【最新Empoyment Pass情報】COMPASS導入に伴い人材採用はどう変わる?
~最新の採用動向・人材採用対策を解説~
2023年9月、Empoyment Pass申請に伴う新たな制度、『COMPASS』が導入されます。これにより採用現場ではどのような変化が起きているのでしょうか?現況や対策を人材採用のプロRGF様にお聞きしました。
過去3年間のビザの変更概要
ここ3年で3度、改定のあったシンガポールのEP(Empoyment Pass)。2020年、2022年に2回と過去3年間に3度の改定が行われています。背景としてはシンガポール人への公平な雇用機会の提供を目的とした背景があり、外国人がEPを取得する際の難易度が高まっています。
そして2023年9月、Empoyment Passの審査に透明性をもたせるため、『COMPASS制度』(Complementarity Assessment Framework)というポイント制度が導入されました。最低給与水準やスキルといった個人属性項目と、国籍の多様性やローカル人材へのサポートなどの企業属性項目からポイントを算出するものです。また、これらで高いポイントを取得しようとすると最低給与水準もさらに上がり、今まで以上に厳しい条件をクリアする必要があります。
COMPASS導入により日系企業の人事採用に見られる変化
日本人採用についての変化
日本とシンガポールの給与水準にギャップがある現状のため、日本人をシンガポールで採用することが厳しくなっています。
<例① 35歳の候補者が日本からシンガポールへ転職する場合> 日本の平均年収:平均年収700万円〜800万円 シンガポールでの平均年収:900万円後半〜1000万円 |
このように日本の給料テーブルをそのままシンガポールに持ってくると、ビザ取得の基準額が高く、企業側が相応の金額をオファーしにくくなっており、その現状に加えてCompass制度の導入で一層企業側がEmpoyment Passを出しにくい環境になったといえます。
<例② 日本からの新卒採用者を雇用する場合> 3年前のビザ発給要件:S$3,900/月以上 現在のビザ発給要件:S$5,000/月以上 |
差額は日本円にすると250万円超となります。新卒の人材に対してその差額を投資できる企業も少なく、現状では新卒採用者の雇用も難しい傾向にあります。
ローカライズの流れ
日本人の採用のハードルが上がることで、ビザを必要としないPR(Permanent Residence・永住権保持者)の方やローカルで日本語を話せる候補者の需要が大幅に増えてきた印象があります。これまでビザ保持者が行っていた業務を権限委譲し、従業員をPR保持者またはローカライズしていく決断をされる企業様が多いのも事実です。
S pass保持者の転職者が減少
以前はS passの求人が多く、採用のニーズもありました。しかし、最近のS pass保持者は、同じ企業に雇用されたままEmpoyment PassからS Passへ変更した方が多いため、転職市場にはあまりS pass求人が出て来ない傾向にあります。企業としては「人材としてはシンガポールに残ってほしいがEmpoyment Pass審査に通る基準の給与は出せない」というケースです。
また、S passは「ローカル社員、PR保持者社員10人につき1人雇用が可能」という制約もあるため、Empoyment Pass更新者にS passをあてがうことにより、S passを利用して新たに日本からシンガポールに来る人材は減っています。
COMPASS導入によりでてきた企業の悩み
日本語の壁
日系企業の場合、日本語でのコミュニケーションだからこそビジネスの絆が築かれていたものが、ローカル人材やPR人材の雇用増加で日本語が話せない人材が増え、関係性の構築が薄れることが懸念されます。また、本社が日本にある企業の場合、本社への日本語での報告が難しく、社内の関係性の構築が難しい側面も考えられます。
ローカル、PR保持者の優秀な人材の確保が難しい
物価や給与水準がシンガポールでもあがっていることから、一般的にEmpoyment Passの取得が必要な日本人でも、ローカル人材であっても採用コストは上がっています。日本企業は給与テーブルや評価制度がしっかりしている反面、優秀な人材へ給与テーブルの枠を超えて高い給与をオファーすることが難しい場合もあり、ローカルの優秀な人材確保が難しいことが企業の課題となっています。
今後すべき人材採用対策とは?
日本人従業員の業務をローカル人材とDependent Pass (Work Permit)で代替
これまで日本人従業員(Empoyment Pass保持者)が行っていた業務をローカル人材や外国人就労者帯同者ビザ(Dependent Pass)保持者が就労許可(Work Permit)を取得して行うことで、日本人Empoyment Pass保持者のポジションを代替する企業が増えています。
業務をローカライズしていく
シンガポールでの外国人労働者の割合は2021年時点で36.45%と極めて高い数値です。政府はこの割合をさらに減らし、ローカル人材への雇用機会の増加を目指しています。そのため、日系企業ではPR保持者の人材を要職に置き、あとはローカライズしていくことがシンガポールで事業を展開していくには重要なキーとなります。
ローカル人材取得のために社員満足度の高い企業作りをする
シンガポール全体の傾向として、人材は給与で動く傾向にあります。競合他社よりも高い給与水準を示すことが良い人材の獲得につながります。また、社員満足度の高い会社を目指し、フライデービア、カンパニートリップ、ビーチBBQなどのイベントや楽しみを提供する企業は離職率は低い傾向にあります。
COMPASSでの評価点を相対的にあげる
COMPASSの企業基準評価は競合他社の相対評価で決まります。ローカル雇用者の割合、全体の従業員の給与水準などを相対的にあげておく必要があります。COMPASSではポイントを全体の半分(40点)を取得するとEmpoyment Passの取得ができるため、個人評価だけではなく、企業評価のポイントをあげることが日本人従業員の獲得にもつながります。COMPASSのポイントについてはアクセス権のある(各企業の人事の方)がmy MOM portalで確認することが可能です。
「ローカル人材確保」が「日本人の人材確保」にもつながる
日本人の人材確保のためにEmpoyment Pass取得に伴うCOMPASSの「企業属性」評価である、「多様性」、「ローカル雇用促進」のポイントを上げる必要があります。つまり、ローカル人材にも魅力的な企業作りをすることが日本人のEmpoyment Passを取得しやすくなることにつながります。シンガポールで事業を展開していくには「シンガポール国民に雇用機会の公平性を」という国策を尊重しつつ採用活動を行う必要があります。
RGF Talent Solutions Singapore Pte.LtdではEmpoyment Pass申請に関してさまざまなケーススタディの積み重ねがあり、専門家が日々多くの相談にのっています。相談やお困りのことがあればぜひ問い合わせてみてください。
監修:RGF Talent Solutions Singapore Pte. Ltd
RGF Talent Solutions Singapore Pte.Ltd は 2010 年に設立され、多国籍企業、日系企業、ローカル企業に選ばれる人材会社に成長しました。 シンガポールでは、2つのブランド(RGF Professional Recruitment、RGF HR Agent)を展開しており、いずれも企業様の採用に関するソリューションを提供しています。
弊社ではそれぞれの業界ごとに担当コンサルタントがおります。例えばIT業界であればIT企業で、金融業界であれば金融系企業で勤務経験があるコンサルタントなど、それぞれの業界を熟知したコンサルタントを取り揃えております。そのため、求職者様のご経験にマッチングする求人のご紹介が可能です。
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