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第290回 ジム・ロジャーズはトランプ政権と関税をどう見るか

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第290回 ジム・ロジャーズはトランプ政権と関税をどう見るか

トランプ関税が世界を揺るがしています。また、トランプ大統領は独立的な立場であるFRBに対して圧力をかけたり、労働統計局長を解任するなどで、経済指標の政治利用など様々な不安が広がっています。

このたびジム・ロジャーズ著『世界大激変 混乱する世界をどう読むか』(東洋経済新報社)を刊行しましたが、ロジャーズ氏のトランプ政権や関税についての見解をお伝えしたいと思います。

 「トランプ関税は、戦後の枠組みを大きく変える転機となる。90年代以降、世界を大きく成長させてきたグローバル経済体制は終わりを迎えることになる。第二次世界大戦後、アメリカは「自由で公正な貿易」を大原則に掲げ、そのことが世界経済を成長させてきた。強いアメリカの経済が自由貿易体制を支え、アメリカの爆発的な消費によって世界経済に恩恵を与えるという国際経済システムが確立された。

そのような体制の恩恵をもっとも受けたのが日本であり、最近では「世界の工場」と言われるまでに成長した中国だ。しかし、アメリカの債務が膨らみ、アメリカ国民の多くが、もはや「自由で公正な貿易」体制をアメリカの負担で維持することは持続的でないと考えるようになった。(中略)そして、彼らの「救世主」と期待されて登場してきたのがトランプで、彼はその期待に応えるべく自由貿易から保護貿易へと政策を転換した。」

ロジャーズ氏はトランプ大統領について予測不可能だと言っています。彼には哲学や政治理念がないので分からないということなのです。保護貿易を行うと、政治家は彼らの支援者を助けることができ、一時的に票が取れるかもしれません。

しかし、関税のつけは国民が負担をしなければなりません。歴史を見れば分かることですが、経済を活性化させるには国はオープンに自由な貿易を行う必要があり、関税はなるべくない方が望ましいと言います。

アメリカのトランプ大統領は、7月31日、日本を含む各国や地域への新たな関税率を定める大統領令に署名し、日本への関税率は15%と、日米交渉で合意した内容となっています。今後、自動車関税の引き下げがいつ実現するかなどが焦点となっています。

一時期25%と発言をしていた時と比べると関税は下がりました。しかし、これまで0%に近い関税だったために日本にとっては大きな負担となりそうです。

また、医薬品や半導体などの分野別の関税がどうなるかによっても、世界経済に及ぼす影響への懸念が高まっています。

 


プロフィール

花輪陽子

1級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)CFP®認定者。

「ホンマでっか!?TV」などテレビ出演や講演経験も多数。 http://yokohanawa.com/

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