【~連載~FINANCIAL PLANNING シンガポールでおトクに賢く生きる】
第294回 シンガポール最新事情:超富裕層の投資先と子どもの教育戦略

最近、シンガポールで増えている中国人の超富裕層の動向に注目しています。シンガポールに住んでいると、「犬も歩けば棒に当たる」ではないですが、中国の上場企業の社長など超富裕層と接触する機会が多く、驚かされます。社長ではなくても、彼らのファミリーオフィスで働いている従業員と知り合うことも多いです。
私は日本人で中国語も話せませんが、なぜか中華系のファミリーオフィスコミュニティーに入れられてしまい、これから何ができるのか模索中です。最近のスマートフォンでは、電話中でも瞬時に通訳翻訳ができるようで、語学の障壁は数年で取り除かれそうです。そのために今からネットワークを築き、不動産など日本のコンテンツを増やし、日本と中華圏のかけ橋になれたらと思っています。
彼らの多くは「シングルファミリーオフィス(SFO: Single Family Office)」を設立し、資産管理や投資戦略を徹底的に最適化しています。
■シングルファミリーオフィス
シングルファミリーオフィス(SFO)とは、一族の資産を専門的に管理・運用するプライベート機関です。マルチファミリーオフィスは複数家族の資産をまとめるのに対し、SFOは一族専用です。
▪投資対象は、不動産・株式・プライベートエクイティ・アートなど多岐にわたる ▪家族の資産を長期的に増やすための投資判断を行う |
■シンガポールの魅力
シンガポールは、中国の超富裕層にとって理想的な拠点です。主な理由は以下の通りです。
1. 税制優遇 |
個人所得税:最高24%(日本は55%) キャピタルゲイン税:なし(日本は約20%) 相続税・贈与税:なし(日本は55%) 法人税:17%(日本は約30%)、海外源泉所得は非課税 → 資産運用の効率が非常に高く、富裕層に有利な環境です。 |
2. ビザの取得 |
SFOを活用することで、家族メンバーのEP(Employment Pass)取得が可能です。 |
■実際のファミリーオフィス運用イメージ
私が見てきたSFOでは、以下のような運用が一般的です。
▪一族の代表がSFOを設立 ▪SFOを資産管理・投資運用を目的とした法人として登録 ▪一族メンバーを役職者(DirectorやManager)として登記 ▪御子息がCIO(最高投資責任者)として親の財産管理を担当することも多く、プリンシパルは表に出ないことが一般的 |
取材や訪問で感じた傾向として、御子息は恵まれた生活を送る一方で、職業選択の自由は制限され、責任や気苦労も大きいようです。
■不動産戦略
私が多くのSFOオフィスを訪問した際、フリーホールドで購入可能な特別エリアのオフィス物件を所有している例が多く見られました。
▪シンガポール国内だけでなく、日本の不動産にも高い関心を示す ▪日本の不動産デベロッパー向けプレゼンでは、細かい質問が次々と飛び出し、「現地に行きたい」という声も多い ▪特に不動産で財を築いた方ほど、日本市場への関心が高い傾向 ▪投資額は数億円から数十億円規模で、東京23区内の高級マンションや、スキーができる観光地の物件も人気 |
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プロフィール
花輪陽子

1級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)CFP®認定者。
「ホンマでっか!?TV」などテレビ出演や講演経験も多数。 http://yokohanawa.com/
Website Twitter:@yokohanawa |
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河北博光[著]/花輪陽子[執筆協力]
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