【保存版】シンガポールの国の政府機構と略称一覧|全16省庁・政府機関を完全まとめ

シンガポール共和国でビジネスを展開するには、政府機関の略称と役割を正確に把握することが不可欠です。本記事では、内閣・16省庁・60超の法定機関からなる行政機構の全体像を一次情報に基づき解説します。ビザ・税務・デジタル政策など、実務で頻出するMOM、MOH、MOF、ICAなどの窓口を明確に整理し、海外進出を目指すビジネスマンの効率的な手続きを支援します。
シンガポール政府機関の全体像

シンガポール共和国は、議院内閣制を採用した効率的な行政機構を持ち、ビジネスフレンドリーな環境を構築しています。政府は「内閣(Cabinet)」を頂点に、「省(Ministries)」と「法定機関(Statutory Boards)」という二大分類が存在し、、連携して政策立案から実行までを担います。通常、公共・住民サービスは各省庁が、専門的な行政サービスや事業運営は法定外局が担当しています。
また、シンガポールは三権分立の体制をとっており、内閣を中心とする「行政」、国会を軸とする「立法」、最高法院と下級法院が担う「司法」と、3つに権限が分散されています。
Cabinet(内閣)
Cabinetは首相(Prime Minister)を中心に構成され、国家の最高政策決定機関です。議会の信任を得た首相が率い、大統領が首相の助言で他の大臣を任命して構成されます。政府の全政策と国政運営に責任を持ち、議会に共同で責任を負います。
現在は、2024年5月に政権を継承したローレンス・ウォン首相(Lawrence Wong)の下、閣僚が各省庁を統括し、経済成長や国家安全保障を推進しています。ビジネス関連では、通商産業省(MTI)閣僚が企業支援政策を主導します。
シンガポールのCabinetは、少数精鋭体制で知られ、閣僚の多くが民間/政府系企業での実務経験者である点が特徴です。例えば、MOMの大臣であるTan See Leng氏はHealthway Medical Groupの創始者であり、MNDおよびMTIの大臣であるAlvin Tan氏は、ゴールドマン・サックスやLinkedInでの勤務経験を持っています。
こうした経歴を持つ人材が政策決定の中枢を担っていることが、行政とビジネスの橋渡しがスムーズに行われるシンガポールの政策運営構造を支えている背景の一つなのかもしれません。
Ministries(省庁)
Ministriesは16省庁からなり、政策立案と監督を担います。各省は専門分野の戦略を定め、法定機関を通じて実行します。職員は約8万6千人おり、各省の閣僚は首相の助言に基づいて大統領が国会議員の中から任命します。ビジネスパーソンは、進出時にこれらの省庁を起点に手続きを進めます。
省庁の役割は明確に分業されており、重複を避ける効率性が特徴です。例えば、労働関連はMOM、税務はMOFと、窓口が一元化されています。
Statutory Boards(法定機関)
Statutory Boardsは省庁傘下の執行機関で、60以上の機関が存在します。これらは公務員制度から独立した権限を持ち、独自の採用方法や人事管理を行います。法定機関は取締役会が運営し、メンバーには実業家、専門家、上級公務員、労働組合幹部などが選ばれます。ビジネス関連では、ICAやIRASなどが代表的で、企業進出時の具体的手続きを担います。
これらの機関は、市場原理を導入し、民間セクターとの協力を重視します。例えば、Enterprise Singaporeは企業支援に特化しており、デジタルイノベーションやグローバル展開などに協力しています。
シンガポールの全省庁一覧

シンガポール政府の全省庁は、以下の通りです。各略称、正式名称、日本語訳、簡単な役割をまとめます。
| MCCY(Ministry of Culture, Community and Youth): 文化・コミュニティ・青少年省。文化イベントやコミュニティ支援を統括し、多文化共生政策を推進。 |
| MINDEF(Ministry of Defence): 国防省。国家防衛と国民皆兵制度(National Service)を管理。 |
| MDDI(Ministry of Digital Development and Information): デジタル開発・情報省。2024年7月設立。デジタルインフラと情報政策、オンラインセキュリティ対策を担う。 |
| MOE(Ministry of Education): 教育省。学校教育と人材育成を監督。 |
| MOF(Ministry of Finance): 財務省。予算編成、税制、財政政策を統括。 |
| MFA(Ministry of Foreign Affairs): 外務省。外交と国際貿易協定を推進。 |
| MOH(Ministry of Health): 保健省。医療制度と公衆衛生を管理。 |
| MHA(Ministry of Home Affairs): 内務省。警察、入国管理、治安を担当。 |
| MINLAW(Ministry of Law): 法務省。法律制定と知的財産権を監督。 |
| MOM(Ministry of Manpower): 人的資源省(労働省)。雇用、ビザ、労働法を統括。 |
| MND(Ministry of National Development): 国家開発省。国土利用計画と開発を担当。住宅(HDB)と都市計画を管理。 |
| MSF(Ministry of Social and Family Development): 社会・家族開発省。福祉と家族支援政策を実施。 |
| MSE(Ministry of Sustainability and the Environment): 持続可能性・環境省。環境保護と気候変動対策を推進。 |
| MTI(Ministry of Trade and Industry): 通商産業省。経済成長と産業振興を主導。 |
| MOT(Ministry of Transport): 交通省。陸海空交通インフラを統括。交通の接続性強化で経済発展にも貢献。 |
| PMO(Prime Minister’s Office): 首相府。首相補佐と戦略企画を担う。各省庁の活動と政府の全体政策を調整し、包括的な政策方針を策定。 |
これらの省庁は、シンガポール政府の公式ディレクトリで最新情報を確認可能です。
ビジネスでよく聞く省庁・法定機関

シンガポールに進出する企業や現地で働くビジネスパーソンが頻繁に接触する機関をピックアップします。略称の混同を避け、役割を明確にします。
人的資源省:MOM(Ministry of Manpower)
MOMは16の部門・部署と3つの法定機関で構成され、労働政策・ビザ発行(Employment Pass, S Pass等)・雇用管理を一元的に担う総合労働行政機関です。労働市場の規制を担い、外国人雇用Quotaや労働争議解決を取り扱います。従業員の社会保障制度を担うCPF(中央積立基金)も含まれています。
現在ではデジタルサービスが発展し、ビザ審査が迅速化され、オンライン申請が標準となりました。ビジネスでは、従業員採用時の第一窓口として知られています。
保健省:MOH(Ministry of Health)
MOHは医療制度と病院基準を管理しています。傘下の法定機関は2つあり、国民健康増進や血液供給を担っています。その他にも公的医療セクターの子会社がいくつか存在し、ヘルステック製品の開発や高齢者介護支援の施策も行っています。企業従業員の健康保険やクリニック開設に必要となります。MOMの「M(Manpower:労働・雇用・人材)と区別すれば、MOHは「H(Health:健康)」と判断しやすいです。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)後の規制強化をきっかけに、近年では同省の方針として、企業健康管理が重視されています。
財務省:MOF(Ministry of Finance)
MOFは国家の財政政策、予算編成、および税制を統括する省です。財政の管理のみならず、国家の持続的な成長を支えるための戦略的な役割を担っています。傘下には6つの法定機関があり、代表的なものにIRASやACRAがあります(後述)。ビジネス進出時の税制優遇を受けたい際に、該当の法定機関に問い合わせることが多いです。
ICA(Immigration & Checkpoints Authority)
ICAはMHA傘下の機関で、陸海空に検問所を置き、望ましくない人物や貨物の流入を阻止したり、シンガポールの国境警備を担ったりしています。
シンガポール国民のパスポート・身分証明書発行、外国人向け入国許可証・滞在許可の発行、入国管理・登録業務を担当し、治安維持のため関連法令の執行も行います。入国・永住権(PR)申請やビジネス短期渡航、家族ビザなどで相談することが多いです。すべての旅行者はシンガポールに到着する前に、同機関発行のSG Arrival Cardを提出する必要があります。
IRAS(Inland Revenue Authority of Singapore)
IRASはMOF傘下の税務当局で、法人税(17%)や個人所得税、GST、予算配分を統括しています。税の徴収と税務行政の運用を担っています。シンガポールの税率は低いことで知られていますが、これはMOFの厳格な財政規律によるものです。
ACRA(Accounting and Corporate Regulatory Authority)
ACRAはMOF傘下の庁で、会社登記の管理やビジネスの監督・規制を行います。会社設立・登記の際に必要になります。新しいデジタルサービスポータルBizFile+で事業登録、情報更新、年次報告、企業データ検索など、多様なeサービスにスムーズにアクセス可能となっています。
すべての手続きがオンラインで完結し、最短1日でACRA登録が完了するスピード感や、外資100%出資での会社設立が比較的容易である点も、シンガポールがグローバル企業・外資系企業にとって進出しやすいビジネス環境と評価される理由の一つとなっています。
Enterprise Singapore(旧SPRING Singapore)
Enterprise SingaporeはMTI傘下の支援機関で、リーダーシップや人材の育成、生産性の向上など、ビジネスにまつわる幅広い支援を担当する機関です。中小企業向け助成金やグローバル化促進も提供しています。シンガポール進出時またはビジネス成長フェーズで活用するときがあるかもしれません。
デジタル・AI政策を担うシンガポール政府機関
デジタル・AI分野の代表的な政府機関をまとめます。シンガポールはSmart Nationイニシアチブでデジタル化が推進されており、官民一体でイノベーションやAI(人工知能)に関する取り組みを行っています。
デジタル開発・情報省:MDDI(Ministry of Digital Development and Information)
MDDIは2024年7月発足の新しい省です。デジタル開発、公衆コミュニケーション エンゲージメント、世論調査の3領域を担当します。情報通信の技術やサイバーセキュリティにも力を入れており、児童のオンライン安全の確保や詐欺対策に貢献しています。
傘下にはシンガポールのサイバー空間を守るCSA(Cyber Security Agency of Singapore)、民間部門のデータ保護法を管理・施行するPDPC(Personal Data Protection Commission)があります。
IMDA(Infocomm Media Development Authority)
IMDAは、MDDI傘下の法定機関で、シンガポールのデジタル変革を推進しています。通信・メディア・AI倫理を規制する役割を担うほか、デジタル奨学金などを含む人材育成、研究開発、イノベーション、企業支援を通じて、ビジネス・労働力・国民がデジタルメディア時代に対応できるエコシステムを構築します。
アジアのAIガバナンスの牽引を目指し、AIエコシステムの育成に関する様々な取り組みを行っています。
AI Singapore
AI Singaporeは、シンガポールのAI能力を国家レベルで強化するために2017年に設立された、政府横断的な国家プログラムです。AI研究やAIガバナンス、AIイノベーションといった具体的な領域を軸に活動しています。AIを活用して社会を支える人材を育成するためのプラットフォームでもあります。
略称マスターでビジネス効率化を

シンガポールの政府機関は、一見するとアルファベットの羅列で複雑に見えますが、その実態は驚くほど合理的で機能的です。各機関の役割と略称をパズルのように組み合わせて理解しておけば、現地でのビジネスの解像度は一気に高まるはず。
「効率の国」シンガポールでは、ルールを知っている人ほどスマートに、そしてスピーディに動けるようになります。この記事をヒントに、ぜひ行政システムを味方につけて、新たな挑戦を目指してください。
●記事内容は執筆時点の情報に基づきます。
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