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営業DXとは?営業DXの成功戦略などを徹底解説

近年、AIやデータサイエンスを活用し、そこから読み取れる情報を以て「ビジネスをより良いものにしていこう」というDX(デジタルトランスフォーメーション)が取りざたされていますが、営業職にも生産性向上や顧客満足度の維持を目的に、営業DXという名称で取り入れられています。まずは営業DXとはどういうものかから入り、そのメリットと効果、具体的な進め方などを確認しながら、実際に戦略や立案を打ち出していきましょう。営業DXを導入した企業は業績アップの傾向があるとのデータもあるようです。ぜひ各社の営業活動改善に役立ててください。

営業DXとは?

営業DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、簡単に言うと、これまでの営業プロセスにIT/デジタル技術を投じて、自社の営業活動から顧客の課題解決までの流れを最適化する新しい価値の創出を示します。ただのIT導入による業務効率化とは異なり、さまざまなデータサイエンスを駆使して営業方法や組織体制、ビジネスモデルを一新し、顧客のニーズに最大限寄り添った、正しい営業活動にトランスフォーム(変革)していくことを目的にします。

単に自社の優位性をアピールして顧客に商品を紹介・販売するのではなく、課題解決や成功体験をサポートするなど、あくまで顧客目線に立ったカスタマーサクセスの姿勢を保つことで、数多くある企業の間で高い競争力を確立・維持することができます。

営業DXを活用することは、営業活動の効率化やスキルの属人化解消が望めるばかりでなく、営業職全般の目標である「高い顧客満足度」を中長期的に維持することにつながり、成約率を大幅に高めることができます。

特に注目すべき点として、営業DXはデジタル化の時点で終了ではなく、DXによって市場にどのような新しい価値を創出するか、最終的にどのようなビジョンをもって意思決定を行うかという点が非常に重要になります。

営業DXが注目されている理由は?

元々営業DXは、2020年の新型コロナウイルス(COVID-19)によるリモートワークの普及に端を発しているといわれています。対面での営業や訪問セールスが難しい状況で、今後どのようにルート営業や新規開拓に臨んでいくかが多くの企業にとって課題となり、営業のオンライン化やデジタル活用の重要性が再認識されました。いま営業DXが声高に求められているのは、さまざまな理由がありますが、主に以下の3つが挙げられるでしょう。

・1人当たりの生産性の向上
・データ活用における業務効率化
・世の中の変化に対応できる能力の獲得

1人当たりの生産性の向上

少子高齢化や労働人口の減少が進むなか、多くの企業・組織にとって1人当たりの生産性の向上は重要事項です。データやデジタルツールの特性を活かして多くの無駄を省くことによって、営業本来の目的を明確にすることができ、見込み客の選定や成約までのスピードを大幅に短縮できるでしょう。また、データ分析やAI機械学習による予測ツールを上手く活用したうえで、リソースを最小限に絞り、アウトプットを最大化させることも生産性の向上につながります。

データ活用における業務効率化

ビジネス環境の急激な変化によって、データ活用における業務効率化が求められるようになっています。単にデータを使用して顧客管理をするだけではなく、アプローチ方法や顧客ニーズ、商談日程などを効率よく共有すれば、スピーディーな成約に結び付けられる可能性があります。

そのためには、表計算ソフトでの「きめ細やかな顧客の一元管理」はいうまでもありませんが、「クラウドサービスで時間や場所を問わずにデータの参照ができる」、「AIの予測ツールで今後のさまざまな動向やパターンを分析する」、「いつでもテレワークの準備ができる」といったデータ/デジタルツールの活用が一層重要になってきます。

世の中の変化に対応できる能力獲得

コロナ禍以降、顧客の購買意向やビジネス環境は大きく変わりました。世の中は常に移ろいゆくものなので、ビジネスの手法もそれに応じて柔軟に変革していくということを常に意識しておかなければなりません。DXによって世の動向の変化に対応できる新技術を獲得し、顧客の本質的課題を解決する能力は多くのビジネスマンにとって必要不可欠になるでしょう。

営業DXのメリットは?

営業DXのメリットには、特に以下の4つが挙げられます。

・営業活動の効率化
・コスト削減・利益向上
・顧客満足度・顧客維持率の向上
・属人化の解消

経験や直感、古いデータにとらわれることなく、客観的なデータ分析やビジネス変革によってもたらされる新たな価値(メリット)を一つ一つ紹介していきます。

営業活動の効率化

営業DXにおいては、オンライン営業が行われることが大きいでしょう。例えばセミナーや顧客訪問などはオンラインセミナーやオンラインミーティングで可能になり、営業社員は会場の準備や移動といった手間を省くことができます。また、このような活動の結果をデータ化しておくことで、きめ細やかな顧客情報を一元管理できるようになり、マーケティングから成約に至るまでの過程を正確に記録しておくことが可能になります。

これはマネジメント側にとっても有効でしょう。タスク管理ツールやクラウドサービスで情報共有を定期的に行えば、各営業社員の進捗や状況が正確に把握できるようになるほか、不具合時の提案やキャパオーバーになっている営業社員のフォローも迅速に行えるようになります。

コスト削減・利益向上

案件にもよりますが、営業活動には多大なコストがかかります。仕入れの費用や人件費はもちろん、打ち合わせや契約関連、トラブル対応など、業務上見えにくい人的・時間的なコストも無視できません。案件が多ければ多いほど、営業コストは増していくでしょう。しかし、データの蓄積やデジタルツールの活用によって、業務プロセスを可視化すれば、現在の工数を把握できます。工数を把握できれば必要なものと不要なものを分けることができ、業務プロセスにおけるムリ・ムダ・ムラを減らすことができます。

必要な業務のみに集中できれば、取引先とのコミュニケーションや新規顧客獲得に集中できるようになり、受注率の向上に寄与するでしょう。効率化によってさらに空いた時間ができれば、ひいては新たな付加価値の創出にも注力できるはずです。

顧客満足度・顧客維持率の向上

顧客満足度やリピート率を上げるには、無作為に架電やDMをするのではなく、オンラインを上手く駆使し、デジタルチャネルで顧客との接点を保ち、的確なアプローチを図ることが重要です。獲得した顧客のデータを一元管理し、詳細な分析をすることで、顧客のニーズや関心、所感をさらに細かくデータ化することができ、客観的なデータ分析に基づいて、リアルタイムでの顧客アプローチが可能になります。

例えば、Webサイトやオンラインセミナーに訪れた顧客の動向や流入経路を分析し、最も関心のあるページやブース、よく見る媒体に焦点を当て、的確なプッシュやフォローができるようになれば、新規獲得・リピーター率の向上に貢献するでしょう。

また、このようなデータが蓄積していけば、AIの機械学習を使って顧客の行動予測やニーズ、嗜好などを把握することもでき、新たなパターンやトレンド、新商品の需要創出にも役立つはずです。

属人化の解消

営業では、顧客獲得や顧客対応の出来が営業社員1人ひとりの能力に依存するものであったことは否めません。素晴らしいノウハウができたとしても、それが適切に共有されなければあっという間に属人化が進み、営業担当者の成果に差がでたり、悪くすれば失客したりという不本意な状況が生まれてしまいます。

しかし、顧客データや営業ノウハウがデータ化されてクラウドベースで共有されれば、このような問題も解消されるでしょう。蓄積された大量のデータを分析すれば、営業スキルの標準化も可能になり、各々の対応力の向上や引継ぎの円滑化が見込めます。さらに、商談内容や顧客対応履歴を時系列で追えるようになれば、今後の受注予測も立てやすくなり、組織内で全員が正しいスタートを切ることができます。

営業DXの方法は?

営業DXには、リード獲得、顧客育成、顧客分析という3大要素があります。以下に詳しく解説していきます。

リード獲得

リード獲得とは購買や契約につながる可能性を秘めた、いわゆる「見込み客」を生み出す施策を指します。よく、オンラインセミナーなどで参加者のメールアドレスを取得した後、ステップメールやメルマガなどで購買意欲を刺激し、最終的に成約につなげる手法が挙げられますが、あれはまさにリード獲得のわかりやすい一例です。

一般的には、オウンドメディアや自社ブログ、WEB広告から自社のHPやランディングページにジャンプしてもらうなど、オンラインマーケティング施策を実施するなどの方法があります。定期的なSNSでのプロモーションも効果があるでしょう。

顧客の視点に立ち、製品やサービス、その他お役立ち情報を発信することで、顧客の興味を引く手法です。潜在的な顧客の方からアクションがあるので、従来のようなテレアポや強引な営業訪問を行う必要もありません。もし自社製品やサービスに興味を持ってくれるような顧客ならば、積極的に営業から特定の見込み客に直接アプローチすることができ、効率的な営業活動を行うことができます。

まさにマーケティングでいう「プッシュ」と「プル」をフル活用する手法です。

実際、オンラインセミナー(ウェビナー)や自社サイトなどからのリード獲得はすでに大半の企業が実施しており、年々多種多様な施策が打たれています。その後も忘れてはならないのが、データ分析により見込み客のアクションを定量化すること、フィードバックに応じて製品やサービスの改良を常に考案することです。顧客データを常日頃から更新し、これらを日常的に実践していくことで本格的なDXに近づくでしょう。

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顧客育成

育成という言い方をしていますが、実際には顧客育成とは獲得したリードに対して、商品への関心や購買意欲を高めるためのアプローチを指します。例えば、購買意欲をそそるよう、シナリオに沿ってパーソナライズされたメールを段階的に配信することで、顧客のサービス利用・継続の確率を高めることができます。

また、顧客のアクションに応じてそのときどきのニーズに対応するアプローチのため、従来ほど時間や労力をかける必要もなく、見込み顧客との接点を増やすこともできます。

専用ツールとしては、Line@やステップメールなどがよく知られていますが、最近では、この顧客育成にマーケティングオートメーション(MAツール)という手法が使われています。MAとは顧客の獲得〜育成や、リードの可視化〜抽出といったマーケティング活動を自動化・効率化し、営業プロセスの生産性を向上させながら商談獲得数を最大化するツールのことを指します。

MAツールを使えば、見込み顧客全員に対して一斉メール配信でコンタクトを取り続け、クロージングの可能性が高まっている人を可視化することができます。業務を自動化・省力化しつつ、顧客獲得数の最大化を目指すことができるのです。

一つ一つ架電やアポ取り、訪問をしながら見込み客を見極めるには大変な時間と労力がかかりますが、MAツールを使えば、「ニーズに合ったピンポイントのタイミングで顧客にアプローチをすること」、「見込み顧客情報の獲得から商談化までのプロセスを大幅に短縮すること」ができ、商談獲得数の増加とリソースの省力化が見込めます。

顧客分析

顧客分析とは、購買率を上げ、高い顧客満足度を維持するために、成約がとれた顧客と購入を検討している顧客に対して、その行動や属性を分析することです。顧客分析の内訳としては、以下が参考になるかと思います。

・顧客の属性(性別、居住地、年代など)
・顧客に対して行ったアクション履歴
・購買履歴、取引履歴
・顧客の課題、ニーズ
・顧客の趣味嗜好
・購買に至った理由

これらを把握し、実際にデータに基づいた営業活動を行うには以下の姿勢が必要不可欠になるでしょう。

・営業プロセスにおける多大な情報をデータ化し、一元管理することによって、営業担当者が必要な情報をスピーディに入手できること。
・市場動向や顧客ニーズを読み、戦略を練ること。

顧客分析をDXするためにはまず、営業支援システムであるSFA/CRMを導入することがおすすめです。必要に応じて、ビッグデータの活用や、トレンドや取引の予測分析なども必要になる場合があります。

SFA/CRM

営業DXを語るうえで特に重要視されているのが、SFAやCRMという顧客情報管理ツールです。機能や役割は異なりますが、どちらも顧客満足度やマーケティング業務の効率化を目指す営業担当者にとっては大変頼もしいツールです。

◆SFA

SFAは「Sales Force Automation」の略で、主に営業生産性を高めることを目的としたツールです。

<主な機能

・顧客管理
・案件管理
・行動管理
・予実管理
・レポーティング

営業プロセスの詳細をはじめ、実績数、予算、顧客のアクションなど営業フロー全般を一元管理できるシステムです。レポーティング機能では、それまでSFAに蓄積されたデータをピックアップし、集計および分析することが可能です。SFAを導入すれば、マーケティングから受注までの可視化だけでなく、属人化の解消や情報共有でのコミュニケーションロス防止も期待でき、生産性だけではなく、営業職全体の士気も上がるでしょう。

◆CRM

CRMは「Customer Relationship Management」の略で、顧客データの一元管理システムとされています。

<主な機能>

・顧客情報の管理/分析
・商談履歴
・お問い合わせ履歴管理
・取引履歴(購買履歴)管理
・メール配信
・内容管理
・キャンペーン管理

マーケティングから営業プロセスを見える化できるため、1人ひとりのニーズに応じやすく、サポート体制を整えやすいのが魅力的です。単なる情報管理と異なり、個々の購入・利用歴、問い合わせ履歴を追跡できるため、顧客に応じたきめ細かい対応が可能になります。顧客のニーズが多様化しているいま、長期にわたって信頼関係を構築していくうえで非常に重要なシステムといえます。

営業DX成功の戦略は?

営業DXを導入すれば自動的に営業が成功するかというと、そんなことはありません。まずはDX導入に向けた立案をしっかり立て、その後に具体的な推進プロセスを検討する必要があります。自社の現状や営業文化、独自の強みを今一度見直して、方向性を明確にしたうえで戦略を立てていきます。

立案

1.まずは目的・方向性を明確に

DXを導入するうえで、導入する理由と解決するべき課題を社内でしっかり共有する必要があります。DXによってたどり着きたいゴールを明確にする必要があります。

2.自社の強みを洗い出す

IT技術を導入しても、現場で自社特有の強みや課題を見出せなければ、課題の解決や業務改善も絵に描いた餅で終わってしまいます。IT導入はあくまで手段であり、DXとはIT導入によって新しい価値を想像するという当たり前のことをしっかり認識していく必要があります。

3.IT技術の導入を計画する

ゴールと課題が見定まったら、いよいよテクノロジー導入を検討しましょう。ビジネスに活用できるテクノロジーの種類は多岐にわたりますが、主に以下5つが挙げられます。

・クラウドサービス
・AI(人工知能)
・IoT
・ビッグデータ
・モバイル対応

顧客データ管理や共有にはクラウドサービス、機械学習や予測機能ならAI、オンラインマーケティングにおけるデータ収集と分析ならビッグデータ活用、というふうに自社にあったサービスを選定する必要があります。

DX戦略の推進

まずは小規模なスタートから

大規模な社内システムを導入すると、大きな混乱を招きかねません。長期的な視点をもって、まずは比較的着手しやすい、リスクが少ない業務からDXを取り入れてみましょう。

DX人材の確保

トラブルにも対応できる営業DXプロジェクトの中核として、システムやITに精通しているDX人材を確保しておく必要があります。確保するには社内育成、新規採用、外部委託という3つの方法がありますが、その企業にとって最適な方法を選ぶのが良いでしょう。もし社内にIT人材が複数いるならば、ワンオペ(1人がすべての業務を担当すること)を防ぐために、マニュアル整備や情報共有をしておくのも有効です。

PDCAサイクルを回す

Plan(計画)、Do(実行)、Check(測定・評価)、Action(対策・改善)の仮説・検証型プロセスを循環させ、トライアンドエラーを繰り返しながら成功に近づいていきましょう。

営業DXは社会の活性化につながる

コロナ禍以降、顧客の行動や購買意欲、そして各業界のビジネス環境は大きく変わりました。しかし、営業担当者はそうした中でも市場において自社の地位を確固たるものにし、独自の付加価値を提供する必要があります。IT/デジタルを活用してビジネスモデルを一新するであろうDXは、そうした問題を解決するにあたって、大きなチャンスではないでしょうか。営業DXによって企業や組織体制が改良されていけば、企業と顧客との関係もより良いものに変容し、ひいては社会全体に好影響を与えるでしょう。

●記事内容は執筆時点の情報に基づきます。

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