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国際競争力ランキングTOP50~シンガポールは何位?~【最新】

シンガポールは2024年の国際競争力ランキングで首位に返り咲きました。このランキングは、各国のビジネス環境や効率性を評価する重要な指標であり、シンガポールの強みと課題を知る上で欠かせません。シンガポールをはじめとする上位国が多数の評価基準によって選ばれた理由を詳しく解説していきます。

国際競争力ランキングとは

国際競争力ランキングは、スイスの国際経営開発研究所(International Institute for Management Development-IMD)が毎年発表する世界的な格付けです。このランキングは、企業がビジネスを行いやすい環境を整えている国・地域を評価し、「経済パフォーマンス」、「政府の効率性」、「ビジネス効率性」、「インフラ」という4つのカテゴリー(合計20項目)の336の指標に基づいて順位付けされます。

単にGDPや生産性による評価だけではなく、企業の政治・社会・文化的な役割、政府による経済活動の環境構築といった側面も重要視するものです。

調査対象は67か国・地域であり、統計データ(3分の2)と企業幹部へのアンケート結果(3分の1)を組み合わせて評価されます。特に、経済的な強さや市場の成長性、行政の機能性などが総合的に測定されるため、各国の政策や投資判断に影響を与える重要な指標となっています。

4つのカテゴリーの内訳は以下の通りです:

▪政府の効率性:政府の政策が競争力の向上にどの程度寄与しているか
▪ビジネス効率性:企業が革新的かつ収益性があり、責任ある方法でどれだけ良好に機能しているか
▪経済パフォーマンス:国内経済に関するマクロ経済的な評価
▪インフラ:基礎的・技術的・科学的・人的資源が、ビジネスのニーズをどの程度満たしているか

国際競争力ランキングTOP50

国際競争力ランキング2024年版ではシンガポール、スイス、デンマークの3か国が上位にランクインしました。シンガポールは前回調査から3位にランクを上げて見事トップに立ちました。「政府の効率性」と「ビジネス効率性」で高評価を得ており、世界トップレベルの競争力を誇っています。続くスイスは前回の3位から順位を上げて2位、首位だったデンマークは今回3位という結果に落ち着きました。

一方、日本は前回からさらに3ランク順位が下がって38位でした。日本は低迷が続いていますが、とりわけ政策の安定性や政府の効率性、ビジネス環境などの大きな改善が課題となっています。今回のランキングでは、ガーナ、ナイジェリア、プエルトリコの3か国が新たに追加され、そのうちのプエルトリコは49位にランクインしています。

ランキング国・地域前回からの変動
1シンガポール△ +3
2スイス△ +1
3デンマーク▽ -2
4アイルランド▽ -2
5香港(SAR)△ +2
6スウェーデン△ +2
7アラブ首長国連邦△ +3
8台湾▽ -2
9オランダ▽ -4
10ノルウェー△ +4
11カタール△ +1
12米国▽ -3
13オーストラリア△ +6
14中国△ +7
15フィンランド▽ -4
16サウジアラビア△ +1
17アイスランド▽ -1
18ベルギー▽ -5
19カナダ▽ -4
20韓国△ +8
21バーレーン△ +4
22イスラエル△ +1
23ルクセンブルク▽ -3
24ドイツ▽ -2
25タイ△ +5
26オーストリア▽ -2
27インドネシア△ +7
28英国△ +1
29チェコ▽ -11
30リトアニア△ +2
31フランス△ +2
32ニュージーランド▽ -1
33エストニア▽ -7
34マレーシア▽ -7
35カザフスタン△ +2
36ポルトガル△ +3
37クウェート△ +1
38日本▽ -3
39インド△ +1
40スペイン▽ -4
41ポーランド△ +2
42イタリア▽ -1
43キプロス△ +2
44チリ
45ラトビア△ +6
46スロベニア▽ -4
47ギリシャ△ +2
48ヨルダン△ +6
49プエルトリコ
50ルーマニア▽ -2
参考:国際競争力ランキング2024

国際競争力ランキングを徹底分析

国際競争力ランキングで上位を占めた国を分析します。どのようにしてトップクラスの地位に昇りつめたか、カテゴリー別で多少の上下はあるものの、世界をリードしている分野が多いというのが目につきます。また、上位国以外にも日本をはじめとする各国の取り組みや、世界競争力を今後一層高めるための各国の課題についても見ていきましょう。

シンガポール

シンガポールは2024年ランキングで4年ぶりに首位に返り咲きました。その要因として4つのカテゴリーのうちの3つのスコアが大きく上がったことが挙げられます。

▪政府の効率性:
法制度の安定性やビジネスに対する規制緩和が企業活動を活発化させています。カテゴリー別では2位にランクイン。「公共財政」や「税制」などのサブカテゴリ―では全てにおいて前回よりもランクアップしています。

▪ビジネス効率性:
チャンギ空港やシンガポール港など、東南アジアで最大の物流ハブを有し、高度なIT環境やロジスティクスが整えられています。国外からの資本・人材の誘致政策と国内のビジネス環境の相乗効果が高評価を得ている要因です。カテゴリー別では2位にランクイン。サブカテゴリ―の「労働市場」と「態度と価値観」では1位にランクインしています。

▪インフラ:
世界最高水準の物流ハブと通信インフラのほか、科学や教育などの部門も充実。カテゴリー別では4位にランクイン。一方で、外部環境がもたらす物価高騰や限られた資源、人工知能などの新技術による混乱などが課題として指摘されています。

スイス

スイスは2位にランクインし、シンガポールと同じく「政府の効率性」、「ビジネス効率性」、「インフラ」で優れた評価を獲得しており、なかでも「政府の効率性」と「インフラ」のカテゴリーで首位に位置しています。特に金融環境や科学技術分野でリードしており、その安定した政策運営が競争力向上につながっています。

一方で、高スキルを持つ労働人材の確保や生活コストの緩和、税制や電力のサステナビリティ向上が課題となっています。

デンマーク

デンマークは前年首位から3位へ後退しました。4つのうちの「経済パフォーマンス」の低下が影響したものとみられます。特にサブカテゴリ―の「雇用」と「国際貿易」の低迷は際立っています。しかし、その他3つのサブカテゴリ―のうち「社会的枠組み」や「生産性・効率性」の分野では依然として首位を維持しています。

課題としては、研究開発(R&D)の促進や官民連携のデジタル化推進、グローバル競争に向けた税負担の軽減などが挙げられます。

アイルランド

アイルランドは4位となり、デジタル技術や科学イノベーション、医療、教育のインフラ面で強みを発揮しています。「ビジネス効率性」は世界3位でサブカテゴリーでも多少の上下はあるものの、金融や経営面でプラスに転じています。法人税率の低さも企業誘致に寄与しています。

今後の課題としては、供給能力の制約、エネルギーコストの対応、産業政策の変革などが挙げられています。

香港

香港は5位であり、前回7位からのランクアップです。2024年は政府の景気対策や米国金利に合わせた金融緩和の影響もあるためか、「経済パフォーマンス」はプラスに転じています。特に国内経済と失業率の改善が顕著です。また、その他の3つのカテゴリーがTOP10圏内にランクインしていることも高ポイントでしょう。

ただし、中国との関係が今後の競争力に影響する可能性があります。複雑な対外環境への適切な対応、高齢化への対処、土地・人材供給の回復が課題に上がっています。

日本

日本は38位と前回から3ランク順位を下げました。「ビジネス効率性」が低評価だった一方で、「科学インフラ」や「雇用」では、それぞれ10位と6位にランクインするなど一定の評価を得ています。しかし、反対に「政府の財政状況」や「企業の経営慣行」の評価が前回よりもさらに順位を落としています。

今後はデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進、少子高齢化への対処、人材・スタートアップ・イノベーションへの投資などが課題として挙げられます。

その他注目の国

2024年の国際競争力ランキングでは、上位国以外にも注目すべき動向がいくつか見られます。AI技術や製造業の高度化によって競争力が向上した中国(7ランク上昇して14位)、安定した経済基盤と持続可能な政策が推進されているオーストラリア(6ランク上昇して13位)、グローバル企業を引きつけるための誘致政策が奏功しているUAE(3ランク上昇して7位)など、自国の強みを最大限活用しつつ、新たな課題に適応することで競争力を高めている国があります。

シンガポールの競争力強化と課題

シンガポールが世界トップクラスの競争力を維持する背景には、効率的な政府運営や高度なインフラ整備があります。しかし、高い生活コストが国内外から懸念されていること、外需依存度の高さから米トランプ政権による相互関税の影響を間接的に受ける可能性があることなど、いくつかの諸問題への対応が今後重要となるでしょう。

また、他国との比較からも明らかになったように、シンガポールは法人税率や規制緩和、地理的優位性などでビジネス環境を優位に保ちながらも、持続可能な成長戦略を引き続き模索する必要がありそうです。

●記事内容は執筆時点の情報に基づきます。


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