【~連載~FINANCIAL PLANNING シンガポールでおトクに賢く生きる】
-第232回- 戦争の行方とリセッションに向かう世界経済
中東でも不穏な動きがあり、世界経済もリセッションに向かっているさなかでマーケットも不安定になっています。
2023年10月7日にパレスチナ自治区のガザからイスラエルに向けて数千発のロケット弾が一斉に発射されました。イスラム原理主義の過激派組織であるハマスが実施し、イスラエルとの全面対決を主張しています。イランが資金や武器の供給源という報道もされています。
サウジアラビアなどのアラブ諸国がイスラエルと関係改善を進めている中、ハマスは孤立傾向にあり、事態を打開したかったという憶測もされています。この地域では聖地をめぐり、4度の中東戦争などの戦争が繰り返され、根深い問題を抱えています。私が取材を繰り返している、世界三大投資家のジム・ロジャーズ氏も戦乱の火種になるとすると中東だと言っていました。今月や来月にもお会いするのでぜひ取材をしたいと考えています。
■世界経済、米国経済の先行き懸念
世界情勢が不安定になっている中で、経済の先行きも懸念されます。
IMFは24年の世界成長率を2.9%とし、7月時点から0.1ポイントの下方修正をしました。また、23年は据え置いて3.0%と見込みました。中国経済の減速や、米欧を中心に続く中央銀行による利上げなどを懸念材料に挙げています。
日本は23年の見通しを2.0%とし、0.6ポイント引き上げました。23年の日本の成長率を上方修正した理由は、外国人観光客の増加や自動車輸出の回復と説明しています。最新の見通しでは、新型コロナ対策の給付金で増えた家計の貯蓄が減るなど「景気回復に陰りが見えつつある」との見方を示しました。
世界経済の多くを占めている米国経済にも陰りが見えてきました。ウォールストリートでベア派として著名なモルガン・スタンレーのストラテジストのマイケル・ウィルソン氏は、今年の経済成長を支えていた多額の財政支出の継続が難しく、米国株に警鐘を鳴らしています。同氏は、失業率がこれほど低い中でこれほど大きな財政赤字を米国が行うことは珍しいことだったと言います。
フィッチの格下げは緩和財政政策の限界を反映している一方で、連邦政府の財政赤字拡大やジョー・バイデン大統領が推進したインフラ、グリーン経済、半導体製造への支出拡大を目的とした法案も成長を後押ししました。
政治コストや資金調達コストの上昇によって、支出が削減されれば、「昨年から始まった未完の収益低下は更に落ち込むことになる」とウィルソン氏は述べ、企業の売上高の伸びに圧力がかかると述べました。
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プロフィール
花輪陽子
1級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)CFP®認定者。
「ホンマでっか!?TV」などテレビ出演や講演経験も多数。 http://yokohanawa.com/
Website Twitter:@yokohanawa |
新刊情報 |
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