした。
日本の失われた30年とシンガポールの奇跡の発展の時期が重なることもあり”日本はシンガポールに学ぶべし”という気持ちをずっと持っていました。
当時のSinglifeは、未だ、事業開始後数年しか経っていないスタートアップで、従業員も50名程度でした。にもかかわらず、保険事業を「“売る側中心”から“顧客中心”へ作り変える」という高い志を掲げて、実際にモバイル完結のビジネスモデルにおいて、画期的な新商品(決済機能も有する保険商品)を開発し、すでにシンガポール内での事業買収(チューリッヒ生命)やフィリピンにおける子会社の設立まで実行していました。
「小が大を飲む」合併、100%子会社化への道のり
Walterと会って話をする中で、彼らの事業モデルに共感を覚えただけではなく、この熱い志、イノベーション、挑戦力、個々の高い生産性といったこの会社のDNAを、良い会社ではあるが伝統的な大企業であり、働く仲間も基本的にほとんどが新卒採用の日本人と、同質のキャリアの人ばかりで変革の起きにくい当社に移入することで、刺激を与え、何らかの化学反応が起こせるのではないか、と考えました。
そこで、この会社への出資を会社に提言し、2019年に最初の出資(20%)にこぎつけました。
そして、あまりサラリーマンとしては、普通ではないと思うのですが、「私が役員をやります」と手を挙げて、取締役となり、そこから7年弱、役割を全うさせていただきました。
当初の出資からほどなく、今度はAvivaシンガポールというシンガポールの大手生保の一角を買収することになりました。生命保険会社にとって規模の利益は非常に重要であり、また、既存の顧客や販売チャネルを持つ大手会社に、Singlifeの俊敏で先進的な事業モデルを乗せていくというのは、理にかなった戦略だと私も思いました。
ただ実際には、小が大を飲む合併というものはそんなに簡単なものではなく、さまざまな苦労や障害もありました。新しく迎えたCEO(Pearlyn Phau氏)が、非常に優秀で魅力的な方であったこともあり、彼女の下で、旧SinglifeでもAvivaでもない、新しい会社として、新しい価値観の下で発展を遂げています。
2024年には、当社が他の株主が保有する株式を買い取り、100%子会社化に至りました。私は、この交渉も担当しました。交渉過程での苦労や出来事は、本を書いてドラマにできそうなくらいの紆余曲折がありましたが、ここでは話すのは控えます。ただし、これまでの5年間の実績から、Singlife及びSinglifeの経営陣に対する信頼は確立されていたので、社内の説得にはあまり苦労はありませんでした。
2024年4月、現地シンガポールに事務所を開設
2024年4月からは、シンガポールに事務所を開設するとともに、現地派遣(これまでは東京から通い)の取締役となりました。これまで以上に現場で多くの仲間と共に仕事ができるようになりました。
毎日が刺激と学びの連続なのですが、私だけが刺激を受けて学びを得てもあまり意味がないので、もっと組織的に学びを得られるように、シナジー創出という看板を掲げて、いろいろな取り組みを行っています。
まずは、関係部門同士の情報交換のミーティングからスタートするのですが、日本の皆さんは、Singlifeの先進性、機動性、生産性、専門性、仕事の進め方やフレームワークなどに、大きな刺激を受けてくれています。これが、元々、私がやりたかった「SinglifeのDNAを取り込んで、当社に刺激を与えて化学反応を起こす」ということそのものです。
多様性が生む働きやすさ
日本には日本の、当社には当社の良いところもあります。シンガポールの皆さんは日本が大好きで、日本人に対する尊敬の気持ちも持ってくれているので、本当に仕事がやりやすいと感じます。
また、私はこれまでアメリカ、イギリス、ベトナムで働いた経験があるのですが、アメリカ・イギリスだと、どうしても自分の英語にコンプレックスを感じてしまいますし、そもそもセカンドシチズンとして扱われているように感じることもあり、アウトサイダーであることを意識せざるを得ないことが多く、また、ベトナムでは、そもそも英語もあまり通じませんし、外国人と現地人では生活圏も異なるので、もう自分はアウトサイダー以外の何物でもない感じです。
その一方で、シンガポールは、建国の精神からも多様性がベースとなった国であり、英語もそれぞれのアクセントを気にせず堂々とコミュニケーションをされていますので、私も下手な英語を気にせずに会話ができますし、自分が外国人だという意識はあまり持つこともなく暮らせるのがすばらしいと思っています。
他にも、地政学的な課題を含め、常に外部環境変化を前提に国家運営しているところが特にすばらしいです。今や世界で一番、清潔な国も安全な国も日本ではなくシンガポールと言われていますし、ますます日本はシンガポールから学ぶべきだと思っています。
企業情報

| ■ Singlife(シングライフ) |
| 📜Company Reg No:196900499K 🏢住所:5 Straits View, #01-18/19, Marina One The Heart, S018935 🚇最寄り駅:Downtown駅、Marina Bay駅、Shenton Way駅 🕚営業時間:月~金 8:45–17:30 📅定休日:土日祝 📞電話番号:6827 9933 📩E-mail:jp_enquiries@singlife.com 🌐WEBサイト |
●記事内容は執筆時点の情報に基づきます。
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