HOMEコラム【~連載~FINANCIAL PLANNING シンガポールでおトクに賢く生きる】 -第223回- 2024年からの新NISAと駐在員の注意点

【~連載~FINANCIAL PLANNING シンガポールでおトクに賢く生きる】 -第223回- 2024年からの新NISAと駐在員の注意点

2024年の制度改正によってNISAは恒久化され、NISAで運用できる金額の上限が大幅に引き上がり、利便性が高くなる予定です。制度改正によってジュニアNISA(18歳未満の未成年向けのNISA)に関しては2023年に廃止になります。

さて、これまでのNISAと比べると大きく変わるのは次の5点になります。

1.一般NISA(成長投資枠)とつみたてNISA(つみたて投資枠)の併用が可能に
2. 年間投資上限額が最大360万円に拡大
3. 生涯非課税限度額は最大1,800万円
4. 非課税保有期間は無期限に
5. NISA制度の恒久化

現在のNISAでは、年間投資上限額が120万円で非課税保有期間が5年間の「一般NISA」と、年間上限額が40万円で非課税保有期間が20年間の「つみたてNISA」の2種類があります。

NISAの制度を利用する人は、「一般NISA」か「つみたてNISA」のどちらを利用するかを選ぶ形で、併用はできませんでした。2024年からの新NISA制度では、一般NISAは「成長投資枠」、つみたてNISAは「つみたて投資枠」と名称が変わって、「成長投資枠」と「つみたて投資枠」との併用ができるようになります。

つみたて投資枠では金融庁の基準を満たした投資信託で、長期の積立や分散投資に適した商品のみが投資可能です。現在のつみたてNISA対象商品とおおむね同様と考えるとよいでしょう。これに対して、成長投資枠では上場株式、投資信託などが投資対象商品です。

現在の限度額は一般NISAの場合120万円、つみたてNISAの場合は年40万円です。新NISA制度では年間投資上限額が360万円(成長投資枠が年間240万円、つみたて投資枠が年間120万円)と大幅に増えることになります。新NISAでは「生涯非課税限度額」が買付金額ベースで合計1,800万円(成長投資枠は1,200万円まで)と設定されました。このうち成長投資枠は1,200万円までです。つみたて投資枠だけで1,800万円を使うことも可能になります。

NISA口座で金融商品を売却した場合には買付金額分の枠(簿価)が翌年に戻ります。これまでのNISAではNISA口座で保有する株式などを売却すると、非課税投資枠の再利用はできませんでした。

海外転勤によって一時的に出国する場合、出国日の前営業日までに「非課税口座継続適用届出書」を金融機関に提出することで、最長5年間までNISA口座内で商品保有が可能です。帰国後に「非課税口座帰国届出書」を提出すると、NISA口座で再び新規の買付ができるようになります。

すべての金融機関で上記の対応をしてくれるわけではありません。大手証券会社など一部の金融機関での対応となります。対応をしてくれない金融機関では課税口座に払い出される場合もあります。新NISAは非課税枠が拡大し、お得が多いですが、頻繁に海外転勤をする人は取扱いに注意をする必要がありそうです。


プロフィール

花輪陽子

1級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)CFP®認定者。
「ホンマでっか!?TV」などテレビ出演や講演経験も多数。 http://yokohanawa.com/

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『少子高齢化でも老後不安ゼロ シンガポールで見た日本の未来理想図』 (講談社+α新書)


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