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-第231回- 相続税は恐ろしい 早期からの対策を

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-第231回- 相続税は恐ろしい 早期からの対策を

日本では、贈与税・相続税の最高税率は55%と、非常に高いです。2015年から相続税の基礎控除が引き下げられ、相続税を支払うことになる方の割合は、約11人に1人とも言われています。近年では株価や不動産価格の上昇などから相続税の申告をしなければならない件数も増えているようです。富裕層以外の普通の会社員などでも、相続税対策を考えなければならない時代になっているのです。

相続税が高いなら、生前に贈与をした方がと考える方もいます。人生の早い時期にまとまったお金を取得することができれば、長期で運用をしてお金を増やすことも考えられます。しかし、2024年から贈与税に関しても実質的に増税になります。

贈与税は個人から年間110万円を超える財産をもらった場合、もらった個人が負担する税金です。現行では贈与者が亡くなった際に、死亡前3年以内の贈与額(110万円以下の贈与財産も含む)を相続財産に加算しなければなりません。2023年の税制改正で、2024年からは生前贈与加算の対象期間が、相続開始前の3年以内から7年以内に延長されます。

従来どおり相続開始前の3年以内の贈与が加算対象となり、4年以上前のものに関しては、その期間の生前贈与の額から100万円を控除した額が持ち戻しの対象となります。例えば、年間100万円の生前贈与を受け続けていた場合、3年以内の300万円はそのまま持ち戻しの対象となりますが、4年前から7年以内の400万円は100万円を控除した300万円が持ち戻しの対象となります。

これは非常に大きな増税となるために、生前贈与を考えている方は注意が必要です。相続対策は早めに準備をし、より早い時点での生前贈与、あるいは貸付などを検討する必要がありそうです。また、相続を受ける側も早い時期から資産運用をして相続税を支払う資金作りを準備することも考えられます。

加えて、2024年からはJUNIOR NISAも廃止になるという変更点もあります。ジュニアNISAとは日本に住む、1月1日時点で18歳未満の未成年向けのNISAのことです。2024 年以降廃止になるため、新規に投資ができるのは2023年までで、2024年以降はジュニアNISAの非課税口座では新たな投資ができなくなります。

相続税の基礎控除は、以下の計算式で算出します。

「3000万円+600万円×法定相続人の数」

相続人が一人の場合、基礎控除は3600万円です。例えば、資産運用などによって金融資産が3600万円以上あり、子供は一人という場合、その子どもは相続税と無縁ではなくなるわけです。

なお、地価の高い都心にマイホームを持っている場合、評価額が数千万~1億円を超える場合もあります。しかし、自宅の場合は、一定の基準を満たすと限度面積の330平米 (100坪)まで、評価額を80%減額してもらえる特例(小規模宅地等の特例)があります。金融資産の場合はこのような特例がありません。早くから相続対策を考えた方がよいのです。

プロフィール

花輪陽子

1級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)CFP®認定者。
「ホンマでっか!?TV」などテレビ出演や講演経験も多数。 http://yokohanawa.com/

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