【~連載~FINANCIAL PLANNING シンガポールでおトクに賢く生きる】
-第264回- 中国市場で今、何が起こっている? 政府の株価対策から中国市場が大きく反発
中国では不動産不況から株価も大きく下落していましたが、9月下旬に相次いで政府から株価対策が発表され、中国本土株の指標CSI300指数は、発表を受け大きく上昇しました。香港に上場する中国本土株の指標ハンセン中国企業株(H株)指数も大幅高となっています。
米MSCIの中国株指数(ドル建て)は約2週間で3割高と急騰し、日中株価の差が急速に埋まる形となっています。この背景に、中国人民銀行(中央銀行)の潘功勝総裁は9月24日の記者会見で、証券会社やファンド、保険会社が株式を購入するため中国人民銀行から流動性を引き出せるようスワップ制度を設けると発表しました。
また、上場企業が自社株買い戻しを行い、大株主が保有株式を増やすため、こうした目的に特化した再貸出制度の計画もあると言います。当局による株式市場への流動性支援は、スワップ5000億元(約10兆円)と再貸し出し3,000億元(約6兆円)という形で行われ、さらに5,000億元を段階的に追加する可能性があることも潘総裁は明らかにしています。
また、日本によく似た対策として、中国ではPBR1倍割れだけではなく、株が継続して下がってる場合にも改善プログラムを出す厳しい要請を政府が企業にしているようです。
ブリッジウォーター創業者レイ・ダリオも10月1日のLinkedin「中国特有の美しいデレバレッジ」で次のようなことを述べています。
「それは市場経済の歴史書に、マリオ・ドラギが、中国の政策担当者が実際に必要なことを行うなら、自分と欧州中央銀行は「必要なことは何でもする」と述べた週と匹敵するほど大きな週だったと思います。中国の政策担当者が実際に必要なことを行うには、発表されたものよりもはるかに多くのことが必要になります。」
「美しい負債削減とはどのようなものか」ダリオ氏は自身のLinkedinで解説しているので、日本語で要約をします。
「中国は岐路に立たされており、次のいずれかの可能性があると私は考えています。
a) 「 美しい負債削減」を実現して債務危機にうまく対処し、債務負担を適切に軽減、または分散することで、中国が債務危機に陥ることなく生産活動に活力を与える。
または、
b) 債務危機を長引かせ、日本が経験したような(安倍元首相と黒田元総裁が政策を転換するまで)経済的・心理的不調を招くような方法で対処する。
一言で言えば、中国の政策立案者が、a)不良債権のリストラ(つまり金融機関のゾンビ状態の解消)と、b)インフレ率や名目成長率を下回る金利の引き下げを同時に行うか行わないか、あるいは、それが不可能だと判明した場合は、通貨安で債務の切り下げを行いながら、インフレ率や名目成長率を下回る金利にするために債務をマネタイズするかどうかにすべてがかかっている。
より具体的に言えば、中国の政策立案者が「美しいデレバレッジ」を実現するためには、同時に次のような方法で債務負担を軽減しなければならない。
a) 不良債権を一掃する債務再編を行う(これはデフレである)。
b)債務返済負担が軽減され、容認できないデフレにも容認できないインフレにもならないように、バランスよく資金と信用を創出する(これは刺激的でインフレになる)。
この美しいデレバレッジは、不良債権のほとんどが自国通貨建てで、債務者と債権者のほとんどが自国民である国でしかできない。
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プロフィール
花輪陽子
1級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)CFP®認定者。
「ホンマでっか!?TV」などテレビ出演や講演経験も多数。 http://yokohanawa.com/
Website Twitter:@yokohanawa |
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