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第275回 トランプ関税など、スタグフレーションに備える資産運用

【~連載~FINANCIAL PLANNING シンガポールでおトクに賢く生きる】
第275回 トランプ関税など、スタグフレーションに備える資産運用

米国での粘着質なインフレとトランプ政権の強硬な貿易政策により、1970年代に米国を悩ませた低成長・高インフレ、スタグフレーションのリスクが議論されています。アメリカ経済の先行指標として注目されるミシガン大学消費信頼感指数が2月21日に発表され、先月から大幅に悪化し、21日のニューヨーク株式市場はダウ平均株価が1.69%急落しました。

そんな中、金価格が3,000ドルに迫るなど今年に入ってから急騰しています。2024年第3四半期以降の世界の中央銀行による金購入の潮流や、トランプ政策の不確実性から生じる再インフレリスクなどが金価格上昇の基本的な支えとなっているようです。

世界三大投資家のジム・ロジャーズ氏に2月7日に取材をしました。この価格でもまだ貴金属を購入してもよいかという質問に対して、全ての人がポートフォリオに金や銀を入れるべきだと言っていました。

「貴金属への投資はタイミングが合えば2倍になることもあります。しかし、それが目的でないとしても、金と銀は絶対に所有すべきです。なぜなら私たちの歴史の中でどこの国でも金と銀は混乱の時代の人々の安全な避難所だったからです。そして、それは歴史を通じて世界中で認められてきたのです。」

スタグフレーション下では通貨価値が下がるために、金などの貴金属への投資や不動産を持つなどの投資が一般に有効とされています。ただし、不動産投資をする際にも景気が悪くなると家賃滞納リスクなども増えたり、売却までに時間を要する場合もあるために注意が必要です。

また、金利上昇に弱い債券を選ぶ際には物価連動債を選択するなどの工夫も考えられます。株式投資をする際にはコスト高を転嫁できるような銘柄を選定する工夫も必要です。

インフレが再燃して再度FRBが金利を上げなければならない局面が出る可能性もあるために注意深く見守りたいところです。

■米国のインフレ再燃リスク

米労働省が2月12日発表した1月の消費者物価指数(CPI)は前年比3.0%上昇しました。前月比では0.5%上昇し、2023年8月以来、約1年半ぶりの大幅な伸びを記録し、ともに市場予測を上回っています。2020年2月から現在までの米国の累積の物価上昇率は約23%です。コロナ前は1,000円で購入できた物に消費者は現在1,230円を支払わなければなりません。

加えて、関税は消費者への課税となり、関税の初期の影響は価格圧力を強める可能性があると指摘されています。現在の金利の軌跡は 1970年代とよく比較されます。重ねて見ると忠実に反映しているように見えます。

1970年代初頭は石油輸出国機構 (OPEC) の石油禁輸措置を受けて石油価格が急騰し、政府支出の増加に伴い米国の財政赤字が拡大しました。当時のFEDが1977年に金利をあまりにも早く引き下げたため、インフレが再燃しました。インフレの急激な上昇により、FRB は思い切った措置を講じ、1980年初頭に実効FF金利は約 20% に引き上げました。

1970年代後半のようなインフレの再燃が今日の主なリスクだと指摘されることもあります。
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プロフィール

花輪陽子

1級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)CFP®認定者。
「ホンマでっか!?TV」などテレビ出演や講演経験も多数。 http://yokohanawa.com/

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