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-第129回- [韓国×東南アジア] 韓国ドラマに登場する東南アジアの国々、人々の認識を反映する鏡に

【~連載~川端 隆史のアジア新機軸】
-第129回- [韓国×東南アジア] 韓国ドラマに登場する東南アジアの国々、人々の認識を反映する鏡に

元外交官 × エコノミスト 川端 隆史のアジア新機軸

個人的な趣味の話になるが、筆者は無類の韓国ドラマファンだ。10年ほど前にふとしたきっかけで、動画配信サービスで韓国ドラマを観てから、すっかりはまってしまい、相当な数を観てきた。

そうしたなか、東南アジアをフィールドとしてきた者としては、韓国ドラマで時折描かれる東南アジアの様子が気になってしまう。会話のなかで触れられる程度のこともあれば、ドラマの舞台として重要な位置づけになっていることもある。

東南アジアの国が全面に出ていた最近のドラマと言えば、2022年9月3日から10月9日にかけてtvNが放送し、Netflixでも配信されている「シスターズ」だ。この作品ではシンガポールが重要な舞台となった。

主演女優のキム・ゴウンは、「トッケビ」のヒロインとして一挙にスターダムに上り詰め、今やトップスターの1人だ。彼女が扮する主役のオ・インジュがフラトンホテル、ボートキー、ロビンソンロード、ビボシティ近くのコンドミニアムといったエリアで演じる様子が展開された。シンガポール在住者のみならず、観光客や出張者にもなじみの深い場所だ。シンガポール川を眺めながら、朝食にカヤトーストを「美味しい」と頬張るシーンまで用意されている。

また、物語のなかで展開するミステリーの謎解きには蘭が重要な意味を持つ。シンガポールに住んでいる読者や、シンガポールにゆかりのある読者には、是非、鑑賞してほしい作品だ。

本稿では単なるドラマ論評をしたい訳ではない。他の作品でも描かれる東南アジアの要素みていると、ドラマを通じて東南アジアがどのように捉えられているかも理解することができる。

2006年にベトナム戦争終結30周年として2話スペシャルで「ハノイの花嫁」が放送された。また、「空港に行く道」ではベテラン女優キム・ハヌルが演じるヒロインはマレーシア航空の客室乗務員という設定で娘はマレーシアに留学している。フィリピンも子供の留学先として登場し、例えば「アンダーカバー」では居酒屋での父親たちの会話で触れられる場面がある。このようにぱっと記憶を手繰っただけでも、東南アジアが登場する作品はいくつか思い浮かぶ。

筆者としては、韓国ドラマを通じてみえる東南アジアイメージがどのようなものなのか、深掘りをして研究していきたいと思う。

*2023年11月29日脱稿

プロフィール

川端 隆史 かわばたたかし

EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社
ストラテジー/インテリジェンスユニット シニアマネージャー

外交官×エコノミストの経験を活かし、現地・現場主義にこだわった情報発信が特徴。主な研究テーマは東南アジアなど新興国マクロ政治経済、地政学、アジア財閥ビジネスの変容とグローバル化、イスラム経済、医療・ヘルスケア産業、スタートアップエコシステム、テロ対策・危機管理。

1999年に東京外国語大学東南アジア課程を卒業後、外務省で在マレーシア日本国大使館や国際情報統括官組織等に勤務し、東南アジア情勢の分析を中心に外交実務を担当。2010年、SMBC日興証券に転じ、金融経済調査部ASEAN担当シニアエコノミストとして国内外の機関投資家、事業会社への情報提供に従事。

2015年、ユーザベースグループのNewsPicks編集部に参画し、2016年からユーザベースのシンガポール拠点に出向、チーフアジアエコノミスト。2020年から2023年まで米国リスクコンサルティングファームのシンガポール支社Kroll Associates (S) Pte Ltdで地政学リスク評価、非財務・法務のビジネスデューデリジェンスを手がけた。2023年4月より現職、対外情報発信やビジネスインテリジェンスの強化等に従事。

共著書に「東南アジア文化事典」(2019年、丸善出版)、「ポスト・マハティール時代のマレーシア-政治と経済はどうかわったか」(2018年、アジア経済研究所)、「東南アジアのイスラーム」(2012年、東京外国語大学出版会)、「マハティール政権下のマレーシア-イスラーム先進国を目指した22年」(2006年、アジア経済研究所)。

栃木県足利市出身。NewsPicksプロピッカー、LinkedInトップボイス。
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