【~連載~FINANCIAL PLANNING シンガポールでおトクに賢く生きる】
第310回 恐怖が最大化した日に、私は株を買った― キャッシュ・ゴールド・REITをどう動かしたか

地政学リスクの高まりから、ここ最近「何もしない方がいいのか」「今こそ動くべきなのか」と迷っている方も多いと感じています。私自身も、過去には恐怖に負けて大きな判断ミスをした経験があります。
だからこそ今回は、ニュースや理論ではなく、私が実際にどう考え、どう行動したかを記録として残しておこうと思いました。
本記事では、
| ・地政学リスク下で私が「やらなかったこと」 ・実際に動いたタイミングと判断軸 ・キャッシュ、ゴールド、S-REITをどう使い分けたか |
を、FPとしての視点と個人投資家としての体験の両方から整理しています。
銘柄を当てる話でも、短期売買の話でもありません。不透明な局面で、資産とメンタルの両方を守るための「考え方の型」を共有することが目的です。
マーケットを覆う「不透明」という霧
2026年3月初頭。世界は再び、地政学リスクという重い霧に包まれています。ニュースは連日、国境付近の緊迫した戦況を報じ、投資家心理を冷え込ませます。
「もし戦火が拡大したら?」「もしサプライチェーンが断絶したら?」「インフレが再燃したら」
―― こうした不安が市場を覆うとき、多くの個人投資家は狼狽し、安全なキャッシュやゴールドへと逃げ込みます。
しかし、歴史を俯瞰し、冷静に数字を見つめる熟練の投資家は、この「不透明」の中にこそ、未来の大きな収益が眠っていることを知っています。
投資の世界には、感情論ではなく、恐怖と向き合い続けてきた人たちが残した冷徹な格言があります。
「砲声が聞こえたら買え(Buy on the sound of cannons)」
一見、道義に反するようにも聞こえるこの言葉の本質は、戦争という悲劇を喜ぶことではなく、「過剰反応した恐怖心がもたらす、優良資産のバーゲンセールを見逃すな」という、極めて合理的な逆張り哲学にあります。
しかし、私自身も東日本大震災の時は恐ろしくなってしまいかなり底値で日経平均を売ってしまった失敗があります。こうした失敗を踏まえて、今回は比較的遠くのエリアで起こっているので冷静に判断したいと考えています。
歴史が証明する「不透明」の賞味期限
過去100年のデータを紐解くと、地政学リスクが市場に与える影響には、ある一定のパターンが見られます。J.P.モルガンの80年間に及ぶ分析によれば、重大な軍事衝突が発生した直後、市場は平均して短期的(3か月以内)には下落しますが、半年から1年後にはその下落分を完全に回復し、むしろ以前より高い水準で推移することが多いのです。
その最大の理由は、「不透明」が「透明」に変わることにあります。
市場が最も嫌うのは「戦争そのもの」ではなく、「何が起こるか予測できない不確実性」です。実際に事態が動き始め、影響の範囲が可視化されると、市場は即座にそのシナリオを織り込み、再び企業のファンダメンタルズ(基礎的条件)に目を向け始めます。
2026年現在の調整局面も例外ではありません。世界を動かす巨大企業が、戦況への不安から10%〜15%も割安に放置されている。これは、本質的な価値が変わらない一方で、「恐怖という名の割引券」が発行されている状態に他なりません。
◆なぜ今、ブルーチップを買うのか
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プロフィール
花輪陽子

1級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)CFP®認定者。
「ホンマでっか!?TV」などテレビ出演や講演経験も多数。 http://yokohanawa.com/
| Website Twitter:@yokohanawa |
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