【~連載~FINANCIAL PLANNING シンガポールでおトクに賢く生きる】
第305回 シルバーを利確して学んだこと

最近は、株式市場だけでなく、銀やプラチナなどの貴金属価格も大きく上昇しています。ニュースでは「銀投資のために自宅を売却する中国の個人投資家がいる」「銀歯までが売買対象になっている」といった話題まで見かけるようになりました。こうした報道に触れると、「さすがに過熱しすぎではないか」「バブルの入口に近づいているのではないか」と感じる方も多いのではないでしょうか。
銀をはじめとするコモディティについては、ブリッジウォーター創業者のレイ・ダリオ氏や、著名な商品投資家であるジム・ロジャーズ氏など、多くの投資家が言及してきました。株式や債券とは異なる値動きをするため、分散投資の観点から一定の意義がある資産クラスであることは間違いありません。
一方で、コモディティ投資は株式投資よりも難易度が高い分野だと私は感じています。
企業の成長という裏付けがある株式と異なり、商品価格は需給、投機資金、金利、為替、地政学リスクなど、複雑な要因で動きます。現物投資を別とすれば、ETFなどを通じた商品投資は、中級者以上向けの領域だと考えています。
今回は、私自身がコロナ禍の中で銀ETFを仕込み、その後大部分を利確した過程を振り返りながら、出口戦略の大切さについて共有したいと思います。私が当時利用していたのは、銀価格に連動するETFでした。流動性が高く、銀投資の入り口としては使いやすい商品です。
ただし、過去の値動きを知ると、この商品のリスクも見えてきます。そのETFは2011年、銀価格が急騰した局面で大きく上昇しましたが、その後の急落局面では一時的に取引停止となり、取引再開時には短時間で約10%程度下落していたという記録があります。
この事例が示しているのは、「価格が大きく動く局面では、売りたいときに売れないリスクが現実にある」ということです。ボラティリティの高い商品ほど、流動性リスクも同時に意識する必要があります。
こうした経験や過去事例を踏まえ、現在私が貴金属投資としておすすめしているのは、単一金属に集中するETFではなく、複数の貴金属に分散されたETFです。分散されたETFでは、金・銀・プラチナ・パラジウムの4種類の貴金属を実物で保有する仕組みになっているなどです。
特徴的なのは、価格が比較的安定している金の構成比率が高く、ボラティリティの大きい銀やプラチナ、パラジウムの割合が抑えられている点です。そのため、純粋な銀ETFに比べると値動きはマイルドになり、ポートフォリオの中で扱いやすい商品だと感じています。
ただし、どんな商品であっても、「どこで売るか」を考えずに保有するのはリスクが高いと感じています。私が投資で最も大切にしているのは、「買う前に出口戦略をある程度決めておくこと」です。
価格が上昇してくると、「まだ上がるかもしれない」「今売るのはもったいない」と感じるのが人間の自然な心理です。しかし、その心理に任せてしまうと、気づけばピークを過ぎ、利確のタイミングを逃してしまうことも少なくありません。
ここで参考になるのが、日本の著名な投資家・本多静六博士の考え方です。本多博士は、「資産が大きく値上がりしたときには、半分を利確する」というルールを推奨していました。
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プロフィール
花輪陽子

1級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)CFP®認定者。
「ホンマでっか!?TV」などテレビ出演や講演経験も多数。 http://yokohanawa.com/
| Website Twitter:@yokohanawa |
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