【~連載~FINANCIAL PLANNING シンガポールでおトクに賢く生きる】
第304回 新年に考えたい「相続対策」の第一歩─資産を話すことから始めよう

新しい年の始まりは、これからの人生や家族の将来について、少し立ち止まって考える良い機会でもあります。今回は新年初回として、「相続対策」をテーマにお話ししたいと思います。
相続対策というと、「相続税はいくらかかるのか」「節税対策は何をすればよいのか」といった、やや難しく専門的な話を思い浮かべる方も多いかもしれません。しかし、実際の相続対策の第一歩は、もっとシンプルで、誰にでもできることだと私は感じています。
それは、「家族で資産と収入について話すこと」です。
ファミリービジネスの授業で学んだこと
昨年、私は法政大学で「ファミリービジネス」という授業を受講しました。そこで学んだのが、「ファミリーアセット(家族の資産)」をどのように守り、次世代につないでいくか、という考え方です。講師の中島先生が、授業の中でこんなことをおっしゃっていました。
「規模の差はあれど、事業承継のプロセスは、ほとんど同じです」
上場企業であっても、地方の中小企業であっても、あるいは事業をしていない一般家庭であっても、「資産をどう把握し、どう引き継ぐか」という本質は変わらない。その言葉が、とても印象に残りました。
お正月に、家族でお金の話をしてみた
この授業をきっかけに、今年のお正月、母と弟とで、初めてと言っていいほど、資産や収入について詳細まで話し合いました。
| ▪どんな資産があるのか ▪どのくらいの収入があり、何に使っているのか ▪今後、大きな支出が想定されるものはあるのか |
こうしたことを一つひとつ確認していく作業は、「相続対策」というよりも、「資産と収入の見える化」でした。正直に言えば、話す前は少し緊張もありました。親とお金の話をするのは、どこか気まずく、遠慮してしまうものだからです。ですが、実際に話してみると、不安よりも安心感の方が大きかったのです。
私自身の原体験としての相続と事業承継
私は、3代続いた中小企業の家に生まれました。私が生まれてすぐに祖父が亡くなり、父が事業を継ぐことになりました。その際、事業を継続するため、相続財産は父に集中させたと聞いています。父には兄弟が多かったのですが、皆それぞれに収入や資産があり、事業を継ぐ父に相続財産を譲ってくれたそうです。こうした譲り合いも、揉め事を避けるうえで大切なことだと感じました。
ところが、その7年後、父が急死しました。短期間のうちに、2度の相続と事業承継が発生したのです。私は幼かったため、詳しい事情は後から母に聞きました。当時の相続税は約2,500万円。基礎控除や配偶者控除が現在よりも大きかった時代でしたが、それでも控除を超え、預金から一括で支払ったそうです。
相続財産の多くは、会社と土地でした。そのため、毎年の固定資産税の負担が重く、遺族年金の収入が税金の支払いで消えてしまう状況だったといいます。
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プロフィール
花輪陽子

1級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)CFP®認定者。
「ホンマでっか!?TV」などテレビ出演や講演経験も多数。 http://yokohanawa.com/
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