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アジア太平洋地域の急成長企業ランキングTOP50~シンガポール企業9社をご紹介【最新】 

アジア太平洋地域の経済成長を牽引する企業群が明らかになりました。Financial Times社が発表した「High-Growth Companies Asia-Pacific 2024」ランキングでは、インドやシンガポールの企業が上位を占め、目覚ましい成長を遂げています。日本も将来有望な企業がランクインしています。

アジア太平洋地域の急成長企業ランキングとは?

「アジア太平洋地域の急成長企業ランキング(High-Growth Companies Asia-Pacific )」は、英国の経済紙Financial Timesとドイツの統計会社Statistaが共同で実施する急成長企業500社の年次ランキングです。このランキングは、アジア太平洋の14カ国・地域(オーストラリア、香港、インド、インドネシア、日本、マレーシア、ニュージーランド、フィリピン、シンガポール、韓国、台湾、マカオ、タイ、ベトナム)に本社を置く企業を対象としています。

評価基準は以下の通りです:
・アジア太平洋の14の国・地域に本社があること
・2019年の収益がUS$10万(※約1,570万円)以上
・2022年の収益がUS$100万(※約1億5700万円)以上
・独立企業であること(子会社や支社は除外)
・2019年から2022年の間、主に内部的な活動によって促された収益成長であること

これらの条件を満たす企業の中から、2019年から2022年の収益成長率(年平均成長率:CAGR)を基に上位500社がランキング化されています。

※2025年1月の為替レートによる

アジア太平洋地域の急成長企業ランキングTOP50

以下は、「High-Growth Companies Asia-Pacific 2024」のTOP50企業リストです:

ランキング企業名国/地域分野年平均成長率(CAGR:%)
1Zypp Electricインド物流・輸送396.1
2BigHaatインド農・林・漁303.9
3ISO Tank Managementシンガポール物流・輸送285.9
4Handys韓国ホスピタリティ・旅行280.7
5Skyeye TechタイIT・ソフトウェア260.6
6Tierraベトナム製造249.9
7Aseado韓国製造245.9
824Xタイ建設・エンジニアリング235.2
9SafeGoldインドフィンテック・金融・保険230.3
10Skrya*シンガポール廃棄物管理・リサイクル229.7
11Qhfoxxシンガポールエネルギー・公共事業229
12Recykalインド廃棄物管理・リサイクル228.7
13Colosseum韓国物流・輸送216.1
14KodeKloud*シンガポール教育・社会サービス212
15Data Universe韓国IT・ソフトウェア208.1
16Hanpoom韓国Eコマース199.3
17U&S Energy韓国電気機器製造194.7
18Alpha Brothers韓国専門・科学・技術サービス187.3
19Alami Shariaインドネシアフィンテック・金融・保険183.1
20Kurashi Designlab日本レジャー・エンターテイメント182.3
21SafexPayインドフィンテック・金融・保険179.4
22Scalerインド教育・社会サービス178.8
23Lionsbotシンガポール製造178.2
24iX Biopharmaシンガポール医薬品・化粧品177.8
25Maneuver MarketingシンガポールEコマース172.6
26Svamaan Financial Servicesインドフィンテック・金融・保険170.6
27M2P Fintechインドフィンテック・金融・保険170.1
28OSC Korea韓国IT・ソフトウェア168.9
29Okestro韓国IT・ソフトウェア168.7
30CapBayマレーシアフィンテック・金融・保険166.3
31Aays Technologiesインド経営コンサルティング165.8
32ConnectOSオーストラリア専門・科学・技術サービス163
33Fitstopオーストラリアヘルスケア・ライフサイエンス162
34Greedygameインド広告・マーケティング161.7  
35CSIM韓国製造158.1
36ABL Bio韓国ヘルスケア・ライフサイエンス156.5
37YoungLong韓国医薬品・化粧品156.4
38Saige Research韓国専門・科学・技術サービス155.7
39Hirestaffニュージーランド職業紹介155.2
40RocketechシンガポールIT・ソフトウェア150
41MaNaDrシンガポールヘルスケア・ライフサイエンス148.2
42Blockodyssey韓国専門・科学・技術サービス147.3
43Devs United Games韓国レジャー・エンターテイメント144.3
44Alux韓国製造140.1
45BinmileインドIT・ソフトウェア136.5
46SkillmaticsインドEコマース134.9
47Hylium Industries韓国製造134.7
48Nook Homesニュージーランド建設・エンジニアリング132.5
49Habitfactory韓国IT・ソフトウェア131.6
50Massive Act日本広告・マーケティング130.1
参考:High-growth-asia-pacific-ranking-2024

※の付いている企業は2019年会計年度において収益が12か月未満だが、収益がUS$10万を超えた企業

シンガポール

シンガポールは、TOP10に2社が、TOP20では4社がランクインするなど、急成長企業の台頭が目覚ましいです。特に、物流・輸送、製造、製薬、IT、ヘルスケアなど、多岐にわたる業種で成功を収めています。

物流・輸送のISO Tank ManagementがCAGR285%で上位の3位にランクインしている理由としては、以下が可能性として挙げられます。

・世界的な貿易量の増加と効率性の追求が進み、化学品や液体貨物の輸送のニーズが高まっていること
・2021年に周辺国とSMA(東南アジア製造アライアンス)を締結してサプライチェーン網を拡大
・政府のロジスティクスサポートおよび最先端技術の活用

CAGR229.7%で10位にランクインしたSkryaの成長には、以下の理由が考えられます。

・モバイルアプリ「Catalopedia」で斬新なシステムと最先端テクノロジーを駆使し、市場で高い価値を持つプラチナ(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)の採掘を進めていること
・SDGs(持続可能な開発目標)の意識が高まり、リサイクル事業のニーズが増していること

特にSDGsに関して、シンガポールでは、SDGsの16の課題のひとつ「Industry, Innovation and Infrastructure(産業と技術革新の基盤作り)」を達成しているほか、「Good Health and Well-being(すべての人に健康と福祉を)」と「Sustainable Cities and Communities(住み続けられるまちづくり)」の活動も順調に進んでいます。輸送やリサイクル業の成長が目覚ましいのはこうした一因も考えられるでしょう。

日本

日本企業も健闘しており、20位にくらしデザインラボ株式会社が、50位に株式会社Massive Actがランクインしています。

くらしデザインラボ株式会社は2016年に創業後、農業・観光・食品事業を通じて地域振興を支える「くらし提案型」ビジネスを展開してきました。急成長ランキング20位にランクインしているのは、地域活性化や持続可能性、社会への利益還元を実践する新しいビジネス形態で、クリエイティビティやデザイン志向が市場での差別化に成功していると考えられます。

株式会社Massive Actは2017年に設立されたデジタルマーケティング会社で、High-Growth Companies Asia-Pacificでは2年連続ランクイン、マーケティング部門では国内1位の実績を持ちます。経営の主軸である『メンバードリブン』な組織により、チームビルディング効果が急成長に貢献しているといえそうです。

インド

インドは、2024年の急成長ランキングで1位・2位・9位にランクインしており、、急成長企業の台頭が顕著です。特にIT・ソフトウェア、フィンテック、教育分野での成長が著しく、12社がTOP50にランクインしました。

インドではEVの拡大が本格化しています。Zypp Electricがトップに立ったのは、電動スクーターとギグライダーの生産量を300台から約2万台にまで大幅に増やし、成長分野の電気自動車産業の波に乗ったことが主な理由とされています。

同社は2019年から2022年にかけて396%のCAGRを達成(2022年収益は約US$1,500万)しており、現在はEV普及による物流のカーボンフリー化を目指しつつ、広範かつ持続可能な配送サービスを通じて、地域特有のニーズに応える革新的なソリューションを提供しています。

韓国

韓国は急成長企業が調査対象の中で最も多く、18社がTOP50にランクインしています。さまざまな分野が台頭していますが、4位にホスピタリティ・旅行業界のHandysがCAGR280.7%で見事ランクイン、その他IT・ソフトウェアと製造分野の成長が際立っています。

その他の国・地域

その他のオーストラリア、ニュージーランド、インドネシア、マレーシア、タイ、ベトナムも、ITやフィンテックを中心に、それぞれ特色ある企業がランクインしています。

アジア太平洋地域の急成長企業ランキング~シンガポール企業9選~

シンガポールからランクインした注目企業9社をご紹介します。

ISO Tank Management

物流・輸送業界で1位にランクイン。ISO規格のタンクコンテナ管理サービスを提供し、効率的な液体輸送ソリューションで急成長を遂げています。

創業年:2014年
2019年収益:US$約150万
2022年収益:US$約9,000万
2019年から2022年までの絶対成長率:約5647%
WEBサイト

Skrya

廃棄物管理・リサイクル業界で2位にランクイン。プラチナ、パラジウム、ロジウム、金、銀、銅、亜鉛などをリサイクルしています。革新的なアイデアとデジタルソリューションの提供をもって、アジア太平洋地域でのリサイクル業の変革を牽引しています。

創業年:2019年
2019年収益:US$23万
2022年収益:US$815万
2019年から2022年までの絶対成長率:約3,482%
WEBサイト

Qhfoxx

エネルギー・公共事業分野で11位にランクイン。生産資材の製造と供給、ロジスティクス、廃棄物および残留物の回収などを行っています。環境と持続可能性に注力しており、廃棄物の再利用や温室効果ガスの削減、環境にやさしいクリーンなエネルギーの開発を意識しています。

創業年:2018年
2019年収益:US$494万
2022年収益:US$約1億7,600万
2019年から2022年までの絶対成長率:約3,461%
WEBサイト

KodeKloud

教育・社会サービス分野で14位にランクイン。DevOps および自動化テクノロジーに関するツールを学べるオンライン学習プラットフォームを提供しています。トレーニングに参加する学生数は世界中で75万人以上にのぼります。

創業年:2019年
2019年収益:US$17万
2022年収益:US$510万
2019年から2022年までの絶対成長率:約2,936%
WEBサイト

Lionsbot

製造分野で23位にランクイン。理工系の名誉教授が多数在籍。革新的な清掃ロボットを開発・製造し、スマートシティソリューションの一翼を担っています。

創業年:2018年
2019年収益:US$74万
2022年収益:US$1,570万
2019年から2022年までの絶対成長率:2,052%
WEBサイト

iX Biopharma

医薬品・化粧品分野で24位にランクイン。シンガポールの医薬品会社であり上場企業です。ケタミンやウェーハなどの特殊医薬品の開発から臨床試験まで行っています。革新的な治療法の開発とそのコマーシャライゼーションに注力しています。

創業年:2004年
2019年収益:US$49万
2022年収益:US$約1,040万
2019年から2022年までの絶対成長率:約2,044%
WEBサイト

Maneuver Marketing

Eコマース分野で25位にランクイン。機能性サプリメントなど、ヘルス&ウェルネス関連の商品を販売しています。現在は自社のオンラインストアだけでなく、Amazonなど他のプラットフォームにも商品が流通しており、急速な成長を遂げています。

創業年:2001年
2019年収益:US$約600万
2022年収益:US$約1億2,200万
2019年から2022年までの絶対成長率:約1,924%
WEBサイト

Rocketech

IT・ソフトウェア分野で40位にランクイン。WEBやゲーム開発、デジタル製品のデザイン、コンサルティングまで幅広く対応している企業です。画期的なオンラインチェスゲーム、オンラインイベント用のプラットフォーム、企業向けのスケジューリングツールなどユーザーファーストな製品を多数開発しています。

創業年:2017年
2019年収益:US$11万
2022年収益:US$175万
2019年から2022年までの絶対成長率:約1,463%
WEBサイト

MaNaDr

ヘルスケア・ライフサイエンス分野で41位にランクイン。遠隔医療プラットフォームを提供し、医療アクセスの改善に貢献しています。患者向けの健康管理アプリも配信しています。

創業年:2017年
2019年収益:US$45万
2022年収益:US$687万
2019年から2022年までの絶対成長率:約1,428%
WEBサイト

アジア太平洋地域の急成長企業から見える成長のトレンド

「High-Growth Companies Asia-Pacific 2024」ランキングから見えるアジア太平洋地域の急成長企業の成長トレンドは、テクノロジー主導の革新と多様な業種での成功が特徴的です。2024年版は、ITおよびソフトウェア部門が30%、続いてフィンテック、金融サービス、保険で、8%を占める結果になり、地域全体に最先端テクノロジーとDX(デジタルトランスフォーメーション)の波が広がっていることがうかがえます。

グローバルな事業展開で世界競争力を高め、イノベーションハブとしての地位を確立しつつあるアジア太平洋地域は、今後も世界市場での存在感を高めていくと予想されます。

●記事内容は執筆時点の情報に基づきます。


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