日本国大使館 石川大使からのメッセージ

2026年は、日本とシンガポールにとって、1966年の国交樹立から本年で60周年(SJ60)という記念すべき節目の年です。60年という年月は、漢字文化圏では「還暦」という歴史の大きな区切りです。これまでの60年を振り返るのみならず、両国が築き上げてきた関係を次の世代に継承し、更に深化させることを目指しています。
この一年は、SJ60記念ロゴマークの決定にはじまり、記念事業の募集・認定、そして一年のフィナーレとして11月28日、29日に開催予定のSJ60フラッグシップイベント“結-Musubi-”といった、さまざまな記念行事を企画・開催されておりますが、これらのSJ60の各種行事も、日本人社会の皆様のお力を結集しながら、「オールジャパン」の精神で進めております。
しかし、60年前を思い起こせば、第二次世界大戦の負の記憶がなお色濃く残り、対日感情も決して穏やかとは言えない時代でした。にも関わらず、今日、各種の世論調査では日本は「最も信頼できるパートナー」として挙げていただいています。
この大きな変化は、決して偶然ではありません。シンガポール側では、リー・クアンユー初代首相をはじめ当時の世代の方々が、過去を見据えながらも、国の発展のために極めて現実的(プラグマティック)な選択として日本の経済的な力に期待を寄せ、日本企業による投資を求めてくださいました。
日本側もその期待に応えようと、数多くの企業がこの地に進出し、一人ひとりの日本人が誠実に仕事と向き合ってきました。その地道な積み重ねこそが、今日の信頼関係を築いた礎であると確信しています。
現在、シンガポールには約760社がシンガポール日本商工会議所に名を連ね、約5,000社の日系企業がこの地で活動しています。伝統的な製造業だけではなく、近年では投資、スタートアップ、デジタル、グリーン分野等、両国の経済関係は広がりを見せています。
また、シンガポールの方々にとって日本は「最も訪れたい旅行先」となり、日本を訪れるシンガポール国民の数は2025年には過去最高の約72万人に達し、更に、日本文化に対するシンガポール国民の関心も大変高く、伝統文化からアニメまで幅広いものがあります。
このように、日本とシンガポールは、過去60年に渡ってお互いに学び合い、支えながら、貿易・経済、安全保障、最先端技術、文化・人材交流に至るまで、関係を構築してきました。本年3月には、高市総理とウォン首相の初めての首脳会談が東京で行われ、両国の関係は戦略的パートナーシップとして公式に格上げされました。自由や法の支配といった基本的価値観を共有する国として、これからも一層緊密に連携してまいりたいと考えています。
日本がここまで信頼される国となったのは、ひとえに在留邦人お一人お一人が、この地で「良き隣人」であり続けてこられた積み重ねによるものです。シンガポールという国の成り立ちと、日本との関係を改めて認識したうえで、現地の方々と手を携えて協力していくこと——それこそが、両国の架け橋として私たち在留邦人にできる最も大切なことだと感じています。
シンガポールは、良い成果を挙げれば、それが正当に評価される国です。この地で挑戦されている在留邦人の皆様が、それぞれの環境で力を尽くし、成功を収められることを、私は心から願い、応援しております。そして、皆様お一人お一人のご活躍を、心強く、また誇らしく感じております。
Profile:インタビュイー紹介

駐シンガポール日本国特命全権大使
石川 浩司(Hiroshi Ishikawa)
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