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第287回 イラン、イスラエル交戦 原油価格とペルシア湾の地政学リスクが与える経済への影響

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第287回 イラン、イスラエル交戦 原油価格とペルシア湾の地政学リスクが与える経済への影響

イランとイスラエルが交戦状態となり、原油価格が高騰するなどマーケットに影響を与えています。

イラン、イスラエル交戦状態 世界経済への影響は?原油、株式市場など ヘッジファンドマネージャーとFPが語る #株式投資に役立つ経済ニュース

イランが生産した原油のほとんどは中国に流れています。原油だけでなく、イランに対して戦略的なインフラ投資をしてきた中国にとって、イランの弱体化は中東における重要な外交的影響力を失う可能性もあります。今後、イランとイスラエルの行動がどのように展開するか、米国が紛争に巻き込まれるかなど見守り続ける必要がありそうです。トランプ氏は最近の攻撃への関与を否定しています。

イランの核関連施設をめぐってはアメリカが「バンカーバスター」と呼ばれる特殊な爆弾を使って攻撃する可能性が報じられています。反撃を受ければアメリカもダメージを受けるので、外交を巡って緊張が続きそうです。

経済面ではペルシャ湾では、毎日、多くの船が通過しています。通過する原油の量は、1日あたり2,000万バレルと推定されています。これは世界供給の原油の約20~23%を占めます。したがって、イランの原油供給がさらに制限されるかどうかよりも、大きな攻撃があった時にこの地域に緊張が走るダメージの方が心配されます。

現実的な懸念は、紛争が消費者や企業支出に与える影響です。企業が資本支出を計画している場合、これは確実に景気を後退させる要因となり、その結果、経済成長が鈍化するリスクがあります。私が所属しているスイス系のファミリーオフィスでも比較的広範な経済成長の鈍化を予想しています。

経済成長の鈍化は、主に貿易動向、貿易摩擦によるものです。もしそのペースが続けば、さらに影響を及ぼす可能性があります。もちろん、原油価格は常に懸念材料です。過去15年間のほぼすべての不況は、原油価格ショックによって引き起こされており、それがどの程度影響を与えるか注目されます。原油価格上昇により、インフレ圧力が生じる可能性があります。それは中央銀行が直面する課題をさらに複雑化させます。

米FRB は6月18日の決定会合で政策金利の据え置きを4会合連続で決定しました。

世界的な経済減速が想定される中、中央銀行は政策の余地を保持したいと見られます。そうすれば、少なくとも金利を引き下げる余地を残し、減速効果を緩和し、一部で成長を刺激する試みができるからです。インフレ懸念が再燃すれば、世界中のほぼすべての中央銀行にとって難しいバランスを強いられることになりそうです。

現在、一部の中央銀行は他の国よりも楽観的な状況です。その成長の道筋が比較的単純で明確だからです。しかし、世界情勢により状況は左右されます。金利が中央銀行の目標の2%などを大幅に上回れば、金利引き下げは不可能になります。景気後退が起きれば、中央銀行が介入する可能性もあります。

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プロフィール

花輪陽子

1級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)CFP®認定者。
「ホンマでっか!?TV」などテレビ出演や講演経験も多数。 http://yokohanawa.com/

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Twitter:@yokohanawa
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