【最新】シンガポール人の仕事スタイルとは?日本人が知っておきたい職場文化と上手に働くコツ7選

「多民族国家」、「人種のるつぼ」といわれるシンガポールでビジネスを展開するには、現地の人々と良好な関係を築くことは不可欠です。本記事では、シンガポール人の仕事スタイルの特徴や、効果的な協働のためのコツを詳しく解説します。シンガポール人とビジネスをする予定の方、すでに一緒に働いている方もぜひ参考にしてください。
シンガポール人の仕事スタイルの特徴

シンガポール人の仕事スタイルには、いくつかの顕著な特徴があります。まず挙げられるのは、スピード重視の文化です。シンガポール人は一般的に、トップダウンでの承認プロセスを含め、迅速な意思決定と行動を好みます。これは、シンガポールの競争の激しいビジネス環境、常に移り変わるデジタルトレンドにも適応した結果と言えるでしょう。
第2に、効率性へのこだわりが強いことが挙げられます。シンガポール人は無駄を嫌い、最小限の労力で最大の成果を得ることを重視します。この傾向は、限られた資源を最大限に活用しなければならないシンガポールの国情を反映していると考えられます。
第3に、結果志向と実績重視の姿勢も特徴的です。シンガポール人は、プロセスよりも結果を重視する傾向があり、具体的な成果や数字で評価されることを好みます。これは、シンガポールの教育システムや社会全体の競争的な性質と関連していると言えるでしょう。
これらの特徴を理解し、適切に対応することが、シンガポール人と効果的に協働する上で重要です。
シンガポール人のこだわり・期待値

シンガポール人は、特定の分野に強いこだわりや高い期待値を持つ傾向があります。こだわりや期待値を理解し、尊重することで、シンガポール人との良好な関係構築につながります。
契約内容
シンガポール人は基本的に書面上の契約に則って仕事をします。口頭での追加指示や責任があいまいな業務などは忌避する傾向にあり、明確に文書化しておくことが一般的です。日本のように契約以上の仕事を行うことは少ないものの、その業務内ではしっかりとしたプロ意識をもって取り組みます。シンガポール人と共に業務をこなす場合には、相手の社内での役職や担当業務などをしっかりと把握しておく必要があります。
収入とポジション
シンガポール人は、キャリアの進展や収入の増加に強い関心を持っています。このため、昇進や給与交渉の機会を重視する傾向があります。また、公平性、透明性、(企業ビジョンの)具体性を重視する向きが強く、客観性があり納得のできる評価の下で適切に報酬を得られる体制を前提としています。
一見するとドライに感じられそうですが、経済発展とエリート教育、国際的戦略に主眼を置いてきた歴史的背景があるからこその自律の姿勢ともとれます。
学歴
シンガポールでは、これまで国家の発展のために「エリート教育」に力を入れてきました。そのため、早い段階から学業の成績が重視され、そこで専門性やキャリアのポテンシャルが計られます。優秀な成績を修め、一流大学を卒業した学生は、多言語や国際的感覚、論理的思考などを身に付けているハイレベル人材のため、政府でも企業でも、シンガポールの発展に貢献する人材として重用されます。
ハイレベルな教育を受けたかどうかが社会的成功の鍵と見なされているため、共に仕事をする同僚や上長の学歴なども気にする傾向があります。
また、ビジネス上でも、いきなり給与、条件、待遇、場合によってはパートナーの学歴なども尋ねてくることがあり、違和感を感じる日本人もいるかもしれません。しかし、これは自分に対するメリットや社会的な評価などを客観的に把握しておきたい心の表れであり、ビジネスの根幹を深く理解しているからともいえます。
ワークライフバランス
シンガポール人はワークライフバランスを重視します。仕事とプライベートはきっちりと分け、仕事以外のプライベートでは自分の時間を大事にします。もちろん、仲がいい同僚同士であれば帰りがけに夕食などを共にすることはあるでしょうが、それも食事が主体で「仕事上でのお付き合い」は少ない傾向にあります。
特にシンガポール人は家族や友人との時間を大事にします。シンガポール国民を構成する中華系・マレー系・インド系の人々が、どれも「大家族主義」のため、家族との密な時間や情報交換を大切にしていることが関係しているのでしょう。
シンガポール人と上手に働くコツ7選

シンガポール人と働く上で役に立つ事前知識7つをお伝えします。同じアジア圏の人種のため、シンガポール人と日本人は少なからず外見が似ていますが、仕事に対する考え方や価値観、優先順位は大きく異なる場合があります。注意点を交えながら詳しく解説していきます。
効果的なコミュニケーションと誠実さの重要性
シンガポール人と上手に働くためには、効果的なコミュニケーションと誠実さが不可欠です。シンガポール人は一般的に直接的なコミュニケーションスタイルを好みます。日本人特有の「空気を読む」という慣習は通じないため、遠回しな表現や曖昧な言い回しは避け、明確かつ簡潔に意思を伝えることが重要です。
また、誠実さと信頼性も非常に重視されます。ビジネス上では約束を守り、一貫性のある行動を取ることで、シンガポール人の信頼を得ることができます。
文化的な違いへの理解と柔軟な対応
シンガポールは多民族国家であり、さまざまな文化的背景を持つ人々が共存しています。このため、文化的な違いを理解し、柔軟に対応する姿勢が重要です。例えば、宗教的な慣習や食事の制限に配慮することで、相手への理解を示すことができます。
仕事上ではスピードと効率性を重視するあまり、時々対応に抜けや漏れがあるかもしれませんが、これは最初から完璧を目指すのではなく、なるべく早いタイミングで期待値に近いものを出すという「Quick and Dirty(クイック アンド ダーティー)」の精神が根付いていることも一因かと思います。
方向性と戦略の明確な提示
シンガポール人は、明確な方向性と戦略を好みます。プロジェクトや業務の目的、達成すべき目標、そしてそれらを実現するための具体的な戦略を提示することが重要です。これにより、チームメンバーの理解と協力を得やすくなります。
元々シンガポールは政府と民間の距離感が近く、国家的ビジョンや戦略がスピーディーに民間に共有され、解決とアクション、そして改善のためのフィードバックを官民一体で行っています。そうしたお国柄上、個々のシンガポール人もPDCAサイクルを非常に重視している傾向があります。
期待値の明確化とフォローアップ
シンガポール人は、自分に何が期待されているかを明確に理解したいと考えています。期待値を明確に伝え、定期的にフォローアップすることで、パフォーマンスの向上につながります。また、適度なコミュニケーションを通じて、進捗状況や課題を共有することも重要です。
シンガポール人の価値観と自律性を尊重しつつも、日本型ビジネスの「ホウレンソウ」の重要性を理解してもらい、必要に応じて提案や改善を進めていくことが肝要となるでしょう。
フィードバックの重要性
シンガポール人は、建設的なフィードバックを重視します。良い点だけでなく、改善すべき点も率直に伝えることが、相互の成長につながります。
伝え方としては、ただ感情に訴えるものではなく、理路整然とした説明や資料を用いた改善ポイントの指摘などが有効でしょう。論理的かつ合理的なシンガポール人には馴染みやすい手法な上、業務改善のためのフィードバックであることも如実に伝わります。
透明性と公平性のある評価制度
昨今では、ネット社会の影響もあり、透明性や具体性、公平性、コンプライアンスなどが重視されつつありますが、シンガポール人は、これらを基盤とし納得できる評価制度を好みます。特に若いシンガポール人は、暗黙の年功序列や内輪での評価は受け付けない傾向があります。
評価基準を明確にし、公平に適用することで、チームメンバーのモチベーション向上につながります。また、シンガポール人は将来のキャリアパスや成長の機会を重要視するため、これらを示すことも重要です。
人としての付き合いの重視
ビジネス関係だけでなく、個人的な関係性も重視されます。時には仕事以外の話題で会話を楽しんだり、昼食を共にしたりすることで、より深い信頼関係を築くことができます。
シンガポール人はその効率主義や実利的な価値観とは裏腹に、意外にも情に厚い方が多いです。日本人によくあるシステマティックな対応や仕事上の話だけではなかなか距離感が縮まりません。時には笑顔を交え、趣味やスポーツ、家族構成などの世間話も気軽に行ってみましょう。
言語面では英語でも構いませんが、中国語も文面・口語両方で使いこなすことができれば、雑談も弾み、より親密になれる可能性があります。
コミュニケーションを円滑にする話題の選び方

日本はシンガポールにとって人気の旅行先であり、多くの憧れの文化をもっています。当然、シンガポール人としては日本人とのコミュニケーションや情報交換を楽しみにしている層もたくさんいることでしょう。コミュニケーションを円滑にする方法として実用的なトピックスをいくつかご紹介します。
シンガポール人が好む日本文化
シンガポール人の多くは日本文化に強い関心を持っています。特に、アニメや漫画は大型イベント「アニメ フェスティバル アジア(AFA)」が毎年開催されるほど人気が高く、『鬼滅の刃』や『ワンピース』などの作品は広く知られています。
また、日本の観光地や伝統芸能、季節のイベント(桜の季節や紅葉など)についても関心が高いです。これらの話題を通じて、共通の興味を見出すことができるでしょう。
日本食の話題
日本食はシンガポールで非常に人気があり、多くのシンガポール人が好んで食べています。お寿司や刺身、ラーメン、和菓子、緑茶などは特に人気があります。また、日本のお土産(例:キットカットの特別フレーバーなど)についても関心が高いです。
海外では日本食の安全性や品質の高さ、健康への配慮がよく話題となります。国際的で健康志向が高まっているシンガポールでは特に受け入れられやすいでしょう。食べ物の話題は、多くの場合、良いアイスブレーカーとなるのでビジネス上でも大いに役立ちます。
共通の話題を探すポイント5つ
シンガポール人との共通の話題を見つけるには、以下のようなアプローチが効果的です:
1.相手の趣味や関心事を聞く
多くのシンガポール人は、旅行、食事、スポーツなどに興味を持っています。職場での雑談のネタとして事前に情報を仕入れておくのもいいでしょう。
2.最新のテクノロジーや経済トレンドについて話す
シンガポールは技術革新に積極的な国であり、多くの人がこれらの話題に関心を持っています。特にIT分野は常に新しい情報やソフトがアップデートされるので、話題に事欠く心配もありません。
3.シンガポールの文化や歴史について質問する
相手の国に興味を示すことで、より深い会話につながる可能性があります。但し、歴史のテーマによっては配慮が必要な場合がありますので、テーマ選びには気をつけた上で質問しましょう。
4.共通の経験(例:海外旅行、特定の映画や音楽など)を見つける
これらの共通点は、より親密な関係構築につながります。
5.仕事関連のトピックを選ぶ
業界のトレンドや最新のビジネスニュースなどは、多くの場合、安全な話題となります。
シンガポール人との協働は何物にも代えがたい財産
シンガポール人との協働を成功させるためには、彼らの仕事スタイルや価値観を理解しつつ、相互コミュニケーションをとることが重要です。シンガポール人といっても十人十色ですが、その中でも理性と秩序を重んじるさまざまなタイプの方々と協働することは、チャレンジングでありながらも将来的には何物にも代えがたい経験となるでしょう。彼らの勤勉さ、効率性、そして結果志向の姿勢から学ぶことは多く、これらの経験は国際的なビジネス環境で成功するための貴重な財産となるでしょう。
●記事内容は執筆時点の情報に基づきます。
【関連記事】
シンガポールのビジネス情報や最新記事、セミナー情報をLINE・YouTubeでお届けしています!
ぜひお友だち追加・チャンネル登録をお願い致します。
singaporean-workstyle-7select