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第267回 トランプ関税が実現した場合の経済的な影響は

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第267回 トランプ関税が実現した場合の経済的な影響は

歴史的に大統領選挙がある年の10月のS&P500は下落する場合が多いのですが、今回はそうしたことは起こりませんでした。株式市場はトランプ前大統領の勝利をある程度織り込んでいたようです。

トランプ政権が誕生した場合の日本企業への影響に関しては、みずほリサーチ&テクノロジーズの試算では、法人減税で2.5兆円の増益要因となるものの、対中関税(20%→60%)で▲4.0兆円のマイナス要因となるようです。

また、トランプは普通関税を3%から10%に引き上げるとも言っており、仮にそれが通った場合には▲22.9兆円のマイナス要因となるそうです。こうなると日本企業の経常利益は120兆円程度ですので極めて大きな影響となります。

これは、為替レートが200円くらいになって、輸出企業がその恩恵を受けた場合にようやくマイナス要因をオフセットできるくらいの影響だそうです。

すべての輸入品を対象にした新たな広範囲の関税案が議会を通過する公算は小さいと思われていましたが、議会もトリプルレッドとなり、最悪シナリオとして考慮には入れておいた方がよさそうです。

■アメリカの内戦リスクはある?民主主義の危機と分断

今回選挙結果が分かるまでに時間がかかった場合、マーケットが混乱するだけではなく、内戦なども含めた大きな混乱が生じるのではないかという意見もありました。

ブリッジウォーターの創業者のレイダリオ氏はリンクトインで11月5日に「We Will Soon Find Outすぐにわかるだろう」という記事を投稿しています。

ダリオ氏によると、アメリカは大規模な国内紛争や国際紛争のリスクが異常に高い段階) の瀬戸際にいるという認識を示しており、「人々が闘っている大義がシステムよりも重要になると、システムは危険にさらされます」という原則を紹介しています。

Ray Dalio Likedin 「We Will Soon Find Out (すぐにわかるだろう)

『原則: 民主主義国家の最大のリスクは、そのような分断された拮抗的な意思決定が行われることであり、その結果、悪い結果を招き、強く有能な指導者に混乱をコントロールしてもらい、自分たちのために国をうまく機能させたいと願う国民の大部分を代表するポピュリストの独裁者が率いる革命につながる。

また、連邦制民主主義国家(アメリカのような)では、大きな紛争が起こると、州と中央政府の間で相対的な権力をめぐって紛争が起こるのが一般的であることを歴史が示している。』

ダリオ氏は民主主義の崩壊は歴史的にもたくさん事例があり、「ひどい財政、退廃、内部抗争と無秩序、および/または大規模な外部紛争」などを挙げています。内戦などにも警戒した方がよいと言っています。

世界三大投資家のジム・ロジャーズ氏もインフレは革命や戦争の火種にもなると常々警告をしています。また、不満を持った国民は、「自分達の生活が苦しいのは外国人や外国のせいだ」というスケープゴートを作り出す懸念もあります。

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プロフィール

花輪陽子

1級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)CFP®認定者。
「ホンマでっか!?TV」などテレビ出演や講演経験も多数。 http://yokohanawa.com/

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Twitter:@yokohanawa
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