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第300回 シンガポール保険業界、コロナ後の再編

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第300回 シンガポール保険業界、コロナ後の再編

今回はシンガポールの保険業界について解説します。シンガポールの保険業界が、コロナ前後で大きな転換期を迎えているからです。今回は特に注目されている2社をご紹介したいと思います。

まず、シンガポールライフについて。英アビバ(Aviva)とシンガポール発の新興保険会社シンガポールライフ(Singlife)の統合、そしてそれを引き継ぐ形で進んだ住友生命による買収がありました。

2020年、アビバ・シンガポールとSinglifeは合併を発表し、国内では史上最大級の保険統合となりました。伝統的な外資系保険会社と、スマートフォンを通じた保険・貯蓄を提供するデジタル生保の融合により、アジア市場で新たな成長エンジンが加速しました。

その後、アビバが保有していたSinglifeの全持分を住友生命に売却すると発表し、2024年3月、Singlifeは正式に住友生命の完全子会社となりました。つまり、アビバはシンガポール市場から完全撤退し、代わって日本の生命保険会社が主導権を握る構図となったのです。

シンガポール全体の保険市場でも再編と集中が進んでいます。上位10社で市場の大部分を占める状況となり、中小の保険会社が生き残る余地はほとんどありません。銀行系や外資系による再統合も続いています。

最近躍進しているFWD

FWDは、香港に本拠を置く保険グループで、設立は2013年です。投資グループPacific Century Group(創業者/実質オーナー:Richard Li)が発起母体です。

近年、シンガポール市場でも高資産層(HNW: High Net Worth)向け商品の提供を強化しており、日本人の間でもセービングプラン等が人気です。

シンガポールが「アジアの富裕層・資産運用ハブ」としての地位を強める中、保険・貯蓄・資産移転(レガシー)ニーズが拡大しており、FWDの高資産層向け戦略はこの流れに合致しています。

シンガポールの貯蓄型保険はシンガポールドル 建ての場合、3年でブレークイーブン(解約返戻金が払い込んだ保険料を上回る)をし、利回りは3.5%程度という商品もあります。

この手の商品は定期預金ではないものの、性質は定期預金に近くローカルにも人気があるようです。仮に3年後によりよい金利の商品を見つけることができれば解約をして移し替えることも可能です。インフレがどうなるのか不透明なために商品にフレキシビリティが求められています。

米ドルだと更に利回りが高い場合が一般的です。海外保険で米ドル建て貯蓄保険の場合、10年程度で解約返戻金が1.5倍になるという商品もあります。

一般に終身保険に加入する場合、70代までの保険会社が多いのですが、貯蓄型保険の場合加入できる年齢がもう少し引き上がります。70代まで事業承継や相続対策を全くやってこなかったという人の救いになるのです。

貯蓄型保険で相続財産を増やすことができれば、相続税を引かれても継承できる資産が増えるので理にかなっています。

日本でこれくらいブレークイーブンが早く、利回りが高い保険商品を見つけることは非常に難しいです。特に円建てだと低金利でなかなか商品設計が難しいと推測されます。

日本では保険業法があり、日本居住者は海外の保険を購入することができません。

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プロフィール

花輪陽子

1級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)CFP®認定者。

「ホンマでっか!?TV」などテレビ出演や講演経験も多数。 http://yokohanawa.com/

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Twitter:@yokohanawa
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