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第259回 日銀の利上げと米国景気減速懸念から株式市場が大暴落

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第259回 日銀の利上げと米国景気減速懸念から株式市場が大暴落

日銀は7月31日の金融政策決定会合で追加利上げを決め、政策金利を0.25%に引き上げました。同時に国債買い入れを徐々に減額する量的引き締めの具体策も決めました。米国の主要株の決算発表なども相次ぎ、株式市場は軒並み下落し、その中でも日経平均株価の下げが大きかったです。

■なぜ日経平均株価の下落が一番大きいの?外国人投資家の動向

8月2日(金)はNYダウ1.51%下落、ナスダック総合2.43%下落、S&P500 1.84%下落、ユーロストック50 2.71%下落、英国100 1.31%下落、上海総合指数 0.92%下落、STI Index (シンガポール)1.12%下落しました。主要株価指数の中でも、なぜ日経平均株価の下落が一番大きいのでしょうか。

日経平均株価は単純平均のために値がさ株(株価が高い株)の影響力が大きくなります。値がさ株にはハイテク企業や金融企業が多いため日経平均はハイテク株や金融株の動きの影響を受けやすいのもあります。例えば、8月2日は大和証券グループ本社18.85%下落、三菱UFJフィナンシャル・グループ12.14%下落、東京エレクトロン11.99%下落などでした。

また、急激な円高の進行から外国人投資家がポジションを売却していることがあります。投資家主体別売買動向を見ても7月第3週と第4週は外国人投資家が大きく売り越しています。反対に個人投資家は7月第3週と第4週に買い越しています。

■注意したい円キャリー取引の「巻き戻し」

利上げで円高が急速に進行し、ドル円レートは140円台に突入しました。多くの外国人投資家はほぼ無利息の円を借りて、高金利国の金融資産で運用し、運用益に加えて金利の利鞘を獲得しようとしてきました。あるいはウォーレン・バフェットのように円建て社債を発行して、日本株に投資をしている海外の投資家もいます。

バフェットのような投資スタイルだと、資金調達も円で投資対象も円建ての金融資産なので為替リスクもありません。日本株に長期投資をしているスタンスが伺えます。

しかし、前者の場合、円高になると、円に対する現地通貨建ての返済額が増えて損失が出ます。ロスカットなどを設定している場合は売らざるを得なくなります。資産運用の基本は借りた通貨と同じ通貨建てで運用をすることです。

しかし、短期的な投資家にとっては金利差に目が行きがちです。円キャリー取引を行う場合、まず日本の短期金融市場で調達した円を外貨に替える動き(円売り)をするので、円安要因に働きます。しかし、日銀の利上げ、もしくは米国など海外の金融当局が利下げを実施した場合、海外資産で運用利回りを上げることがこれまでに比べると難しくなります。

そうなると、海外の投資家は、運用していた海外資産を売却して、外貨を円に替えて、円を返済することになります。これは円高要因に働きます。これまでも何回も円キャリー取引解消のための「巻き戻し」が起こっています。

日本の個人でも米ドル預金をしている人も多いです。日米金利差が「5%」程度あれば、ドルを買って高金利を教授したいと思う人も出てくるのです。しかし、為替が10%程度動けば金利の収益が吹き飛んでしまいます。1万米ドルを5%の米ドル預金にした場合、1年間の利息は500米ドル(税金控除前)です。しかし、為替が150円から135円と10%円高に動いたら、15万円の損が出ます。円安が進み続ければ為替でも儲かることにはなりますが、リスクがあります。

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プロフィール

花輪陽子

1級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)CFP®認定者。
「ホンマでっか!?TV」などテレビ出演や講演経験も多数。 http://yokohanawa.com/

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Twitter:@yokohanawa
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