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第302回 シンガポールでマイクロ法人を作るメリット、デメリット

【~連載~FINANCIAL PLANNING シンガポールでおトクに賢く生きる】
第302回 シンガポールでマイクロ法人を作るメリット、デメリット

シンガポールで経営者グループのクリスマス会を開催し、そこでパネラーとして登壇をしました。100人程度の経営者が日本、タイ、マレーシアなどの周辺国から集まりエキサイティングな会でした。

いろんな経営者の方とお話をしましたが、シンガポールの魅力を感じられた方が多かったです。シンガポール在住のメリットとしては、税優遇、安全面や教育などのインフラ、金融システムや政治の安定などが挙げられます。

私はシンガポールで一人会社いわゆるマイクロ法人を運営しています。シンガポールでマイクロ法人を経営しながら、個人と法人で利益をどのように配分すると最適なのかをワークの中で考えてみました。

シンガポール法人の最適な「給与 × 利益」バランス

シンガポールでマイクロ法人を経営する際に、多くの方が迷うのが「どこまでを給与として取り、どこから法人利益として残すべきか」という点です。とくに、売上のほとんどが自分の労働対価であり、外部への経費がほぼ発生しないような高収益モデルでは、この判断がそのまま総税負担の差として表れます。

シンガポールでは、個人所得税が累進課税であるのに対して、法人税は 17%のフラット税率が採用されています。

とくに個人税は、課税所得がS$12万を超えたあたりから税率が一段と重くなる一方、法人税は中小企業向けの部分免税(PTE)が適用されることで、実効税率が 8〜10%程度に抑えられるという特徴があります。

部分免税(PTE)の内容は、通常の課税所得の最初のS$10,000に対する75%の免税および次の S$190,000の通常の課税所得に対してさらに 50% の免除(2020年以降)となります。

このため、給与として受け取る金額が増えれば増えるほど個人税率が跳ね上がるのに対し、法人に利益を残した場合の税負担は相対的に軽くなるという構造が生まれます。ここに、最適配分が生じる理由があります。

さらに、シンガポールでは配当が完全非課税であるため、必要に応じて後から利益を分配する選択肢も残り、資金繰りや投資余力の面でも柔軟性が高まります。

法人に利益が積み上がっていくことで、翌年以降の事業投資はもちろん、持株会社や海外投資プラットフォームとしての展開もしやすくなります。

こうした点を踏まえると、給与を過度に高く設定して手取りを増やすよりも、適度な給与と厚めの利益というバランスを意識する方が、最終的な手残りが大きくなり、同時に法人としての体力も強まっていきます。

日本の中小企業とシンガポール法人の税負担を比較してみる

日本の中小企業にとって、法人税や事業税、消費税の負担は決して軽くありません。例えば年間利益が3.000万円規模の企業であれば、法人税、住民税、事業税を合計した実効税率は約30%に達します。これに加えて消費税の納付や会計・申告の手間もかかるため、中小企業のオーナーにとってはかなりの負担感があります。

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プロフィール

花輪陽子

1級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)CFP®認定者。

「ホンマでっか!?TV」などテレビ出演や講演経験も多数。 http://yokohanawa.com/

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