アジアでのアジア学をグローバルに発信するのに最高の地-茶谷さやか(シンガポール国立大学歴史学部(NUS) 准教授、副学部長)

シンガポールの大学生
質問:NUSの校風やカルチャーを感じた決定的な出来事は何でしたか?
2015年からこちらで教えていますが、NUSの大学生は本当によく勉強します。各国に交換留学に行ってきた学部生は「現地の学生が勉強しないので驚いた」とよく言います。
歴史学専攻の学生は毎週大量のリーディングをこなし、ディスカッションで切磋琢磨し、旅行先で自らアーカイブに寄ったり博物館を分析したりすることを楽しむ文化があり、大変教え甲斐があります。日本に関する関心や知識のレベルも高いです。
シンガポールの大学組織で働くこと
質問:どんな個性が集まり、どんな空気感で仕事をしていますか?
NUSの制度は、米国高等教育文化、英国統治の名残、そして国立大学のトップダウン構造が混在しており、慣れるのに時間がかかりました。でも学部内の同僚たちは世界の第一線で活躍する研究者ばかりで、自分の成長に贅沢な環境です。
例えば私の在日コリアンの研究には、華人移民研究や冷戦研究の仲間たちから学んだことが役立っています。また、歴史学入門としてEngaging Asia: A Global Historyという授業をチームで教えているのですが、それぞれの教え方に個性が出ていて、毎回楽しいです。
先がわからないときほど歴史を振り返る
質問:今後の教育や学生たちの発展の展望をお聞かせください。
学生たちと接していて、昨今の高等教育、特に人文学の縮小はただ事ではないと感じています。社会分裂の深化、情報の混乱、孤立感、富の集中、将来への展望の喪失など、学生たちの生活を具体的に脅かしているからです。
不安感に苦しむ学生たちには、先が見えない時こそ歴史をじっくり見つめ、時に俯瞰し時に深掘りし、共感したり驚いたり怒ったりという経験を重ねて、複雑に進展する社会での生き方を学んでほしいです。
シンガポールの次世代を育てているという責任感をもって、時代の様相に合う教授方法をいつも模索しています。
アジアを凝縮したシンガポール
質問:シンガポールの文化・街の在り方、特にここが素晴らしいと感じるところは?
シンガポールは小さいですが、アジア各地の文化移入や人の移動の歴史が堆積した、知れば知るほど面白い国です。アジアを凝縮した地として知の交流も豊かで、アジアから世界に発信できる最高の拠点だと思っています。
Profile:インタビュイー紹介

シンガポール国立大学歴史学部(NUS) 准教授、副学部長
茶谷さやか(Sayaka Chatani)
上智大法学部卒、国際関係・政治学修士を経て、コロンビア大学国際史博士号取得。
専門は比較帝国史、日本帝国史、在日コリアン史。中国語、韓国語、日本語の史料やオーラルヒストリーを元にした社会史を手がける。
| ■ シンガポール国立大学歴史学部(NUS) |
| ◉NUSの歴史学部は、研究・教育において国内は元よりアジアを牽引する学部。本人は東アジア国際関係史、日本帝国史、歴史学入門などの授業を担当、またカリキュラムの研究・設定や、若手研究者のサポートを任される。 住所:11 Arts Link, #05-27, Singapore 117573 📞電話番号:6516 3838 📩E-mail:chatani@nus.edu.sg 🌐WEBサイト |
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