【~連載~FINANCIAL PLANNING シンガポールでおトクに賢く生きる】第323回 「日本のコンビニ」はなぜシンガポールで成り立たないのか?

「シンガポールにもセブンイレブンはあるよね?」
日本から来た友人や家族にそう聞かれるたび、私は少し説明に困ってしまう。確かに街を歩けば、なじみのある緑と赤とオレンジの看板を見かける。
しかし、一歩足を踏み入れれば、そこは日本のコンビニとはかなり違う空間だ。日本なら、コンビニに入れば、おにぎり、サンドイッチ、お弁当、スイーツ、コーヒー、飲み物などが所狭しと並んでいる。ちょっとした食事なら、コンビニだけで十分に完結する。
ところがシンガポールでは、おにぎりやサンドイッチの品揃えは限定的で、ホットスナックやお弁当の選択肢も日本ほど多くない。何より、値段が驚くほど高い。500mlのペットボトルのお茶がS$3〜4(約350〜460円)することも珍しくない。
なぜ、世界でも類を見ないほど進化した「日本のコンビニビジネスモデル」は、富裕な都市国家・シンガポールで、日本と同じように花開かないのか?そこには、この国独特の都市構造と、最強のローカルインフラの存在があった。しかしシンガポールでは、この2つの領域に、それぞれ強力なローカルインフラが存在する。
「安くて温かいご飯」はホーカーが担う
HDB(公営住宅)の足元や街のいたるところにあるホーカーに行けば、5ドル前後でチキンライスや麺類など、できたての食事を食べることができる。しかも、わざわざ電子レンジで温める必要もない。「ちょっと何か食べたい」という需要は、すでにホーカーがかなりの部分を満たしている。
日本では「コンビニでおにぎりやお弁当を買って帰る」という行動がごく自然だが、シンガポールでは、同じ金額を払うなら、できたてのローカルフードを食べるという選択肢が強い。
「日用品や飲み物」はローカルスーパーが担う
そして、飲み物やスナック、日用品などを買うなら、HDBの足元にあるローカルスーパーの存在が大きい。代表格が「昇菘(Sheng Siong)」だ。コンビニよりも安く、生鮮食品から飲み物、日用品まで幅広く揃う。しかも、HDBの住宅街など、住民の生活圏に入り込むように店舗がある。
私がシンガポールに住み始めた頃、特に衝撃を受けたのが、このスーパーだった。私が住んでいるHDBの直下にも店舗があるのだが、初めて入ったとき、「これがスーパー?」と少し驚いた。野菜や果物、肉だけではない。魚まで、まるでウェットマーケットのように並んでいる。そして、そんなスーパーが24時間開いている。
日本なら、夜中に魚や肉、野菜まで揃うスーパーが住宅街のすぐ下にある、という光景はそれほど一般的ではない。シンガポールでは、こうしたローカルスーパーが日常生活のすぐそばにある。
「ちょっと飲み物を買いたい」だけならもちろん、夕食の材料を買うこともできる。しかも、コンビニより安い。この便利さを知ってしまうと、「わざわざコンビニに行く必要があるのだろうか」と思えてくる。

▶続きはこちらからご覧いただけます。
プロフィール
花輪陽子

1級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)CFP®認定者。
「ホンマでっか!?TV」などテレビ出演や講演経験も多数。 http://yokohanawa.com/
| Website Twitter:@yokohanawa |
| 新刊情報 |
世界標準の試算の増やし方
豊かに生きるための投資の大原則
河北博光[著]/花輪陽子[執筆協力]

バックナンバーはこちら
【花輪陽子のFinancial Planning】