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【~連載~2023年度シンガポール法人設立ガイド】第二回 法人の設立方法や費用などを解説

「連載~シンガポール法人設立ガイド」第一回は 6つの進出形態とメリット・ディメリットをご紹介しました。今回、続編となる連載第二回目は法人の設立方法の記事をお届けします。実際にシンガポールで法人を設立する際に必要な手続きを順番にご説明しています。

シンガポールでの法人設立方法

①法人設立の事前準備

目安の所要時間:約2週間

1.進出形態(現地法人、支店、駐在員事務所)を検討する。

それぞれのメリット、ディメリットを比較し最適な進出形態を考えます。現地を調査する方法として駐在員事務所を置く方法やコンサルティング会社に調査を依頼する方法があります。どちらの方法をとるかにより費用も異なることになります。

2.外資規制・ライセンスなどの確認作業をする。

シンガポール政府は外資資本の企業に対して積極的な誘致を行っています。そのため、東南アジアの特定国で見られるような外資参入禁止の事業分野はほとんどありません。

ただし、軍事事業や水道・電気・ガス等の一部の公益事業や、金融、メディア事業などは規制があり、各事業の管轄省庁からの営業許可が必要になります。また、一定の事業についてはライセンスが必要となります。
例:スーパーマーケットであればSingapore Food Agency(食品庁)からライセンスの取得が必要。

3. 資本金額について

3.資本金額について

シンガポールの現地法人はS$1から設立することができます。実際には就労ビザの取得費用、駐在員派遣費用を見込むと最低でもS$10万の資本金を入れる企業がほとんどです。

4.代行業者の活用

最近は電子化が進んだこととWEBミーティングの発達から、代行業者を利用せずに法人設立手続きを簡潔することも増えていますが、それぞれの分野に詳しい専門業者に調査などを依頼する企業も多く見られます。その場合は信頼のおける代行業者の選定が必要となります。

●コンサルティング会社:進出時の個別の具体的な市場調査や海外戦略立案などに関する相談
●法律事務所:進出時の規制や会社法、雇用法、設立手続きに関する相談
●会計事務所:会計や税務分野、投資相談や実際の設立手続きに関する相談



②会社設立の重要事項の決定

目安の所要時間:約1週間

会社を設立する際の重要事項は以下の通りです。

1.会社名の決定

2.事業内容の決定
登記簿謄本に主になる事業を最大2つ記載することが決められています。

3.会社住所
シンガポールの法人設立にあたってはシンガポールでの登記住所が必要になります。登記時に事務所が決まっていない場合などは設立を代行する会計事務所などの住所を一旦借りることになります。

4.株主
最初の株主が発起人となり法人を設立することになります。発起人は個人、法人問わず、シンガポールに在住している必要もありません。ジョイントベンチャーの場合は、配当や株式譲渡などについての内容を定款に記す必要があるため最初に株主を決める際、株主間の合意事項を決める必要があります。

5.取締役
シンガポール居住の取締役を少なくとも1人選任する必要があります。



③会社名の予約

会社名の候補を決め、会計企業規制庁(ACRA)のウェブサイトで使用可否を確認します。ACRAが使用にふさわしくないと判断した場合や類似した名称があると使用できません。ただし嘆願書の提出によって認められる場合があります。社名が承認された日から120日以内に法人設立を完了させる必要があります。


④居住取締役と秘書役の選任

シンガポール居住(シンガポール国籍保有、シンガポール永住権および就労ビザ保有者でシンガポールに居住住所を持つ者)の取締役を最小1人選任する必要があります。日系企業が進出する場合は設立手続きを委託する、現地会計事務所の人間を代理で取締役とする企業もあります。

また、設立日から6カ月以内に秘書を任命する必要があり、秘書はシンガポールに居住している必要があります。秘書は6カ月以上空席にしておくと最高S$1,000のペナルティが課されるので注意が必要です。居住取締役と秘書役は兼任することはできません。


⑤定款の作成

目安の所要時間:約1週間

企業の基礎的な事項を決める定款はACRAへの登録が必要です。定款のフォーマットはACRAのホームページで一般公開されています。また、会社設立の代行を行う法律事務所や会計事務所も通常ひな型を持っています。日本企業の定款は会社の絶対的な規定という意味合いがありますが、一方でシンガポールの定では定款よりも株主と会社の契約内容が優先されます。


⑥会社設立の申請

目安の所要時間:約4週間

会社設立の申請はACRAのオンラインサイトから申請書を提出します。会社の登録費用はS$300、合わせて会社名の申請費用としてS$15必要です。


⑦法人銀行口座の開設

目安の所要時間:約1週間

会社設立の申請が完了したら、法人口座の開設をします。大まかに分けて日系銀行、シンガポール地場銀行、グローバル銀行の3種類から使用目的に応じて口座を開設することになります。

近年ではマネーロンダリングや脱税目的での口座開設の対策が厳重になり、銀行側の審査が厳しく法人設立申請よりも銀行の口座開設がハードルが高いとも言われています。

法人開設をする銀行の口座一覧(例)
 
●日系銀行:三菱 UFJ ファイナンシャルグループ、みずほファイナンシャルグループ、三井住友ファイナンシャルグループ

●地場銀行:DBS Bank、OCBC Bank、UOB Bank

●グローバル銀行:CITIBank, HSBC Bank



⑧就労ビザ申請

シンガポールで就業する際にはビザの種類がさまざまです。関連記事にて詳細に説明されていますのでご参照ください。




⑨オフィスの検討

会社を稼働させるためにオフィスを探しましょう。シンガポールは賃料が高いため、進出時にできる限り経費をおさえた場合はシェアオフィス、サービスオフィスの活用も検討材料として挙げられます。


⑩人材の採用計画

シンガポールは優秀な人材、有能な海外人材が多くおり、人材面では非常に恵まれています。人材の採用については人材サービス業などを利用することができます。シンガポールには日系の人材サービス業もあります。

シンガポールの労働市場、公正な雇用慣行、従業員の採用先については、 Ministry of Manpower (労働省)のウェブサイトで詳細を確認することができます。


法人設立手続きがシンプルなシンガポール

連載第一回目では法人種類について、今回は実際の法人設立時の手続きについてご紹介しました。シンガポールでの法人設立は、政府が外国企業の誘致に積極的なこともあり、世界の他の国々と比べてとてもシンプルで迅速です。今回の連載がシンガポールでのビジネス展開を検討している方の参考となれば幸いです。

●記事内容は執筆時点の情報に基づきます。

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