【~連載~FINANCIAL PLANNING シンガポールでおトクに賢く生きる】
-第241回- 2024年前半の世界経済をチャイニーズ・ニューイヤーに考察する
ハッピー、チャイニーズ・ニューイヤー。中華諸国では辰年は陽の気が動いて、万物が振動し、活力旺盛になって大きく成長し、形がととのう年だといわれています。
竜は十二支の中で唯一空想上の生き物で、権力や隆盛の象徴であり、出世や権力に大きく関わる年です。そのため、中国、シンガポール、台湾、香港などでは辰年生まれの赤ちゃんが欲しいと考えている人が大勢いて、辰年生まれの子供は将来素晴らしいリーダーになるという言い伝えがよく知られています。
今回は、2023年の振り返りと、2024年の初頭に何が起こるかを海外のファミリーオフィスのレポートや投資家のジム・ロジャーズ氏などへの取材等からまとめたいと思います。
まず、2023年の上昇劇は、前年の2022年が株式と債券が同時に下がった恐ろしい年の結果としての反動だったととらえるべきでしょう。2023年のメインストーリーは、連邦公開市場委員会が政策フェデラル・ファンド金利の8回連続の引き上げを開始した2022年3月に始まりました。政策金利がこれほど急速に上昇したことはかつてありませんでした。パンデミックとウクライナ情勢の地政学は労働市場と世界のサプライチェーンに混乱を引き起こしました。
ベンチマークとなる10年米国債利回りは、2022年にかけて1.5%から3.9%に上昇しました。世界の資本市場の実質的にすべての金融資産は10年米国債に対して評価されるために、短期金融市場だけが避難場所となっていました。リスクのない財務省短期証券の利回りが5%以上であることを前に、株式や債券への投資を正当化することがますます困難になる中、1兆ドル以上がマネーマーケットファンドに注ぎ込まれました。
中国では不動産バブルが崩壊して、1年間以上デフレが続いています。ヨーロッパは、米国と比べて価格が安いにもかかわらず、さらに安くなる可能性があることを証明しました。
株式市場には明るい話題もあり、チャット GPT (生成AI) や GLP-1 (抗肥満薬) が大きな話題となりました。パンデミックによる過剰雇用を削減し、テクノロジーが新たなディフェンシブ銘柄となりました。マグニフィセント・セブンは、S&P500の上昇の大部分に貢献をし、他の493銘柄はほぼフラットという現象を引き起こしました。
東京市場の株価上昇は日本の大型株が米国市場より均等に上昇しました。企業改革と市場改革が日本に定着し始め、ウォーレンバフェットは国内の5つの巨大商社の株式保有比率を約8.5%超に増やしました。
新興国の市場はいつものように大きくばらつきがあり、各国の中央銀行はFRB、イングランド銀行、日本銀行、欧州中央銀行よりもはるかに早くインフレとの戦いに乗り出したことで称賛されました。その結果、新興国市場における金利の上昇と最終的な低下は、G4 諸国ほど急激ではありませんでした。
→続きは会員サイトからお読みいただけます
プロフィール
花輪陽子
1級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)CFP®認定者。
「ホンマでっか!?TV」などテレビ出演や講演経験も多数。 http://yokohanawa.com/
Website Twitter:@yokohanawa |
新刊情報 |
『少子高齢化でも老後不安ゼロ シンガポールで見た日本の未来理想図』 (講談社+α新書)
バックナンバーはこちら 【花輪陽子のFinancial Planning】 |