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第266回 インフレと株価乱高下時代の老後資産の守り方

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第266回 インフレと株価乱高下時代の老後資産の守り方

老後資産を大暴落やインフレからどのように守ればよいのでしょうか。『世界標準の資産の増やし方: 豊かに生きるための投資の大原則(東洋経済新報社)』から考察します。

インフレが進めば老後資金2000万円を現預金で置いておくだけでは不十分な可能性があります。インフレ経済で一番ダメージを被るのは、インフレに伴って増加する可能性の高い賃金を得ていない年金生活者だからです。

給与所得者の場合、物価上昇は、タイムラグはあっても、賃金にある程度 反映されると考えられます。年金は物価や賃金の変動率のほかに、マクロ経済スライドによる調整が行われています。しかし、現金で持っている2,000万円インフレ調整は行われませんから、現金の価値が目減りする分、老後資金が不足するわけです。

■老後資金を減らさずに、いかにしてインフレから資産を守ることができるか

どうすればインフレ時代に老後のために蓄えてきたお金の価値を、大きく減らすことなく守ることができるのでしょうか。

現在の資産を守るためには資産運用をして、インフレ率以上のリターンを目指す必要があります。例えば、現役時代は7%というインフレに負けないリターンを目指すなどです。インフレ率が3%なら、7%リターンで、実質リターンは4%です。

7%リターンを実現させるには、預金や債券だけでは不十分でどうしても株式などをポートフォリオに入れて運用をする必要があります。

■既にリタイアしている世帯は守りの運用を心がける

リタイア後も運用をしながら取り崩していけば、お金の寿命を延ばすことができます。インフレ率が 3%であれば、3%以上のリターンを出せばお金の目減りを阻止することができます。

例えば、20歳から毎月10万円を7%複利で運用できたとすると、60歳時点で元本は約2億6,248万円になります。しかし、3%のインフレが続いていたとすると、物価は今より約226%上昇していますので、現在の価値で言うと約7,874万円になります。この7,874万円を元本にして3%で運用すると、運用からの収益が約236万円出ます。ここから年360万円を取り崩すと、元本は約7,750万円に減ります。このペースで取り崩しを続けると 96歳になると蓄えが底を突くことになります。

しかし、取り崩しを定率の4%に維持することによって、お金が減るスピードを抑制できます。例えば、60歳で金融資産7,874万円、運用利回り3%で、毎年4%ずつ取り崩す場合、40年後の100歳になってもお金は底を尽きません。7,874万円の4%は約315万円なので、1年目は先ほどの定額と比べると45万円の差です。

全体のまとめとして、リタイアをする上でキーとなる係数は次の4つです。元本の額(1.元手)、取り崩す割合(2.生活費、3.収入)、運用リターン (4.運用)です。定年までにできるだけ多くの元本を確保し、取り崩す割合を定率にする、運用リターンを無理のない範囲で維持することが重要です。

その際に非課税の恩恵を受けられると手取りが増えるので NISA を活用するべきと、繰り返し述べてきました。できれば 100歳まで資産残高が底を突くことなく、それまでに蓄えた資金を無理なく取り崩していけるプランを立てたいところです。

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プロフィール

花輪陽子

1級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)CFP®認定者。
「ホンマでっか!?TV」などテレビ出演や講演経験も多数。 http://yokohanawa.com/

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Twitter:@yokohanawa
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世界標準の試算の増やし方
豊かに生きるための投資の大原則
河北博光[著]/花輪陽子[執筆協力]

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【花輪陽子のFinancial Planning】

 

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