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【~連載~FINANCIAL PLANNING シンガポールでおトクに賢く生きる】 -第224回- ヘッジファンドをポートフォリオに加える効果

2022年は株も債券も下落をし、60/40のポートフォリオがうまく行かない年でした。その反面でマーケットの影響を受けにくい戦略を取っているヘッジファンドでは2022年の下落相場でも利益を上げることができました。

通常、ヘッジファンドは長期的に株式や債券と相関のないリターンを得る傾向があるため、超富裕層がポートフォリオの一部にヘッジファンドを組み入れる場合があります。今回は、日本でも注目をされているヘッジファンドについて解説していきます。

2023年の上半期は、ヘッジファンドにとっては全般的にまずまずの成績でしたが、目を見張るようなものではありませんでした。ヘッジファンドの戦略は多種多様で、互いに比較することはできません。代表的な戦略としてはマーケット・ニュートラルという手法があります。

マーケット・ニュートラル戦略とは、ある銘柄の将来性に期待ができると思っても株式市場全体が下落すればその銘柄の株価も下がるという問題解決から生まれた手法です。マーケットの中でニュートラル(中立で市場全体の影響を受けないで済む)を維持させるという意味で、マーケット・ニュートラル戦略と呼ばれています。

この手法の目的としては、株式市場の変動による影響を極力排除して、購入した銘柄固有の事象が株価に与える影響だけを考えて運用できるようにすることにあります。手法としては、市場全体の値動きのリスクから、購入した銘柄群のリスクを切り離すために、市場全体の値動きを反映する株価指数先物等を売り建てします。

どんなによい銘柄だったとしても、株式市場が下がればそれに引きずられます。例えば、割安かつ好業績の銘柄に投資をしたとしても市場全体の影響を受けてしまい、この銘柄も値を下げることもあります。その結果、一定期間の間で利益は得られず損失や評価損となってしまいかねません。株価の変動の要因は、その企業固有の事情によるものだけでなく、株式市場全体からの影響も受けるからです。

マーケット・ニュートラル戦略の手法としては、株式を買い付けると同時に、その購入額と同額だけまるごと株式市場(インデックス)を売却します。インデックスはTOPIXやS&P500などの指数先物の値動きを、株式市場全体の値動きとみなして利用します。つまり株式購入と同時に、株式購入額相当分の株価指数先物を売り建てするのです。

マーケット・ニュートラル戦略の効果はどうなるのでしょうか。期待通りに株式市場が上昇し、保有銘柄の株価も上昇した場合、売り建てておいた株価指数先物を高く買い戻すことになり損失(評価損)が生じます。しかし、保有する銘柄の株価がインデックスを上回る値上がりをすれば、先物の損失をカバーして利益が出ます。株式市場は下落し、保有銘柄の株価も下落した場合、売り建てておいた株価指数先物を安く買い戻すことによって利益(評価益)が得られます。

プロフィール

花輪陽子

1級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)CFP®認定者。
「ホンマでっか!?TV」などテレビ出演や講演経験も多数。 http://yokohanawa.com/

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