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CPFとは?シンガポールのCPFの仕組みは?対象者は?~気になる疑問を徹底解説~

シンガポールのCPFとは?シンガポール人の老後の生活を支える、社会保障貯蓄制度について詳しくご説明します。シンガポールで働いている方や会社を経営されている方、労務担当者はぜひご一読ください。

シンガポールのCPFとは?

シンガポールのCPF(=Central Provident Fund、中央拠出年金 )とは、シンガポールの重要な社会保障貯蓄制度です。企業の雇用者側と被雇用者の両方から、毎月一定の割合の金額をCPFB(=Central Provident Fund Board、中央拠出年金庁)へ拠出することにより、国民は老後の資金を貯蓄します。

積み立て金は以下の3つの口座に分けられ、一定の年齢に達すると口座から引き出すことが可能になります。

・普通口座(Ordinary Account):主に退職金と住宅資金に充てる口座
・特別口座(Special Account):主に退職後の生活資金となる口座
・保険口座(Medisave Account):主に医療のために使用する口座

なお、55歳になると、特別口座(Special Account)と普通口座(Ordinary Account) の貯蓄は新たに開設される退職口座(Retirement Account)に振り替えられます。毎月の支給が開始されるのは65歳からです。

日本との違いは?

シンガポールのCPFと日本の厚生年金の大きな違いは、資金確保の方法にあります。日本の厚生年金は「賦課方式」といい、現役世代が年金受給者世代の保険料を納付することにより成り立っています。一方でシンガポールでは、自分自身が現役時代に納付した保険料を受け取る「積立方式」がとられています。

シンガポールのCPF対象者は?

・シンガポール人
・シンガポール永住権保持者

かつ下記の勤務契約に基づいて働いている人がCPF対象者となります。雇用主はCPFを申告納付し、被雇用者はCPF加入の義務があるため雇用の途中から永住権を取得した場合などは、速やかに雇用主に伝える必要があります。

・正社員
・パートタイム、臨時社員、契約社員
・非正規雇用

月給総額がS$50以上の従業員の給与に対してCPFの支払いが義務付けられています。また、シンガポールで雇用されている船長や船員または見習いとして雇用されているシンガポール市民も対象者に含まれます。

シンガポールのCPFの対象となる賃金は?

・基本給
・時間外手当
・賞与
・食費、交通費などの手当
・コミッション(販売手数料など)
・現金によるインセンティブ(生産性インセンティブなど)
など

これらの賃金は、通常賃金(Ordinary Wages)と追加賃金(Additional Wages)の2種類に分類されます。基本給など月々の労働報酬としてみなされるものが通常賃金(Ordinary Wages)、賞与など月々の労働報酬に限らず得られる報酬を追加賃金(Additional Wages)とし、それぞれ一定の計算式に応じてCPF拠出額が計算されます。

では、シンガポールのCPFの拠出率を見ていきましょう。CPFの拠出率は、市民権、永住権取得からの年数や賃金水準などによって異なります。下記はシンガポール人、永住権取得後3年目以降の拠出率を年齢別に表にしたものです。


被雇用者の年齢
2024年1月1日からの拠出率計算(月給>S$750)
雇用主負担(%)被雇用者負担(%)合計(%)
55歳以下172037
55歳超60歳以下151631
60歳超65歳以下11.510.522
65歳超70歳以下97.516.5
70歳超7.5512.5
出典:CPFB

シンガポールのCPFの金利は?

四半期ごとに金利の見直しがされますが、現行の2024年7月~2024年9月については以下の金利とされています。

口座利率(%)
普通口座(Ordinary Account) 2.5
特別口座(Special Account)4.08
保険口座(Medisave Account) 4.08
退職口座(Retirement Account)4.08
出典:MOM

なお、55歳未満の加入者は、CPF残高合計の最初のS$60,000に最高5%の利子がつきます。また、55歳以上の加入者はCPF残高の合計のうち最初のS$30,000に最高6%、次のS$30,000に最高5%の利子がつきます。

シンガポールのCPFを知っておくべき理由

雇用主の立場としては、雇用主負担のCPFは純粋に人件費の増加といえるため、コスト管理、外国人採用との人件費の比較において重要といえます。また、CPFの申告納付義務は雇用主にあるため、正確な計算と期限内での申告が求められ、コンプライアンス上も重要です。

一方で、被雇用者の立場としては、社会保障制度の理解は、将来の安定した生活基盤のためにキャリアを考える上でも非常に大切です。特に、シンガポールで働く日本人にとってCPFの対象者に該当しない場合は自身で退職金や医療費の積立計画をする必要があります。シンガポールで働く際には、このような点も念頭においておくことが必要です。

監修:CPA Concierge Pte Ltd

CPA Concierge Pte Ltdは、2014年から日系企業のシンガポール進出、日本人起業家や富裕層のシンガポール移住、法人設立、ビザ申請、会計税務をサポートしています。これまで400件を超えるご相談に対応してきました。

同社は、2019年 Association of Trade and Commerce Singaporeが選ぶ新進企業トップ500のブロンズ部門に選出されるなど、シンガポール国内においてもその業績が高い評価を受けています。

シンガポールの永住権関連、お子様の学校関連、個人の銀行口座関連、人材採用時の注意点、MOM対策、他の士業事務所との連携、他の業者の紹介や調査、といった、士業事務所では通常は受けてくれない(しかしどこに相談してよいか分からない)お悩みも可能な限り何でもお受けしています。

基本的にすべてのクライアントに日本人スタッフ(日本語ネイティブ並みの非日本人含む)を配置しており、シンガポールでのビジネスが初めての企業でも安心して日本語でご相談いただける体制となっています。

萱場 玄氏

会計事務所CPAコンシェルジュ(CPA CONCIERGE PTE LTD)創業者。

公認会計士(日本)、税理士(日本)、プロフェッショナルカンパニーセクレタリー(シンガポール)、Xero公認アドバイザー、経営心理士。










<企業情報>

CPA Concierge Pte Ltd
住所:2 Kallang Avenue, #07-25 S339407
最寄駅:EW11 Lavender駅、DT23 Bendemeer駅
営業時間:月~金 8:00~17:00
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